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就活で使える IT業界マップ

第5回 IT業界職種カタログ(1)プロジェクトマネージャ


岡村秀一郎(野村総合研究所)
2010/1/14

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■ プロジェクトとPMの仕事

PMはプロジェクトの
全工程に携わる

 IT業界におけるプロジェクトとは、ある期間内に、決められた予算内でITシステムを完成させる一連の活動のことを意味する。通常、

  • プロジェクト発足

  • 現行調査・要件定義

  • 設計・開発

  • テスト

  • リリース

という工程で進む。

 これらの活動を円滑に進め、目的の達成へとプロジェクトを導くのがPMの仕事だ。そのためにPMは、計画を立て、必要な人材や環境を確保し、予算や進ちょくを管理しながら、お客さまやパートナー会社とのコミュニケーションを円滑に進めていかなければならない。

 プログラマやシステムアナリストは一部の工程にしか携わらないのに対し、PMは最初から最後まですべての工程に携わる、非常に重要な役割だ。PMの力量がプロジェクトの成否の鍵を握るといっても過言ではない。

■ PMの仕事の魅力

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 大きなプロジェクトを任されると、とてもやりがいがある。しかし、プロジェクトを進めていく途中ではさまざまなことが起きる。一度決まったことを後からひっくり返されたり、うまく性能が出なかったり、こちらの意図が相手に伝わっていなかったり、といった具合である。

 それでも、システムが完成し、お客さまから「ありがとう」の一言をもらったとき、それまでの疲れが一気に吹き飛び、苦労が報われる。この仕事をしていて良かったと思える瞬間だ。

■ PMの1週間

 設計・開発フェイズにおける、典型的なPMの1週間を紹介しよう。

  • 月曜: 朝会で進ちょく確認。今週のタスクを確認するとともに、遅延している開発チームと原因・対応策を確認する

  • 火曜: 課題管理定例会にて、各開発チームの抱えている設計上の課題を共有

  • 水曜: お客さまとの進ちょく確認定例会。遅延部分の理由を説明し、謝るとともに、対応策を説明。気が重い

  • 木曜: 設計レビュー会。パートナー企業を交えて設計内容をレビューし、品質を確認

  • 金曜: 本部内設計会議。プロジェクトの進ちょく状況とリスク・課題を報告。開発体制の脆弱(ぜいじゃく)さについて指摘を受ける。開発要員の増員を検討しなくちゃ。1週間の疲れを癒すために、プロジェクトメンバー数人と飲みに行く

■ 必要なスキルは?

 一般的には、プログラマから始めて、サブリーダー、チームリーダーとステップアップしていく中で、それぞれの段階で必要なスキルを習得していく。

 PMで重要なのは、プロジェクト全体を結束力の強い1つのチームにまとめ上げる力だ。マネジメントスキルや各種方法論も大切だが、プロジェクトメンバーから尊敬され、信頼される存在でなければならない。そのためには、メンバーの話をとことん聞き、時には一緒に飲みに行き、プロジェクト内の風通しをよくすることが必要である。

■ PMに向いているのはどんな人?

 プロジェクトではさまざまなことが起きるので、それらをさばく必要がある。物事の全体像を素早くつかみとり、次にどうすべきかの判断を素早くできる人が向いている。

 また、人の話をきちんと最後まで聞ける人でなければ難しい。特に、システム開発の現場が好きで、現場とのコミュニケーションを大切にする人が向いているだろう。

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筆者プロフィール
岡村秀一郎(おかむらしゅういちろう)

1985年、野村総合研究所(当事は野村コンピュータシステム)に入社。損害保険会社、証券会社、旅行会社などのシステム開発プロジェクトのプロジェクトマネージャを担当。その経験を踏まえてシステムコンサルタントとなり、2007年よりシステムコンサルティング事業本部配属。

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