電子メールや電話、メッセンジャーなどコミュニケーションが多様化する現在。「Yahoo!アバター」や「花咲けミー!」などのキャラクターを提供するポリゴンズは、「キャラクターはメッセンジャーであり、コミュニケーションの媒介役となるもの」との考え方を持っているという。キャラクターが媒介役になることで、どのようなコミュニケーションが生まれるのか。キャラクターを生み出すポリゴンズ社内のコミュニケーションはどのようなものなのか。漫画評論家の夏目房之介氏が、ポリゴンズ 代表取締役 勝野明彦氏に切り込んだ。 |
■コミュニケーションは変わったか
インターネットが一般に広がり始めたころ、大いに期待されていたこと。それは「コミュニケーションの変革」だ。電子メールなどの普及により、従来の組織ラインによらないフラットで自由なコミュニケーション体系が出来上がる。これが組織の活性化につながると考えられたのだ。
現在、確かにコミュニケーションは変化している。当時期待されていたような変革も見られる一方で、隣の席の人とも電子メールでのやりとりしかしない、口頭で意思を伝えられないといったマイナス要素も現れている。
個人レベルでのコミュニケーションの在り方も大きく変わっている。商用ポータルのコミュニケーションサービス「アバター」は新しいコミュニケーションツールの1つだ。利用者がネット上の分身としてアバターと呼ばれるキャラクターを選び、アバターを通じてコミュニケーションを図る。単なるキャラクターではなく、服装や髪型などの見た目も自由に変えることができ、現実とは異なるもう1人の自分として“育てて”いくことができる。
「Yahoo!アバター」のデザインを提供するポリゴンズの代表取締役 勝野明彦氏と漫画評論家の夏目房之介氏との対談から、キャラクターを通してのコミュニケーション、またそのキャラクターを生み出しているポリゴンズ社内のコミュニケーションについて探った。
■キャラクターはメッセンジャー
勝野氏は「キャラクターは、それ自身がメッセンジャーです」と語る。キャラクターを介してコミュニケーションを取ることで、新たに生まれてくるものがある。勝野氏自身、キャラクターをつくるときには「必ずそれを利用する人のことを中心に考えてつくっている」という。
ポリゴンズ 代表取締役 勝野明彦氏 |
例えばポリゴンズが開発し、ネットのアバターとしてだけでなく現実のマスコットとしても提供されている大人気の「花咲けミー!」は、「お花畑にいる、ちょっと恥ずかしがり屋の花の妖精」だ。「花が咲く」という言葉は勝野氏が大好きな言葉だというが、確かにこの言葉にはふんわりと優しいイメージがある。
このように、誰もが持っている「優しさ」をキャラクターに投影すること自体がすでにメッセージなのだ。メッセージを託されたキャラクターを使ってコミュニケーションを取ることで、発した言葉がふくらんでいく。夏目房之介氏は「時代を超えて愛されるキャラクターは単純であり、作為的でない」と分析するが、「花咲けミー!」はまさにその要素を満たしている。「花咲けミー!」を受け取って、優しい気持ちになれた」という経験を持つ読者もいるだろう。
ポリゴンズは、キャラクターを提供することで、個人対個人や企業対個人のコミュニケーションを円滑にする。それが同社の事業だ。
■発想をカタチにするコミュニケーション
そんなポリゴンズであるから、仕事におけるコミュニケーションの重要性を何よりもよく理解している。また勝野氏自身、ビジネスマンとしての経歴を振り返り、コミュニケーションの難しさを実感することも多かったという。
勝野氏が生まれたのは1961年。夏目氏によると“第一次おたく世代”といわれる、ウルトラマンなどの巨大キャラクターやロボットが登場した時代だ。勝野氏もかつてそうしたキャラクターに夢中になり、現在も趣味でブリキのロボットを集めるなど、キャラクターに対する興味や関心は高い。
そんな勝野氏だが、キャラクターの原型となるアイデアは出しても、デザインや絵は描けないという。ではどのようにキャラクターを形にしていくのか。
そこで重要なのは、デザイナーとのコミュニケーション。「自分より優れた人にアイデアを形にしてもらい、それをビジネスとして展開するのが私の役割です」と勝野氏はいう。例えば「花咲けミー!」の場合は、会社や社外でデザイナーと話をし、勝野氏のアイデアを商品化した。たまたま東急ハンズで見かけたビーズクッションからひらめきを得て、素材や大きさ、布地の色、触感を吟味しながらプロトタイプを作成。制作には2年間かかったそうだ。
「デザイナーとは考え方や大切にしているものが共通しているので、どういうキャラクターにしたいか、どんなメッセージを込めたいかという、言語化しにくいイメージを共有することができました。当社のように少ない人数で1つのプロジェクトを進めていく仕事のスタイルでは、考え方を共有することで、よりいい仕事ができるようになる。それにはコミュニケーションやチームワークが非常に重要なんです」と勝野氏はいう。
■組織で仕事をするということ
いい仕事をするためには、考え方を共有できるようなコミュニケーションが重要。これは夏目氏のような執筆業でもまったく同じだ。極端な話、編集者との相性によって仕事の質が左右されることもある。ただ、組織の中で仕事をするのと異なり、個人の執筆業の場合は「嫌だったら、その仕事は断ればいい」という選択肢が比較的取りやすい。だが一度組織を組むと、そうした行動は難しい。
では、考え方を共有するためのコミュニケーションとは何なのか。夏目氏が発したこの問いに対し、勝野氏は「経営理念を理解してもらうこと。そのためには、仕事を通じて理念を伝えることのほかに、そもそもコミュニケーションやチームワークなどの重要性を認識してもらうことが必要なのです。先日、まさに『コミュニケーションとチームワーク』というテーマで合宿をし、課題を与えていろいろ議論しました」と答える。
夏目房之介氏。手を載せているのが「花咲けミー!」 1950年東京生まれ。 青山学院大学文学部卒業。 著書『あっぱれな人々』(小学館)『漱石の孫』(実業之日本社)など多数。 |
考え方を共有できなければ、一緒に仕事をしている意味がない。特に小規模組織になると、そうした考え方の違いがダイレクトに仕事の結果に響いてくる。勝野氏が独立したのは以前勤めていた会社の上司と議論した結果だというが、議論の原因はそうした考え方の違いだったという。「仕事はすべてお客さまのためにあると考えています。仕事をするうえで『自分の考え方を優先する』という姿勢には、どうも違和感があります。それでよく社員と議論することがあります」(勝野氏)
ちなみに勝野氏の経営理念は、勝野氏が経営する3つの企業のうち1つの社名にもなっている「ウィンウィン(Win-Win)」だという。“勝つ”というと語弊があるが、要はみんなでハッピーになっていくことだ。そのためにはまず、相手に勝たせるというプロセスを経て、そのプラスを波及させていくコミュニケーションが重要なのである。
■感情のない言葉は単なる記録
コミュニケーションにもいろいろなレベルがある。例えば、普段の何げない会話を通じてさり気なく自分の考えを伝えるコミュニケーションもあるし、会議の席など改まった形でのコミュニケーションもある。「組織の中で良い仕事をする」ことを目標にするのならば、どちらが適切なのか。
夏目氏の問いに対し、勝野氏は「それはいまでも模索しています」と正直に答える。例えばこの3月、オフィスを移転する前は、マンションの一室を事務所として借りていた。マンションだと部屋が区切られているため、時として社員各人がバラバラに個人作業をすることもあった。
これではいけないと、コミュニケーションを取ろうと意気込むと、各人がとうとうと意見を述べる「会議」になってしまう。そうした中で、勝野氏は「自分が本当に望んでいたのは、自然発生的なコミュニケーションだ」と気が付いた。そうした場や、仕事を通じて考え方を共有していく。作為的なものが成功しないのは、コミュニケーションもキャラクターも同じ。意思を伝達するために、時にはケンカがあってもいい、と勝野氏は考えている。
夏目氏もこれに対し、「コミュニケーションの一部として、感情を伝えることにもっと重きを置いてもいい。例えばケンカもその1つで、ケンカできないような雰囲気ではそもそもコミュニケーションが成り立たないと思う。感情のない言葉は単なる記録でしかない」とコメントする。単なる記録としての言葉しか発せられない、それはポリゴンズのような、コミュニケーションを円滑にするキャラクター制作の会社にとっては致命的なことだ。自分の思いや価値観、感情を正しく伝える。そして、それを各人が受け止める。理想的なコミュニケーションについてはまだ模索中だというが、ポリゴンズが「万人に愛され、使われるキャラクター」を生み出している現在、それは成功しているといえるだろう。
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仕事の成果を上げるコミュニケーション能力強化研修の紹介 | ||||||||||||
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再考 人材育成シリーズ |
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その1 |
プロジェクトのデスマーチはPMを育成しない企業側の責任?! |
その2 |
会社の成長は社員の育成法で決まる?! |
その3 |
仕事の成果を上げるコミュニケーションとは? |
その4 |
コミュニケーション能力が仕事の出来を左右する |
提供:株式会社社員教育研究所
企画:アイティメディア営業本部
制作:アイティメディア営業本部
掲載内容有効期限:2006年1月20日
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会社概要 |
■株式会社社員教育研究所 ■本社 東京都新宿区西新宿1-1-6ミヤコ新宿ビル ■設立 昭和42年3月 ■代表取締役社長 元橋康雄 ■事業内容 ・一般企業の管理者の合宿訓練による能力開発 ・各種セミナーの開催 ・企業内教育の視聴覚教材の企画、制作、販売 |
社員教育研究所 コミュニケーション能力強化研修 ラインアップ |
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