第1回 アクセンチュア 齋藤博史の「時に過酷な日常」
アクセンチュア 齋藤博史
2008/10/15
■6:00―― 起床
「パピ、あしゃでしゅよ……♪」
今朝も子どもたちの無邪気な笑い声に半ば強制的に起床を促され、長い1日が始まりました。わが家には妻と、4歳・2歳・0歳と続く3人の娘たちがいます。前の晩21時までに就寝完了の娘たちは、睡眠十分の態勢で、朝6時前後を境に次々と覚醒します。
一方の私はといえば、子どもたちの歌声に呼応して早朝出社をキメる理想的な自身の姿を夢に見つつ、不足しがちな睡眠時間を確保するための抵抗を続け、7時半過ぎをめどに起き始める……という次第です。
■9:00―― 出社、メールチェック
出社した朝一番に必ず行うことは、やはりメールチェックです。ただこの時、実はすでにメールは確認済み。なぜなら、前日夜の帰宅時と朝の出社前、自宅にて携帯端末からWebメールへアクセスし、目を通すようにしているからです。
これはクライアントからの依頼やクレームがあった場合、帰宅後でもすぐに対処するためと、夜間に問題が発生し翌日に対応が必要となった場合、出勤時間を利用してそのシミュレーションを行うため。かつての上司のマネをするうちに染み付いた「クセ」です。
実は昨晩、帰宅途中にチームメンバーから連絡があり、事前送付の資料について一部、追加の依頼があったとのこと。急ぎプロジェクトルームに戻って対応しました。今朝、念のため出社前にメールチェックをしたところ、なんとかOKとのことでした。
■10:00―― 会議提出資料のレビュー、チームメンバーへの作業指示
プロジェクトメンバーがそろう時間帯になりました。現在私の担当しているプロジェクトは、社内でも珍しいことに、私以外のチームメンバー5人全員が女性です。案件に対しスキル・経験的にマッチする人材を社内で探したところ、結果としてたまたまそうなったというだけで、意図的なものは何もないのですが、私にとってチーム運営上初めての経験です。
この時間、私が忙しく作業を始めていても、レビュー依頼や相談事が容赦なく矢継ぎ早に舞い込んできます。クライアントとの会議日程が近づくにつれ、彼女たちの表情が鬼気迫るものになってきます。これまでの会議やヒアリング、受領資料を基に、「クライアントが何を求めているのか」「それに対するわれわれの解とその根拠は」について議論を続け、徹底的に掘り下げます。
そして私は、毎日恒例の「The夜のレビュー」に向け、より深い検討が必要な個所や修正事項について指示を出します。
先ほど彼女たちが持ってきたのは、明日予定の定例会に向けて、前方フェイズで抽出した課題に対する解決案でした。しかしどうも、表面的な事象にのみとらわれ、本質的な対策になっていないような……。
この日、私がチームメンバーに対してていねいに伝えたことの趣旨は、「われわれが単なる評論家に陥らないために、考えておかなければならないことは何なのか?」ということでした。
■11:00―― 社内事例、業界・技術動向の調査・分析
プロジェクトではこれまで、「システム運用の標準化」をテーマに検討を進めてきました。運用業務自体は、実行メニューとして見ればクライアントごとに大きく変わるものではありませんが、抱えている課題や重視すべきポイントはそれぞれです。
ITILやCOBITといったベストプラクティスや標準フレームワークと呼ばれるものをどのように適用すべきか検証すること、社内に蓄積された他社事例を照会できるKnowledge Exchange(KX)という仕組みをいかに利用するか検証を行い、チームメンバーと情報を共有することも重要な作業です。
■13:00―― Lunch-On Meeting(提案準備などのブレスト)
昼食の時間は多目的に利用可能です。この日はランチミーティングを開催しました。さまざまなプロジェクトからメンバーを募り、ITコンサルタントとして実現したいことについて、自由な発想で意見を交わす場としました。必ずしもシステム導入を前提としないオープンなスタンスで、ITコンサルタントの旺盛な向上心を刺激しながらブレストを行いました。
ITコンサルタント1人1人は、自らの能力・経験に裏付けられた価値創造への強烈な欲求に支えられ、時に過酷ともいえる日常を送っています。その熱い思いを最大限に盛り上げ、そこから発せられるアイデアについて議論を繰り返すことで、実現可能性の高い提案が生まれるものと考えます。
自社に戻って会議、再びプロジェクトルームで「The夜のレビュー」 |
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