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ITコンサルタントの1日を追う!

第1回 アクセンチュア 齋藤博史の「時に過酷な日常」

アクセンチュア 齋藤博史
2008/10/15

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14:00―― 社内事務作業(作業進ちょく、予算、品質管理状況レポートなど)、上司への報告資料の準備

 いったん、クライアント先のプロジェクトルームを離れます。私はプロジェクト管理者として、定期的にまた必要に応じ、プロジェクトの進ちょく状況、財務・品質管理の状況や今後の運営上のリスクについて社内報告を行わなければなりません。

 また、プロジェクトの新規立ち上げに際しては、スケジュールや人員計画、財務計画などの資料を入念に準備したうえで、公共サービス本部長やアジア・パシフィック地域の責任者による承認を得ることが求められます。その準備のためにオフィスに戻ってきました。

16:00―― プロジェクト担当パートナーとの打ち合わせ

 いよいよパートナーと呼ばれる会社の上司との、プロジェクトの全般的な状況に関するディスカッションの時間になりました。用意した報告資料の確認はそこそこに、パートナーからほかの類似プロジェクトでの教訓や具体的なアセットなどを参考に、今後のプロジェクト運営における留意点やアドバイスを受けました。必要であれば、知見のある人を紹介してもらえるという特典が付くこともあります。

17:00―― 他専門グループのシニア・マネジャーと打ち合わせ

 引き続き、今回のプロジェクトに関係の深い社内の専門グループに所属するシニア・マネジャーとの打ち合わせを行いました。

 実は彼女とは以前、別のプロジェクトで一緒に仕事をしたことがあります。今回の案件について相談を持ち掛けたところ、多忙にもかかわらず快く時間を割いてくれました。困ったことがあるときは、喜んで互いに知見を共有するというのが、当社の素晴らしいところです。

18:00―― キャリア・カウンセリング

 プロジェクトルームに戻る前に、自分のカウンセリンググループに所属する若いITコンサルタントたちと、今後のキャリア構築について意見交換を行いました。

 アクセンチュアには、「キャリア・カウンセリング」という制度があります。マネジャー以上の職位にある者がカウンセラーとなって、プロジェクトとは直接かかわりのないITコンサルタントを複数名担当し、彼/彼女らの悩みや希望を聞き、アドバイスをし、共に考える機会を持つという制度です。

 この日は、中途でアクセンチュアに入社したばかりで、今後どのように社内でキャリアを構築したらいいか考えているAさん、入社2年が経ちそろそろITコンサルタントとしてのコアスキルを固めたいと希望するBさん、2人との個別面談を行いました。

 彼らとは直接プロジェクトでかかわっているわけではないので、しばらく会う機会がありませんでした。メールで連絡を取り合っていても、本人の心境はなかなかそれだけで推し量れるものではありません。そうしている間に本人を取り巻く状況が大きく変わり、モチベーション、仕事や会社に対する考え方、またカウンセラーである私自身に対する見方などが激変していることもあります。

 そのため、実際に本人たちの顔を見るまで少し心配でしたが、今日は前向きに仕事に取り組んでいる様子が確認でき、有意義なディスカッションができました。

20:00―― 会議提出資料のレビュー、チーム内ディスカッション

 プロジェクトルームに戻ってきました。チームメンバーはもうそろそろ帰り支度をしているものと思いきや、ギンギンに冴え渡った様子でPCに向かっています。「そろそろやりますか?」「待っていました!」とばかりに、この時間から大レビュー大会が始まりました。これこそ毎日恒例の「The夜のレビュー」です。

 論点は「全体最適」です。システム運用の標準化を目指すに当たり、これまでこまごまと課題を抽出し、それらに対する施策を打ち出す検討を行ってきました。しかし、バラバラに施策を適用しても、運用業務全体として意味のある効果をもたらすことができなければ、それは無駄な鉄砲玉に過ぎません。

 クライアントは何を求めているのか。これまで表現されてきたことの本当の意味を問い直し、真に向かうべき方向性を見いだしたうえで、それと合致する効果を見込める施策とするべく、侃々諤々(かんかんがくがく)の議論が続きました。

 結局のところクライアント視点といっても、情報の断片を拾い上げ、さまざまな切り口から知恵を集約し、その繰り返しの果てにたどり着く結論ではないか。そんなことを考えながら、今日も夜は更けていきます。

24:00―― 帰宅

 「ただいま〜」。遅くなっても妻は起きて待っていてくれます。向こうの部屋には、3人の娘たちが思い思いの方角を向き、折り重なるようにして眠っているのが見えます。

 「明日の朝はできるだけ遅く起きるのだよ」、憂いなき健やかな寝顔に向かってそういい聞かせているうちに、遅い夕飯の支度ができました。

 今日は、クライアントとの会議がなかったにもかかわらず、ほとんど話し続けて終わったような1日でした。しかし、この日が特別というわけではなく、ほぼ毎日そのような形で時間が過ぎていきます。私の場合、どちらかというと、多くの人とのディスカッションの中から答えを見いだすことが多いのかもしれません。

 次回は「イベント編」として、クライアントとの会議などイベントが予定されている日を振り返りたいと思います。

 

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筆者プロフィール●齋藤博史(さいとうひろし)
アクセンチュア システムインテグレーション&テクノロジー本部

マネジャー
1977年生まれ。2002年アクセンチュアに入社、官公庁本部(当時)に配属。地方自治体の電子化や大手法人における大規模業務・システム変革プロジェクトなどに、新システムの実行基盤構築やパッケージシステム導入、データ移行などの実務担当者として参画。官公庁の民営化プロジェクトにおいては、業務およびシステムの円滑な移行、民営化後組織の立ち上げを担当するPMOメンバーとして活躍。直近では官公庁組織統合に伴う関連プロジェクトを担当。2007年9月から現職。


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