第2回 会議は問題解決のための知的格闘技
アクセンチュア 齋藤博史
2008/11/17
■15:00―― 新規提案資料の準備
予定どおり報告会が終わり、次の会議に向けた資料の最終確認です。この段になってジタバタしても仕方ありませんが、ギリギリまで資料の内容をなぞり、伝えたいことの本意を自分の中で確認します。マズイ! 急いで印刷しなければ!
■16:00―― 会議(新規提案)
今回の提案に際しては、私の所属するグループだけでなくほかの専門グループのコンサルタントの助言や、KX(Knowledge Exchange)という当社の過去事例を蓄積・照会できるシステムを活用して資料をまとめました。
世界中のさまざまな業界・業種のクライアントにおける、あらゆるテーマに基づく事例を探索しながら、あらためて思うことがあります。
時には革新的で発明的なアイデアをゼロからつくり出す必要もあるでしょう。でもそれよりも重要なのは、膨大な事例のテーマごとの趨勢(すうせい)や関係を理解し、クライアントの実情や課題を的確につかみ、基本形を基に最適な枠組みをつくることなのではないか、ということです。
提案内容について、クライアントからは、さまざまな視点からの質問がありました。どうやら興味を抱いてもらえたようです。クライアントは、類似組織の同様なテーマでの取り組みでは、具体的にどのような対応を採っているかに強い関心を持っていました。今後の宿題です。
■18:00―― 移動、社内トレーニングの準備
かなり気張っていたのでちょっと疲れました。ですが、今日はもう一仕事ありました。若手コンサルタント向けの社内トレーニングの講師です。オフィス近くの貸会議室に移動し、トレーニング資料やプロジェクタの準備をします。
■19:00―― 社内トレーニング講師
アクセンチュア社内の組織改変に伴い、私の所属グループでは、今年より「Capability Building」という取り組みを始めることになりました。主に入社5年目未満までの若手コンサルタントを対象とした、公共サービス領域関連のプロジェクト経験のあるマネジャーによる講義形式のトレーニングです。
今回、私は全5回シリーズのうち2回を担当することになりました。年明け早々の第1回は、官公庁の民営化プロジェクト事例を基にした、PMOプロジェクトの勘所について。この日行った第2回は、ERPパッケージシステム導入の光と影についてでした。
トレーニングは、単純な事例やノウハウを伝えるにとどまりません。プロジェクトに配属された際に要所を明確にすること、有効活用できるアセット(フレームワークやツールなど)を共有すること、アクセンチュアのコンサルタントが伝統として引き継いできた「魂」などを伝えるのが目的です。
講義中、盛んに質問の声が上がりました。講義終了後も居残って個別に話を聞きに来たり、後日メールで質問が飛んできたりと、向上の意欲に燃えた将来のリーダーたちの意識の高さには、こちらが学ぶべきところも多くあります。
■21:00―― クライアントとの会議結果を受けた作業計画の見直し
私は、どちらかというと燃費の悪い大排気量車型です。昼ごはんをたらふく食べても夕方までにはおなかが空いて、ひどいときには手が震えてきます。まして、こんな時間まで何もまともに口に入れずにきてしまうと、脳ミソがカニミソになってしまったように思えてきます。
今日の会議でクライアントからもらった意見や指摘の数々を、資料を読み返しながら振り返ります。菓子パンを口に運びつつ、燃料は残り少ないながらアクセル全開で、今後の作業のスケジュールや検討の進め方を一気呵成(かせい)に見直しました。クライアントからのリクエストにいつまでに回答するかのめどを立てたところで、今日のところは仕事を終えることにしました。
第3回は「休日編」です。私の場合、普段おろそかになりがちな、子どもたちと過ごす時間に当てるようにしています。一方で、休日には、仕事で得られた経験を基にアウトプットを生み出す機会があります。そうした観点から、また別のとある1日を取り上げてみたいと思います。
筆者プロフィール●齋藤博史(さいとうひろし) アクセンチュア システムインテグレーション&テクノロジー本部 マネジャー 1977年生まれ。2002年アクセンチュアに入社、官公庁本部(当時)に配属。地方自治体の電子化や大手法人における大規模業務・システム変革プロジェクトなどに、新システムの実行基盤構築やパッケージシステム導入、データ移行などの実務担当者として参画。官公庁の民営化プロジェクトにおいては、業務およびシステムの円滑な移行、民営化後組織の立ち上げを担当するPMOメンバーとして活躍。直近では官公庁組織統合に伴う関連プロジェクトを担当。2007年9月から現職。 |
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