Tech総研
2009/12/1
いつの時代でも、年代によるものの考え方や行動などの違いは存在する。今回は、いわゆる「ゆとり世代」と呼ばれる20代前半の若手と30代前半の中堅エンジニア、両者における仕事上のギャップについて探ってみたい。(Tech総研/リクルートの記事を再編集して掲載) |
はじめに:若手VS中堅エンジニア 半数以上がお互いのギャップを実感している |
今回は、無作為に抽出した20代前半(20歳〜24歳)の若手エンジニア150人と、30代前半(30歳〜34歳)の中堅エンジニア150人、合わせて300人に対してアンケート調査を実施した。
「お互いの仕事に対する考え方や取り組み方、また人間関係の付き合い方など仕事上におけるなんらかの違いやギャップを感じたことがあるか?」との問いに対して、55%(若手52%・中堅58%)が「ギャップはある」と回答している。
図1 相手に対して感じるギャップ(複数回答) |
さらにそのギャップの詳細に関して質問してみたところ、図1のような結果になった。
若手エンジニアでは、残業や休日出勤などの勤務時間に対する考え方のギャップが第1位であるのに対し、中堅エンジニアではおよそ半数が仕事に対する基本的な取り組み姿勢のギャップを挙げている。
そのほかに関しては割合の違いはあるものの、若手・中堅両者とも仕事の進め方やルール、また人間関係上の付き合い方といった項目がそれぞれ、上位を占めた。
では実際、どういったポイントでお互い、ギャップを感じるのか? 今回のアンケートで明らかになった、エンジニアの本音の数々を紹介していきたい。
その1:若手VS中堅エンジニア 仕事のギャップを実感したシーン30連発 |
● 仕事の姿勢編:与えられたことしかしない若手? 効率の悪い中堅? 仕事の考え方・進め方は全く違う!
【30代中堅から見た20代若手】
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- 個人主義に走りすぎている。技術知識がある=能力があるといった勘違いが多い(31歳/ネットワーク設計)
- 自分が責任を負うような行動を嫌がる。できる限り上司の判断やマニュアルの範囲で行動し、自分自身で考えて行動しない(32歳/運用保守)
- 効率化を優先して、人との付き合いなどアナログ的なものには優先度を置いていない(34歳/システム開発Webオープン系)
- 「実施する必要があるかないか」ではなく、「やりたいか、やりたくないか」で発言する場面が散見される(35歳/システム開発Webオープン系)
- 与えられて育った世代なのか、技術屋としての向上心がない。自分に欠けているのは与えてくれないからそうなるんだ、というモノの考え方をする(35歳/システム開発Webオープン系)
【20代若手から見た30代中堅】
- 若い世代は楽なツールを利用し、効率よく仕事をしようと考えるが、上の人たちはそういうものを使わないといっている(22歳/システム開発Webオープン系)
- 上の世代のエンジニアはプログラムの処理効率にこだわって醜いソースを書きがち。もっと保守性・拡張性の高いソースを書いてほしい(23歳/システム開発Webオープン系)
- 規定にとらわれすぎて、書類ひとつ出すのにも効率がすごく悪い(24歳/機械設計)
- 「エンジニアとは!」という姿勢が強い。エンジニアというより社会がどのように流れているかを理解し、新しい考えを取り入れたほうがいいと思う(24歳/システム開発ファームウェア系)
- 紙媒体で残したがる(22歳/システム開発Webオープン系)
【チェック!】
とにかく効率的に仕事を進めたい若手と、効率化するだけが仕事ではないと主張する中堅という対立の構図によるギャップが多数を占めた。また、仕事に対する責任感や技術屋としてのプロ意識に対する考え方の違いも大きいようだ。
● 勤務時間編:残業嫌いな若手? 残業当たり前の中堅? 勤務時間に潜む大きなギャップ
【30代中堅から見た20代若手】
- アルバイトのごとく、残業時間をすべて残業として申請する。プロ意識がないように感じる(33歳/システム開発Webオープン系)
- 自分中心すぎて仕事のスケジュールを把握すらしていないときがあり、驚かされる(33歳/システム開発汎用機系)
- スケジュールに遅れが出ていても、他人が帰れば自分も帰る人がいる(32歳/システム開発Webオープン系)
- 休みを取らないと翌日の作業に差し障るという理由でチーム員に作業を押し付け、帰宅する人がいる(32歳/制御設計)
- 朝9時出社にもかかわらず来ないし、連絡もないなど、社会人としての常識に乏しい(32歳/システム開発Webオープン系)
【20代若手から見た30代中堅】
- 若手は時計ばかり見ている。中堅はスケジュールばかり見ている(21歳/システム開発Webオープン系)
- 休日出勤を平然と行っているが、効率を重視して定時に終わらせるように努力するべき。仕事よりも自分の健康を損なってしまっては意味がない(22歳/システム開発汎用機系)
- むちゃくちゃな残業をしてでも納期に間に合わせる。若手は納期を仕事に合わせる(23歳/システム開発Webオープン系)
- はじめから残業を考慮に入れて計画を立てている中堅の考えには納得いかない(24歳/システム開発Webオープン系)
- 仕事に没頭しすぎている。プライベートを楽しもうとしていない(22歳/システム開発汎用機系)
【チェック!】
いちばんの違いは、残業や休日出勤を当たり前と考えるか否か。その根底には、先述の仕事に対する考え方にもあった「作業の効率化」に対する意識や、プライベートな時間を大事にしたいと考える若手が増えている現実があるようだ。
● 人間関係編:ドライな関係を求める若手? ホットな関係を求める中堅? フクザツな人間関係
【30代中堅から見た20代若手】
- 社交辞令というものを知らず、飲み会などに誘っても絶対来ない(32歳/システム開発Webオープン系)
- 先輩を尊敬しろとはいわないが、友達のように話しかけるのはやめてほしい(33歳/サービスエンジニア)
- コミュニケーションを図る場合でも「話しかけられてと当然」と思っており、自ら行動しない(35歳/システム開発Webオープン系)
- 言葉遣いが悪いうえに返事をしない。まるで小学生を相手にしているよう(31歳/機械設計)
- お酒を飲めない若者が多いので、飲み会に誘いづらい(33歳/システム開発Webオープン系)
【20代若手から見た30代中堅】
- 仕事の付き合いが休日もそのまま延長される。飲み会や球技大会など、退社後や休日も会社に束縛されている感じがしてついていけない(24歳/回路設計)
- 飲み会に参加しろとうるさい。仕事のうちだといわれ、二次会に行かないとこれもグチグチいわれる(23歳/運用保守)
- 昼食時は同じ課で自然と集まって食べるし、飲み会も結構あるから、休憩時間や定時後にそこまで付き合う必要はない(22歳/システム開発Webオープン系)
- 上は時間外の飲み会などでじっくり腰を据えて話をしたがる。若い人は自分のメリットにならない飲み会には付き合わないと思う(23歳/システム開発Webオープン系)
- とにかく誘ってでも飲みに行って、コミュニケーションを深めようとする姿勢に驚いた(23歳/研究特許)
【チェック!】
ここでも、「自分の時間を大切にしたいから、不必要な誘いは断りたい」と考える若手と、「飲み会も仕事のうえで重要な時間」ととらえる中堅、双方の考え方のギャップが明らかに。また、若手に対する言葉遣いや立ち居振る舞いに対して苦言を呈する中堅の意見も目立った。
「容認できるギャップ」と「容認できないギャップ」 |
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