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転職。決断のとき

第51回 現職に不満はない。でも英語を使って仕事をしたかった

加山恵美
2009/10/21

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転職が当たり前の時代になった。それでも、転職を決断するのは容易なことではない。スキルを上げるため、キャリアを磨くため、これまでと異なる職種にチャレンジしたり、給料アップを狙ったり――。多くのエンジニアが知りたいのは、転職で思ったとおりの仕事ができた、給料が上がった、といったことではなく、転職に至る思考プロセスや決断の理由なのかもしれない。本連載では、主に@ITジョブエージェントを利用して転職したエンジニアに、転職の決断理由を尋ねた。

今回の転職者:松本裕樹氏(仮名・33歳)
システム会社に新卒入社。10年間、方式設計、インフラ設計、アプリ性能評価、チームリーダーなどを経験。英語力を活かしたいと考え、ITアーキテクトとして転職した。

 今回の転職者は松本裕樹氏。新卒から10年勤めた会社を離れ、英語力を生かせる職場でITアーキテクトとして転身を果たした。転職活動の終盤では、タイミングに惑わされることもあった。

着実に成長してきた10年間

 松本氏はエンジニア歴10年のベテランだ。エンジニアになる前に抱いていたエンジニアのイメージを思い出してもらうと「ゲーム制作なら想像できますが、企業向けのシステム開発はイメージができませんでした。ただ純粋に人の役に立つものを構築し、評価してもらえる仕事がしたいなと考えていました」と話す。

 新人研修では主にSQLとCOBOLの基礎などを学んだ。だが、配属された部署ではC言語が中心だったという。もともと英語力を買われての配属だった。プロジェクトで翻訳の可能性があったからだ。実際には翻訳作業は必要なく、新人研修で学んだことは生かせなかった。だが「新人研修だけでは本当に業務で使えるレベルとはいえないので、どこに配属されても大して変わりません」と松本氏はいう。

 最初のシステム開発にはトータルで3年ほど携わった。それほど大きな案件ではないが、一度構築したシステムを別の顧客向けに改良するなど案件の拡張があったため、期間が長くなった。その後も1、2年を周期に比較的長い期間のシステム開発の実績を重ねた。

 次第にメンバーからグループリーダーへと昇格していった。転職前で最後にかかわったプロジェクトはこれまでにないほど大規模なもので、参加するエンジニアは1000人以上。これまでとは違う世界を見た。

 「それまで下請けが多く、間接的に開発を進めていて全体像や現場の要望は実感できませんでした。しかし、この時は大規模なプロジェクトの調整役になり、現場の声を直接聞くこともありました。仕事をより面白いと思えるようになりました」。

30歳を越して仕事と人生を見つめ直す

 役職や予算をあてがわれるなど着実にレベルアップし、大規模プロジェクトの一翼を担い、仕事が面白くなってきた。だが心境が変わってきた。プライベートに変化があり、自分の人生と仕事を見つめ直す機会があった。30歳を越えたという年齢の影響があったのかもしれない。

 このまま会社に残るか。または転職するか。

 転職を迫られるような切迫した状況ではなかったが、このままでいいかというと、そうとも思えなかった。いくつか理由があった。まず年収。もう少し上げたい。そして得意の英語力。TOEICでは815点、英検では準1級だが、そのスキルが生かされるような案件はなかった。このままでは宝の持ち腐れである。

 とはいっても、会社にはそんなに不満はない。「10年も勤めたのに」と、転職するのはもったいない気がした。居続けることでいいこともあるだろう。会社の経営も安定していた。合併を重ね、社員は入社当時の約100人から約700人まで増加した。入社して10年、自分の成長とともに会社も発展してきた。

 それに転職は未経験なので、転職で何をすればいいか、何が起こるかも明確なイメージがわいていなかった。これでは判断しようがない。そこで転職セミナーにぶらりと足を運んでみることにした。2007年末のことだった。

転職への「スイッチ」が入った

 まだ転職を決断したわけではなかったが、ここが転職のスタート地点になったのだろう。転職セミナーで転職のあれこれを知るようになり、転職サイトへの登録をぽつぽつと始めた。そして「自分の適職は何か」とあらためて考えるようになった。

 「自分は特定の分野のスペシャリストではない。では、何が向いているだろうか」。

 当初はさほど転職に対して意欲をみなぎらせるということはなく、漠然と進む道を考えていた。だが転職サイトへ登録し、スカウトメールを受け取ったり、転職のノウハウを見聞きしていたりしているうち、次第に気持ちは固まってきた。「機が熟した」といえばいいだろうか。

 2008年3月、転職を決心した。ちょうど、何人かの転職エージェントと面接を始めたころだった。この先どうなるかは分からないが、「スイッチが入りました」と松本氏はいう。気持ちに踏ん切りがついたのだろう。

 上司との面接が岐路になったのかもしれない。上司から昇進の話を向けられた。転職活動を始めたばかりで、内定を取れるかもまだ分からない段階だ。こういう場合、内定先が決まるまでは昇進を受諾するケースが多いのではないだろうか。

 だが松本氏はそうしなかった。後ろめたさがあったからだ。転職が決まれば昇進する人物はいなくなる。去る可能性があるのに昇進を受け入れるのは不誠実と感じたようだ。それで昇進を断った。断れば上司は当然ながら「なぜ?」と質問する。

 「転職するからです」と松本氏は上司に理由を告げた。

   

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