第3回 目標面談のタイミングで「キャリアの微調整」を
樋口研究室
樋口節夫
2010/10/25
■ 目標設定シートを見直してみよう
ここまでで説明したことを頭に入れて、もう一度、自分の書いた目標設定シートの内容を見てください。
1つ目の「キャリア」に関する項目では、自分のスキルや知識、経験の向上につながるような目標を書く必要があります。例えば、
- 顧客の業務について深く知りたい
- データベースやプロジェクトマネジメントなどの専門知識を身に付けたい
- そのために研修やセミナー、勉強会に出席したい
などの目標が必要です。
2つ目の「チーム」に関する項目では、あなたが実行するとチームやメンバーの満足度が上がるような目標を書く必要があります。例えば、
- 自分の経験したトラブルの事例をみんなで共有して失敗を防ぐ
- ミスや漏れを少なくするために報告書のフォーマットを統一する
- 毎朝10分の会議をする
などのような目標を書いてみましょう。
3つ目の「ビジネス」に関する項目では、あなたが会社に貢献する目標を、少し格好良く書いてみるといいでしょう。例えば、
- 納期やコストを守る
- 製品やソリューションを企画/開発する
- 学会や研究会で論文を発表する
などの目標を書くようにします。
今回、あなたが見直す目標設定シートは、上記のような書き方に沿って書かれていないかもしれません。でも、それはそれで構いません。次回、目標設定シートを書くときは、ここまで説明したことを念頭に置いて書くようにしてみましょう。
ポイントを押さえて書くことで、目標面談の時期がくるたびにイヤな気持ちになることはなくなるでしょうし、いままでよりも意味のある(中身の濃い)目標面談ができると思います。
■ 目標面談のタイミングを「キャリアの微調整」に活用する
ところで、目標面談に書く項目は、「会社のビュー」に焦点を合わせた目標です。
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しかし「会社」は、所属している部やチームの目的が達成されたら解散してしまうかもしれません。目標が変わると、会社や組織は統廃合をする可能性もあります。
そういうことがたびたび起こると、あなたのキャリアは不安定になると思います。
そこで、会社の目標面談の際は、ぜひ自分の目標設定を作るビューを、もう1つランクアップさせて考えるようにしてください。
会社から一歩外に出ると、あなたに求められるスキルや経験は変わることがあります。付き合う顧客や同僚が変化すると、相手が求めてくるポイントも変わってきます。あなたの活動範囲が大きくなると、貢献の大きさが変わり、会社だけではなく、地域や社会、日本、中国など、世界へ広がっていきます。
逆に、自分の仕事を会社のビューだけで眺めていると、最初は良くても、5年、10年と年月がたつと、時代の流れや顧客の思考とズレが生じてきます。そのズレをできるだけ早いうちに察知して、修正しなければなりません。そのためにも、頻繁にあなたのキャリアを、もっと大きなビューで見直してみるようにしてほしいのです。
このように自分のキャリアをいつもと違ったビューで見直すことを、筆者は「キャリアの微調整」と呼んでいます。
キャリアとは、仕事を基盤にした人生の設計図です。この設計図をタイミング良く描き直していくことで、強いキャリアをつくっていくことができると思います。皆さんも会社の目標面談の機会に合わせて、キャリアの微調整を実行してほしいと思います。
■ 三人称ビューをキャリアづくりに生かす
自分のキャリアをうまくつくっていくには、以下に解説する「三人称ビューチェンジ」という方法を使うと便利です。このビューは、前述した目標設定シートでも使用しています。
このビューの範囲を大きくしたり小さくしたりすることで、あなたの貢献の範囲を決定してください。そして、それに合った仕事をするようにしてください。
図 三人称ビューチェンジで、あなたの貢献する範囲と方向を決めて仕事をしよう |
1. 「わたし」に貢献するビュー
自分自身を成長させる目標は何でしょうか?
2. 「あなた」に貢献するビュー
相手を成長させる目標は何でしょうか?
3. 「みんな」に貢献するビュー
自分の周りのすべての人を成長させる目標は何でしょうか?
筆者プロフィール |
樋口節夫●樋口研究室のマスターコーチ。株式会社ビューチェンジの代表取締役。 |
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