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ITエンジニアの転職観、キャリア観を追う!

荒井亜子、大内隆良(@IT自分戦略研究所)
2007/7/31

開発から上流へ

 読者に「現在の職務内容」について尋ねたところ、25.7%が「システム開発(オープン/WEB系)」と回答し、ほかの職種を大きく引き離して1位だった。その一方で、今後も「システム開発(オープン/WEB系)」を続けたい人は、その24.1%にとどまった。読者全体でも、今後「システム開発(オープン/Web系)」を望む人は13.1%と低い。

 それでは、読者は「次に担当したい職務」は何だと考えているのだろうか。次に担当したい職務の上位は、「ITアーキテクト」の14.3%、「ITコンサルタント」の14.2%だった。開発現場から、上流工程の作業にシフトしたいという意欲が、こうした回答からも読み取れそうだ。

各雇用形態へのイメージは?

 回答者の就業形態を見ておこう。「現在の雇用形態」は、回答者の73.9%が一般正社員だった。それに対して派遣社員は1.5%、フリーランスは3.6%と少ないが、今後フリーランスを希望する人は13.6%に上った。

 次に、各雇用形態に対して読者はどのようなイメージを抱いているのだろうか(図3)。

図3 各雇用形態に対するイメージ(複数回答で、N=742)
正社員、派遣社員、フリーランスという雇用形態に対するイメージ。それを回答者の現在の雇用形態(正社員、派遣社員、フリーランス)別に見た結果だ。

 図3を見ると、派遣に対するイメージは、「いろいろな業務に携われる」「若い人向けだ」「気楽である」といったことが上位にくる。長くは続けられないが、若いうちにさまざまな業務を経験し、自分の適性や方向性を見極める選択肢として派遣社員を考える人が多いようだ。

 フリーランスについてのイメージは、「自分の能力を生かせる」「やりたいことができる」が上位に挙がる一方、「リスクが高い」というイメージが強いことから、請け負った仕事が失注しないかどうかや、次の仕事がくるかどうかといった不安を読み取ることができそうだ。

 正社員(管理職・一般社員含む)に対するイメージはどうだろうか。「長く続けられる」が84.1%で最も多い。また「キャリアデザインがしやすい」も52.6%で多く、正社員は安定したキャリアアップが図れるようだと読者は見ているようだ。

 意外だったのは、正社員は「主体性を持って働ける」と回答した人が53.5%と、フリーランスに対する回答とほぼ並ぶことだ。一方、「やりたいことができる」と回答した人は、フリーランスでは61.7%、正社員では28.3%と、フリーランスの方が圧倒的にやりたいことができるとするイメージが強い。この違いは何に起因するのだろうか。

 これは、フリーランスは目的を自分の意思で自由に定めることができるというイメージが強いが、正社員は与えられた目的に対して、やるべきことや自分自身の役割を見定め、業務遂行するというイメージがある。このイメージの違いから、フリーランスの方が「やりたいことができる」という回答が多かったのだろうか。

現状に満足は半数近く

 「現在の仕事における総合満足度」を聞いたところ、「とても満足している」は5.5%だが、「やや満足している」は39.4%で、両方の回答を合計すると44.9%の人は満足派、と呼べそうだ。それに対して「やや不満である」「とても不満である」の不満派は、合計で32%だ。

 これらの回答を、視点を変えて見てみよう。職種別に見て満足していると答えた人は、「ITコンサルタント/アーキテクト/プロジェクト・マネージャ」といった上流工程に携わる機会の多い職種の回答者(103人)で、58.3%と最も多い。それに対して「システム開発(オープン/Web系)」で働く人(191人)は39.8%と最も少なかった。

 雇用形態別では、「契約/派遣社員/フリーランス」で満足と答えた人が50.0%、「一般正社員」が41.8%と、若干ではあるが「契約/派遣社員/フリーランス」の方が満足度が高い結果となった。

4人に1人が会社以外でも活動

 ここまで、ITエンジニアの転職やキャリアを中心に見てきたが。ここでは、転職やキャリアを離れ、「エンジニア個人の関心事」について見てみよう。最も関心が高いのは、「これからのキャリアプラン」で62.8%。その次に「いまの業務に必要なスキルの向上」57.3%と「待遇(年収やポジション)をいかに上げるか」の56.7%がほぼ並んだ。個人的な趣味やワークライフバランスよりも、キャリアやスキルの向上に目を向けているようだ。また、「会社以外でのITエンジニアとしての活動」を挙げる人も24.9%おり、およそ4人に1人が会社以外でITエンジニアの活動をしているという。ITエンジニアのエンジニアリングへの熱意、向上心の高さがうかがえる。

 図4は、ITエンジニア個人としての関心と満足度によるクロス集計の結果だ。「いまの業務に必要なスキルの向上」は、「不満である」人(46.4%)より、「満足している」人(64.9%)の方が高い。そして、現状に不満である人(42.3%)は、満足している人(11.7%)よりも、スキル向上などよりも「キャリアチェンジ」への関心が高く、職種を変えたいと考えている人が多いようだ。

図4 エンジニア個人の関心と満足度によるクロス集計の結果。「いまのあなたご自身の関心事としてあてはまるものをすべてお選びください」に対する回答(複数回答で、N=742)
全般的には、エンジニア個人の関心は「これからのキャリアプラン」や「いまの業務に必要なスキルの向上」「待遇(年収やポジション)をいかに上げるか」にあるようだ

英語を重要視している人は多い

 最後に、読者が「IT業界の今後の動向」についてどう考えているかを確認しよう。

 この質問に「ITエンジニアに英語力が必要」と回答した人が66.3%とずば抜けて多く、英語を重要視していることが分かる。新しい技術の動向に関する文献は英語で書かれていることが多い。また、開発現場では、オフショア開発が普及するにつれ、外国人のITエンジニアと作業をする機会が増えつつある。そうしたことが英語を重視する背景にあるのかもしれない(図5)。

図5  「あなたはいまのIT業界や、これからの動向をどのようにお考えですか」に対する回答(複数回答で、N=742)

 このほかに目立った回答としては、「人月での見積もりはこれからも続く」(47.8%)や「ITエンジニアの階層化がより鮮明になる」(47%)、「ITエンジニアという職業の人気が落ちてきている」(40.2%)といった、ITエンジニアやIT業界のマイナス要因が上位に挙がった。好景気という現状に対して、少なくとも読者は、ITエンジニアやIT業界の将来に、厳しい視線を向けているようだ。


 いかがだろうか。ITエンジニアの皆さんの転職、キャリア構築の参考になるだろうか。

 @IT自分戦略研究所では、今後も読者調査やアンケートを基にした記事を公開していく予定だ。そのためにも、読者の皆さんのご協力をぜひともお願いしたい。


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