荒井亜子、大内隆良(@IT自分戦略研究所)
2007/7/31
@IT自分戦略研究所の読者は、転職やキャリアについてどのように考えているのか。それは、最新の読者調査からその一端をうかがうことができる。そんな読者の本音を届けよう。 |
@IT自分戦略研究所とJOB@ITは、2007年5月17〜28日の期間、読者を対象とした「@IT自分戦略研究所/JOB@IT 読者調査 2007年春季版」を実施し、ITエンジニアを中心に転職意識、キャリア意識について調査した(回答数:742、平均年齢:33.7歳)。
本記事では、その結果をお伝えする。今後、転職やキャリアを考える際の参考にしていただきたい。
ITエキスパート転職最前線〜約8割が転職に前向き
まずは転職関係に関連した読者の回答を中心に見ていこう。
■転職経験者は5割を超える
初めに、現在読者が「どの程度転職を考えているか」を見てみよう。「現在転職活動中」「半年以内」「1年以内」「近い将来」転職を考えている転職顕在層は37.3%と4割近い。また、「良い話があれば」転職をしたいという転職潜在層は、42.3%だった。顕在層/潜在層を合わせると、ほぼ8割の読者が転職に前向きだ(図1)。
図1 「転職を考えているか」については、「現在転職活動中」「半年以内」「1年以内」「近い将来」転職を考えている転職顕在層は37.3%。「良い話があれば」まで入れれば79.6%の人が転職を考えていることになる(N=742)。 |
この調査に基づいた当社のプレスリリースでは、「現在転職活動中」「半年以内」「1年以内」を転職意欲層とした。この点について本記事では「近い将来」までを含め、転職顕在層と定義している。これまで、編集部では近い将来までを転職顕在層としてきた(参考記事:「第3回 読者調査結果発表」。先のプレスリリースによる定義との違があることにご留意いただきたい。読者の皆さんは戸惑うかもしれない。そのため、今後定義を統一するかなどを含めて、編集部で検討したい。 |
では、実際に転職を経験した人はどのくらいいるのだろうか。実は、最も回答が多かったのは「就職してから転職したことはない」の43.4%だった。しかし、「2度以上経験したことがある」の28.7%と「1度だけ経験したことがある」の25.9%を合わせると、回答してくれた読者のうち半数以上は転職の経験があることが分かる。
■今後は企業からのスカウトに注目か
では、実際の転職活動の方法として、読者はどのようなものを利用しているのだろうか。転職経験者に、「転職の方法として利用したことがある方法」を聞いたところ、「求人広告からの応募」(48.1%)、企業への「直接応募」(44%)、「人材紹介会社」(41.7%)が多かった。「次に転職する際に使用したいと思う方法」で多かったのが、「人材紹介会社」(46.1%)、「企業からのスカウト」(45.7%)、「求人広告からの応募」(39.8%)だった。
この中で注目したいのは、今後スカウトを使用したいという45.7%という数字だ。数年前には、企業からのスカウトという手段はさほどメジャーではなかったと記憶する。とすると、短期間で読者に「企業からのスカウト」という言葉/サービスが浸透したようだ。
今後もスカウトを利用したいという人が多い状態が続くのか、利用した転職者が増えるのか、という点については、次回以降の読者調査の結果を待ちたい。
■転職の2大理由は、収入とスキル
転職するに当たって気になるのは、なぜ転職するかだろう。そこで、転職を考えている人たちに「転職する理由(原因、目的、メリット)」について尋ねてみると、「収入を上げたい、収入の上がる可能性を高めたい」(58.1%)と「もっとスキルアップしたい」(56%)が大きな理由として浮かび上がった。逆に最も少なかったのは、「もっと知名度のある会社に勤めたい」で11.2%であった(そのほかを除く)。
また、「今後転職するとしたら、転職先を選ぶ際に重視したい点」を聞いたところ、圧倒的に多いのが「現在よりも給与/年収が高い」の62.9%だ。ほかに特徴的なのは、「会社の規模が大きい」の8.9%や「ベンチャー企業」の4%の低さだ。この点からは、読者が企業の規模の大小や知名度(7.1%)などは問わず、気にしていないことがうかがえる(図2)。
図2 転職先選定時の重視点(複数回答で、N=742) 転職先選定時の重視点で多いのは、「現在よりも給与/年収が高い」の62.9%で、ほかよりも圧倒的に回答が多かった。 |
一方、転職を考えていない人が「転職しない理由」として挙げたのは、「いまの仕事にやりがいを感じている」が38.7%で最も多かった。次に多いのは「年齢的に転職できるかどうか不安」の36%だった。
■読者の平均年収は530万円
前述したように、収入は転職先を選ぶ際の大切な指標である。国税庁の「民間給与の実態調査結果」(平成17年分。リンク先はPDFファイル)によると、給与所得者の平均年収は437万円であり、読者の平均年収は530万円と100万円近く高い。
読者の職種別平均年収を見てみよう。絶対額では「ITコンサルタント」が702万円と最も高く、「システム開発(汎用機系)」が453万円と最も低い結果となった。視点を変えて年収を年齢で割った「1歳当たりの年収」で見た場合の給与水準が高い職種の上位は、「ITコンサルタント」19.4万円/歳、「プロジェクト・マネージャ」18.4万円/歳、「ITアーキテクト」17.8万円/歳、「プリセールス/セールスエンジニア」17.7万円/歳、という順であった。
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表1 職種別の平均年齢と平均年収の一覧(N=742) 各職種の後のカッコ内の数値はその職種に該当する人の回答。 |
ITエンジニアのキャリアビジョンは?
では次に、読者の将来のキャリアに対する回答を中心に見てみよう。
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