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第3回 コミュニティの成果をエンタープライズ領域へ

千葉大輔(@IT自分戦略研究所)
2007/10/26

コミュニティに参加するエンジニアは何が違うのか

金融ソリューション事業部 金融事業企画部長 飯田哲夫氏

 オープンソースコミュニティに参加するITエンジニアとそうでないITエンジニアの違いについて、「ものづくりに対する徹底的なこだわり」と渥美氏は話す。そのこだわりはソフトウェアを作ることに対する「根源的な喜び」から生まれるという。

 「コミッタにとって何がうれしいかというと、やはり自分が開発したソフトウェアが圧倒的に多くの人に使われていることが大きいと思います。この点では、SIerの業務としての開発では、使うユーザーは顧客に限られます」と渥美氏。

 また、Seasar2のような革新的な技術による開発基盤となるソフトウェアを作り上げるエンジニアは、ソフトウェア工学的な知識と意見、業界動向、実装技術へのこだわり、品質意識など、ずば抜けて高い能力を持っているという

期待することと会社とエンジニアのかかわり方

 「そうした高い能力を持ったエンジニアが、社会的に評価の高いソフトウェアを開発する。それについて、会社では評価されずに外でのみ評価されるということではなく、会社と外の世界の両方で認められるべきだと思っています。その両輪が重要ですね」と渥美氏は話す。また渥美氏は現在のメンバーに期待することとして、「現場の立場から優れた開発基盤製品をつくること」に加えて、「開発方法論を体系化すること」「自身の持つ能力をSeasar2以外にも広く発揮してほしいこと」を挙げる。

 また、飯田氏は「コミッタの人たちには、チーフコミッタという周りを引っ張っていくリーダーと、現場のエンジニアをつなぐ存在でもあってほしいと期待しています。両方の言葉を翻訳して、互いのコミュニケーションを助けてほしいですね」と話す。

 コミュニティ活動をする際に、注意してほしいという点はあるのだろうか。渥美氏は「いまはブログなどさまざまな情報発信ツールがあり、会社の人間という立場とコミッタ個人という立場の境界が引きにくいので、常識的な情報の管理には気を付けてもらえれば」と情報発信の観点から注意を促す。

 飯田氏は会社とオープンソースのエンジニアとのかかわり方という点から、次のように話す。「会社に対する貢献と、会社をうまく使ってやろうという部分をうまくバランスを取ってほしいと考えています。その部分がうまくバランスが取れると会社とエンジニアの関係ってよくなると思います」

 会社から支援だけ引き出そうとする。あるいは会社への貢献ばかり考えて、発言や開発が会社寄りになるのは、会社とエンジニアの双方にとってよいことではない。会社とエンジニアがうまく共生関係をつくっていける場が重要だ。

これからの企業とコミュニティ

 オープンソースのソフトウェアといえば、これまでは、ほとんど欧米のコミュニティが中心だった。企業とコミュニティとの付き合いは、日本では始まったばかりだ。「オープンソースをビジネスにするのはなかなか難しいが、会社とコミュニティがうまく相互増幅することで、日本発のコミュニティを暖かく育み、優れたエンジニアがわくわくする思いを実現する場を広げたい」渥美氏はそう語った。

 

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