第1回 勉強会は、講師と受講者のライブセッションだ
よしおかひろたか
2008/7/29
■なぜ学ぶのか、なぜ勉強会に参加するのか
私たちはなぜ勉強会に行くのだろう。なぜ勉強したいと思うのだろう。もちろん人それぞれの動機があり、十人十色の理由がある。
純粋に知的好奇心の赴くままにする人もいれば、とにかく仕事で素早く知識を獲得することが必要であるという、やむにやまれぬ人まで、千差万別であろう。
いますぐその知識が必要なのだという人にとっては、人と出会うことの重要性を理解することは難しい。何か現世利益があるかというと、私も強く主張はできない。そのような人にとっては一見無駄に見えるようなことでも、いつの日か、何かの役に立つということはある。まあ、そんなこともあるのか程度に思っていただいても結構である。
何年後かに、何かいいことがあるかもしれない。あまり合理性ばかりを追求していてもつまらない。そもそも勉強だって、何かの直接的な利益のためだけに行ってもつまらないではないか。純粋に楽しむという姿勢があってもいいと思う。
そういう意味では、単なるオフ会の延長線上で参加するというのも、あながち間違ってはいないだろう。
■どのように選ぶか
IT勉強会カレンダーなどで興味のある勉強会を選んでみよう。まずはスケジュールや勉強会のテーマなどから選ぶといい。会場や予算もチェックしたい。
共通の本を読むという形式の勉強会の場合は、課題となる書籍を購入して、ある程度予習していく必要があるかもしれない。単なるセミナー形式なのか、それとも参加者1人1人の積極的な参加が求められているワークショップなのかなど、自分の求めているものかどうかを確認する。
そうはいっても、それほど固く考えずに、取りあえず参加するというのがいいと思う。参加して、どうしても雰囲気が合わなければ次回から参加しなければいいわけで、もっと気楽に考えてみよう。
参加する勉強会が決まったら、あとは当日、参加するだけである。
■勉強会当日
特に決まりがあるわけではないが、初回の参加時には簡単に自己紹介ができるようにしておくといい。せっかく知り合いを増やす機会なので、名札を付けたり、名刺交換をしたりしよう。学生など名刺を持っていない人は、これを機会に作っておくといい。ブログや日記を書いているなら、そのURLを書いておくと、話のきっかけ作りに役立つ。
勉強会では積極的に質問をする。
勉強会はライブだ。先生が一方的に話をするのではなく、受講者とのライブセッションである。質問は参加者全員にとって新たな知見を得るきっかけになる。どんな簡単なことでも臆せず質問しよう。それは話をしている講演者にとって、絶対にプラスになる。質問者にとってもプラスになる。参加者にとってもプラスになる。いい勉強会は質問を奨励している。
あらかじめ、1つは質問をするよう、自分にプレッシャーをかけておくといいだろう。何でもいいので1つは質問をする。
■懇親会に参加する
勉強会によっては、懇親会が付く場合がある。可能ならば、できるだけ懇親会は参加するようにしたい。初対面で硬い空気が漂う場合でも、懇親会で適度なアルコールが入ると、リラックスして打ち解け、いろいろな話ができるようになる。
私などは、懇親会に参加したいがために勉強会に出ている節がある。
参加者の裏話などもいろいろ聞けたりするので、懇親会に出ないわけにはいかない。勉強会に行って懇親会に参加しないで帰るというのは、勉強会の価値の30%も甘受していないことになる。
■ブログに感想を書く
勉強会は自宅に戻ってブログなどにまとめることによって完結する。楽しかったこと、反省点、次回への改良点などがあれば記しておく。
主催者への感謝なども記しておくと、次回、よりスムーズで楽しい勉強会が開催されることになる。
多くの主催者は手弁当で開催しているので、参加者からのリアルなフィードバックは大変励みになるし、次回以降の運営の参考にもなる。そのようなモチベーションがないと勉強会の開催が先細りになって、結局のところ、皆が損をする。
勉強会というのは主催者だけが作っているのではなく、講義した人、参加した人、皆で作っているのである。全員が気持ちよく勉強会を続けていくためにポジティブなフィードバックを回すことが、勉強会を成功させる秘けつになる。
■今回のまとめ
連載「初めての勉強会」では、日本全国津々浦々、どこかで毎日開催されている勉強会を積極的に使い倒す方法論を紹介する。
勉強会に参加する側、勉強会を主催する側、いろいろな立場があるが、今回は主に参加する側の視点から、勉強会に参加するメリット、方法、ちょっとしたコツ、ブログに感想を書くことの重要性などを記した。
この記事をきっかけに、1人でも多くの読者が勉強会に足を運んでくれれば幸いである。
次回以降では、いよいよ「勉強会の開催」についての話になる予定だ。
筆者プロフィール |
吉岡弘隆(よしおかひろたか) 2000年6月、ミラクル・リナックスの創業に参加。1995年から1998年にかけて、米国OracleにてOracle RDBMSの開発を行う。1998年にNetscapeのソースコード公開(Mozilla)に衝撃を受け、オープンソースの世界に飛び込み、ついには会社も立ち上げてしまう。2008年6月、取締役CTOを退任し、一プログラマとなった。 所属 ミラクル・リナックス株式会社 日本OSS推進フォーラム ステアリングコミッティ委員 U-20プログラミング・コンテスト委員 セキュリティ&プログラミングキャンプ、プログラミングコース主査 独立行政法人情報処理推進機構、技術ワーキンググループ主査 OSDL Board of Directorsを歴任 カーネル読書会主宰 Webサイト ブログ:ユメのチカラ 日記:未来のいつか/hyoshiokの日記 |
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