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第2回 勉強会の開催は「メリット>コスト」

よしおかひろたか
2008/8/27

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勉強会を開催する方法

@IT自分戦略研究所カンファレンス
上級ITプロフェッショナルのスキルとキャリア 開催
日時:2008年9月27日(土)
11:00〜18:00(受付開始 10:30〜)
場所:秋葉原UDX 6F RoomA+B
詳しくは開催概要をご覧ください。

 自分の興味にピッタリの勉強会がないとする。

 よしおかひろたかの「初めての勉強会」には、勉強会を開催することは難しくないなどと書いてあった。口車に乗せられて、じゃあ、私もいっちょやってみるかと思った、という状況である。

ネタを選ぶ

 IT勉強会カレンダーには手ごろな内容の勉強会が載っていなかったので、自分で勉強会を開催することにした。

 勉強したいネタはある。

 定番の書籍を読むのか、いわゆる輪講の形式、あるいはコードリーディングの形式にするのか、ワークショップの形式にするのか、ともかく何らかの形式でやることを決定する。

会場を見つける

 少人数で始めるのであれば、会社の会議室などがいいかもしれない。会社に相談をしてみて、利用がOKならば、空いている時間帯をチェックする。この際、セキュリティ上の問題がないように注意しよう。また、当たり前であるが、勉強会の後の整理整頓などもきちんとしよう。会社にとって勉強会の開催がメリットとなるようなシナリオ作りも重要である。

 学生の場合は、学校の教室が使えるかを学校の先生に相談してみよう。先生に参加してもらうと、意外といろいろ便宜を図ってくれるかもしれない。

 市民会館のような公的機関の会議室も安く借りられるので要チェックである。筆者が運営する「カーネル読書会」の第1回は、川崎市溝の口の公民館であった。

参加者を募る

 最初から何十人も集めるのは負担が大きいので、スモールスタートがいいと思う。参加者も自分の知人や、会社の同僚などの知り合いから始める形で構わない。特にクローズドにする必要がなければ、メーリングリスト、SNS(mixiなど)、日記やブログ、Twitterなどでオープンに仲間を募る。

 最初はどのくらいの人数が集まるか分からないので、参加登録をしてもらって人数を確定する。

 会場の都合で定員が決定するので、気持ち大きめの部屋を確保しておいて、せっかくの参加者希望者をお断りすることがないようにしたい。

 勉強会の主催者としては、参加者あっての勉強会である。誰も参加してくれなければ、自習になってしまう。参加者にとってメリットのあるような勉強会にしたいものである。

当日の運営を行う

 初回は初対面の人が多いので、自己紹介をして場を温めたい。主催者は、積極的に参加者に声を掛ける。

 自分は引っ込み思案で人見知りだから、とてもそんなことはできない、と思っているとしても、初対面の人には、「こんにちは、×××勉強会に参加の方ですか。私、今回の幹事のよしおかです。よろしくお願いします」と元気よく話し掛けよう。社会人ならば名刺交換だ。学生の場合も勉強会用に名刺を作っておくといいと思う。

 当日は、声掛け、開催趣旨の説明、自己紹介、勉強会、片付け、懇親会という流れが一般的だろう。

 勉強会の最後で次回開催について参加者の意見を募る。今回のような形式を続けるのか、ほかの方法で行うのか。内容についても議論する。開催日時、場所なども併せて議論するとよい。

 しつこいようだが、会場の整理整頓、片付けは重要なので気を付けよう。

懇親会を開く

 初回はやはり空気が固いので、懇親会(ようするに宴会)を開催して人となりを理解しあう。

 私は「人生に必要なことは宴会で学んだ」といっても過言ではないと思う。参加者がもう一度参加したいと思うような懇親会にしたいものだ。

 私の場合は大抵、懇親会ではいいかげんなことをいっているのだが、参加者が楽しんでくれればいいと思う。ただ、会社に対する不平不満や愚痴などはお酒がまずくなるのでほかの場所でやってほしいと思う。

 アルコールが不得意な人も当然いるので、それに配慮した懇親会(ケーキオフ)などもいいかもしれない。とはいっても、私自身は開催の経験がないのでよく分からない。

勉強会を持続するいくつかのTips

(1)主催者が無理をしない

勉強会を開催するメリット>勉強会を開催するコスト(個人的な負担)
(よしおかの勉強会第一の法則)

 「よしおかの勉強会第一の法則」を思い出してほしい。個人的な負担(例えば、時間的な負担、肉体的な負担、精神的な負担、金銭的負担など)が勉強会を開催するメリットを上回らないように注意しよう。無理をしてまでやることはない。開催するコストがメリットを上回ったら、いさぎよくやめる。やめる勇気も必要である。

 当初は1人で開催していたとしても、会場の手配、懇親会の準備、参加者の確認など手間仕事がどうしても発生する。ボランティアを募って、何人かで分担すると1人当たりのコストが下がる。

 できる範囲で開催するというのが基本であるが、1人より2人の方が負担が減るのは当たり前なので、1人で抱え込みすぎないで誰かにお願いしよう。

(2)主催者がとことん楽しむ

 第一の法則の左辺をとことん増やすことを考える。自分が学びたいことをネタにする。いろいろな人と知り合いになっていろいろなことを吸収する。主催者の特権を生かして、ネタを選び、会場、日時を決定する。

(3)参加者に楽しんでもらう

 参加者あっての勉強会である。参加者が面白いと思うようなネタを発見する必要がある。そのようなネタは満ちあふれていると思う。自分と同じことに興味を持っている人は必ずいると信じよう。リピーターを大事にし、フィードバックや感想に耳をかたむけ、参加者とともに成長したい。

(4)ブログに感想を書くまでが勉強会

 主催者のモチベーションをキープするためにも、参加者からのフィードバックを得るためにも、参加者の皆さんにブログなどで感想を書いてもらうようにしよう。これは強くお願いする。

 マンネリにならないように、また新規の参加者を募る意味でもブログなどによる情報発信は重要である。

今回のまとめ

 勉強会を開催することは難しいことではない。ちょっとした手順を踏めば誰でも簡単に開催できる。多くの場合、主催するメリットが、主催するコストを上回る。

筆者プロフィール
吉岡弘隆(よしおかひろたか)

2000年6月、ミラクル・リナックスの創業に参加。1995年から1998年にかけて、米国OracleにてOracle RDBMSの開発を行う。1998年にNetscapeのソースコード公開(Mozilla)に衝撃を受け、オープンソースの世界に飛び込み、ついには会社も立ち上げてしまう。2008年6月、取締役CTOを退任し、一プログラマとなった。

所属
ミラクル・リナックス株式会社
日本OSS推進フォーラム ステアリングコミッティ委員
U-20プログラミング・コンテスト委員
セキュリティ&プログラミングキャンプ、プログラミングコース主査
独立行政法人情報処理推進機構、技術ワーキンググループ主査
OSDL Board of Directorsを歴任
カーネル読書会主宰

Webサイト
ブログ:ユメのチカラ
日記:未来のいつか/hyoshiokの日記

 

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