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IT業界の冒険者たち

第38回 陰と陽の対照的な2人

脇英世
2009/7/13

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本連載を初めて読む人へ:先行き不透明な時代をITエンジニアとして生き抜くためには、何が必要なのでしょうか。それを学ぶ1つの手段として、わたしたちはIT業界で活躍してきた人々の偉業を知ることが有効だと考えます。本連載では、IT業界を切り開いた117人の先駆者たちの姿を紹介します。普段は触れる機会の少ないIT業界の歴史を知り、より誇りを持って仕事に取り組む一助としていただければ幸いです。(編集部)

本連載は、2002年 ソフトバンク パブリッシング(現ソフトバンク クリエイティブ)刊行の書籍『IT業界の冒険者たち』を、著者である脇英世氏の許可を得て転載しており、内容は当時のものです。

ジェリー・ヤン(Jerry Yang)
デビッド・ファイロ(David Filo)――
ヤフー創業者

 ジェリー・ヤンとデビッド・ファイロは、新しいベンチャー企業であるYahoo!(ヤフー)の若き共同設立者である。

 ジェリー・ヤンは漢字で書くと、楊致遠である。ヤン・チーエンとでも読むのだろう。1968年台湾生まれで、1978年に渡米している。インターネットで簡単に写真を見ることができる。

 スタンフォード大学の電気工学科の学部を卒業し、スタンフォードの大学院の電気工学科に進み、修士号を取得し、博士課程に進んだ。研究の方は、オートマトン理論やブール代数をCADに持ち込んで回路設計をしていたらしい。これは、割にまともだ。

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 しかし、よくいえば趣味が広く、別のいい方をすれば、かなり変わった人らしい。相撲が好きで、スタンフォード大学の自分のホームページには相撲データベースを作った。曙と小錦がひいきの力士らしく、自分たちの使うワークステーションをアケボノやコニシキと命名するほどだから、よほど相撲にのめり込んでいるようだ。

 ゴルフも嫌いではないらしく、スタンフォード大学に残っているホームページにはスタンフォードゴルフコースでのスコアカードを持った写真も残っている。極めて積極的で、外向的な人物である。

 一方のデビッド・ファイロは、ルイジアナ州モスブラフの出身である。チュレーン大学からコンピュータ工学の学位を取り、スタンフォード大学の電気工学科に進み、修士号を取得して博士課程に進んだ。ジェリー・ヤンとは対照的に寡黙な人で、笑わない人でもあるらしい。いくら調べても対外的なインタビューの記録などは存在しない。

 面白いことに、本人たちのデータはヤフーよりも競合相手のディレクトリサービス、Lycosなどの方が豊富に入っている。ヤフーではそっけなく、特にデビッド・ファイロなどは検索しても何も見つからない。

 ジェリー・ヤンとデビッド・ファイロは、1994年の初頭からマーク・アンドリーセンの開発したWebブラウザ、モザイクを使ってインターネットに触れていた。

 別に2人はインターネットが専門だったわけではない。どちらかというと、博士課程の研究の息抜きや余芸だったのだろう。2人はインターネットを探検するうち、インターネット上には多くの興味深いコンテンツが多数存在することに気が付いた。これをピックアップして記録し、後で簡単に利用できれば便利である。

 そこでジェリー・ヤンとデビッド・ファイロはモザイクのホットリストを使い、面白いホームページへのリンクを収集し始めた。

 リンクが増えてくると、2人はリンクを階層的に分類するツールを作り出した。ツールの開発に使用したのはTcl/Tk/Tcl-DPとPerlで、ほかにGNUツールスイートを使ったようだ。

  Tcl/Tk/Tcl-DPは、グラフィックスユーティリティとコミュニケーションスクリプト、ソケット・ベースのプログラミングを特徴としている。Perlはヤフーにおけるカスタムコードのほとんどの開発に使われた。この辺がアマチュアとは少し違うところだ。

 初期のヤフーの開発には、ニュースの機構を使っていろいろな人に助力を求めたらしく、いまもインターネットにはその断片が残っており、ここでは、何が問題であったかを見ることができる。

 ヤフーが特徴的だったのは階層的分類である。当時はスパイダーズやクローラーズなどのソフトウェアロボットによって検索データベースの構築に関心が集まっていたのに対し、ヤフーは階層的分類に主力を置き、情報を主題やカテゴリ別に整理した。現在、その特徴であった階層的分類は、ほとんどすべての競合サービスにまねされてしまい、ヤフーの独自性は薄れてしまったが、当時は独特なディレクトリサービスとして存在感があったのだ。

 ヤフーとはかなり無理なこじつけで、Yet Another Hierarchical Officious Oracleの略である。直訳すると「もう1つの階層的なおせっかいな神託」とでもなろうか。とはいえ、ヤフーとは「ガリバー旅行記」に出てくる人間の形をした獣も意味するので、本当の由来はこちらではなかろうか。

 ヤフーの階層的分類は、アート/ビジネスと経済/コンピュータとインターネット/教育/エンターテインメント/政治/健康/ニュース/レクリエーションとスポーツ/リファレンス/地域情報/自然科学/社会科学/社会と文化、となっている。こうした階層性の導入により、やみくもな検索を避けることができた。

 当初、ヤフーはジェリー・ヤンのアケボノというワークステーションに、検索エンジンはデビッド・ファイロのコニシキというコンピュータに置かれていた。ヤフーはボランティア的なサービスであり、無料であった。

 最初はシステムの資源を浪費しないようにグラフィックスを除外した。ヤフーは次第に評判を呼び、アクセスの回数も増え始めたので1994年11月、ジェリー・ヤンとデビッド・ファイロはスタンフォード大学のコンピュータ資源を使わせてくれるように要請した。大学は極めて快くこれに応じたことになっている。

本連載は、2002年 ソフトバンク パブリッシング(現ソフトバンク クリエイティブ)刊行の書籍『IT業界の冒険者たち』を、著者である脇英世氏の許可を得て転載しており、内容は当時のものです。

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