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IT業界の開拓者たち

第46回 ヒッピー文化を体現したジャーナリスト

脇英世
2009/4/15

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本連載を初めて読む人へ:先行き不透明な時代をITエンジニアとして生き抜くためには、何が必要なのでしょうか。それを学ぶ1つの手段として、わたしたちはIT業界で活躍してきた人々の偉業を知ることが有効だと考えます。本連載では、IT業界を切り開いた117人の先駆者たちの姿を紹介します。普段は触れる機会の少ないIT業界の歴史を知り、より誇りを持って仕事に取り組む一助としていただければ幸いです。(編集部)

本連載は、2002年 ソフトバンク パブリッシング(現ソフトバンク クリエイティブ)刊行の書籍『IT業界の開拓者たち』を、著者である脇英世氏の許可を得て転載しており、内容は当時のものです。

スティーブン・レビー(Steven Levy)――
ジャーナリスト

 スティーブン・レビーの公式な伝記のようなもの、また略歴のようなものは見当たらない。そこで彼の書いたものの中から伝記的な要素を探していかねばならない。

 まずスティーブン・レビーが何歳かであるが、1966年に15歳であったという記述があるから、1951年生まれだろう。兄弟としては姉のダイアン・レビーがいる。スティーブン・レビーがどういう人であるかについては自分のホームページに書いてある。

 「ジャーナリスト、物書きで、ハイテク製品に凝る。科学者、ハッカーなどのインタビュアー、1960年代からのランチボックスのコレクター」

 ランチボックスはお弁当箱である。ホームページに収集しているランチボックスの写真が載っている。金属製でなければならないらしい。ランチボックスは、3.5インチフロッピーディスクを入れるために使っているらしい。しかしフロッピーディスク入れに使うからではなく、ランチボックスそのものが気に入ったから手に入れるということもあるらしい。

 15歳のとき、スティーブン・レビーはボブ・ディランに傾倒した。「ボブ・ディランは自分の人生を変えた」とスティーブン・レビーはいっている。15歳といえばようやく漫画を卒業したころで、まだ何も分かっていなかった。フィラデルフィアにいたスティーブン・レビーは先鋭な政治意識はまだ持っていなかったが、公民権運動が盛んになってくると、これに共感した。当時、「将来何になりたいの?」と聞かれると、「弁護士」と答えたという。

 その年、スティーブン・レビーは友人からボブ・ディランの存在を教えられた。ボブ・ディランから受けた衝撃は大きく、スティーブン・レビーはボブ・ディランのLPレコードをむさぼるように聴いた。スティーブン・レビーは姉のダイアン・レビーのところから盗み出した15ドルのギターでボブ・ディランの曲を弾いた。ボブ・ディランのまねをしたくって、ラングラーのジャケットを買った。スティーブン・レビーはボブ・ディランの反体制志向に大きく影響された。

 スティーブン・レビーが入学した大学はフィラデルフィアにあるテンプル大学だ。彼はアルバイトとして、コーヒーハウスで下手なギターを弾いていた。テンプル大学では物理学を選択する代わりにローリング・ストーンズに関するエッセイを書いて単位をもらった。

 現在はハイテク専門のライターだが、学生時代はコンピュータが嫌いだった。典型的なドロップアウトのヒッピーだったようである。彼の文化的背景には、常に、反体制と音楽の1970年代米国文化がある。

 スティーブン・レビーが大学を22歳で無事に卒業したとすれば、1973年卒業ということになる。1970年代には、スティーブン・レビーは頼まれれば何でも書くルポライターのようなことをしていたらしい。ブルース・スプリングスティーン、ドクターJ、救急隊、CATVのアクセスチャンネルなど、何でも書いた。このときもボブ・ディランはスティーブン・レビーの頭を離れず、自由大学でボブ・ディラン論を教えるまでになった。

 しかし、1974年のボブ・ディラン復帰のころから、彼への盲目的な傾倒は冷め始めたらしく、次第にローリング・ストーンズへ傾倒していった。1983年、スティーブン・レビーは『ローリング・ストーンズ』誌でも働いていたらしい。実際、スティーブン・レビーがマッキントッシュ、そしてスティーブ・ジョブズとの運命的な出会いを経験するのは、実は『ローリング・ストーンズ』誌の企画としてマッキントッシュを取り上げたことによる。

本連載は、2002年 ソフトバンク パブリッシング(現ソフトバンク クリエイティブ)刊行の書籍『IT業界の開拓者たち』を、著者である脇英世氏の許可を得て転載しており、内容は当時のものです。

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