第3回 お客さまへのメール、こんな感じじゃダメですか?
ナレッジエックス 中越智哉
2007/5/23
■お客さまへのメールのポイントは?
しんじ君 | 面田さん、いまよろしいですか。 |
面田さん | うん、大丈夫だよ。どうしたんだい? |
しんじ君 | 実はですね……。 |
しんじ君は面田さんに、麻根主任から渡された電子メールのプリントアウトを見せ、事情を話しました。
面田さん | そうか……。しんじ君は、お客さんにメールを書いたのは初めてだったっけ? |
しんじ君 | はい。 |
面田さん | しんじ君、研修のときに、ビジネスレターの書き方を習ったよね? |
しんじ君 | はい。でも、実際に手紙をお客さんに書いたことはないです。 |
面田さん | そうだね。でも、ビジネスレターに書き方があるのと同じで、ビジネスでのメールにも書き方の基本があるんだよ。 |
しんじ君 | そういえば、メールだって手紙の一種ですね。 |
面田さん | そう、だからビジネスレターの書き方はメールの書き方にも共通することが多いんだ。 |
しんじ君 | そうなんですか。では、具体的にはどんな感じで書けば良かったんでしょうか。 |
面田さん | 知りたい? |
しんじ君 | はい、もちろんです。 |
面田さん | しんじ君は、もうお手本を持っているよね。 |
しんじ君 | え……? あ、そうか。 |
面田さん | そう、遠藤さんの返信が、そのまま良いお手本だよ。 |
<面田さんの電子メールの書き方ポイント> | |
ポイント1 | 文頭にはあて名を書く。他社に送るメールの場合、会社名、部署名も書くとよい。相手方の名前には「様」を付ける |
ポイント2 | あて名の後にはあいさつ文を書く。ビジネスの場面では「お世話になっております」のように書くのが一般的。その後、「(会社名)(名前)です」として名乗る |
ポイント3 | 読みにくくならないよう、一定の文字数で改行を入れて整える |
ポイント4 | 敬語の使い方に注意する。なれなれしい表現にならないよう、特に注意 |
ポイント5 | 文末には「よろしくお願いいたします」のように書いて締めくくる |
ポイント6 | 末尾には署名を入れる。署名はあまり華美にせず、ビジネスパーソンらしく落ち着いたものにする |
<面田さんが添削したしんじ君の電子メール> ---------------------------------------------------------------- ナレッジ商事 遠藤様 いつもお世話になっております。アットイットシステム株式会社の中山です。 担当しているシステムについて質問がございます。 ○○○の機能ですが、△△△の機能と矛盾してしまうと思われます。 どちらかを削除して、どちらかをそのまま実装するように進めたいと思っておりますが、 どちらを選ぶべきとお考えですか? お聞かせいただければ幸いです。 よろしくお願いいたします。 アットイットシステム株式会社 中山 ---------------------------------------------------------------- |
しんじ君 | とてもよく分かりました。ありがとうございます! |
■先輩のチェック、関係者へのCcも忘れない
納得したしんじ君が自席に戻り、一息ついている面田さんのところへ、上野部長がやってきました。
上野部長 | 彼、メール書いたことなかったんだね。 |
面田さん | そのようですね。 |
上野部長 | 誰もチェックしないで送らせたのはまずかったな。Ccも付けていなかったようだし。 |
面田さん | そういえば、私も新人のころは、メールの書き方を知らなくて、どなたか先輩に見てもらってから送っていたような気がします。 |
上野部長 | それ、チェックしてたの私だけど。 |
面田さん | あ、そうでしたっけ……。 |
<面田さんから先輩社員へのアドバイス> ほとんどの新入社員は、ビジネス的な電子メールを書いた経験がありません。何も指導しないと、普段の私用メールと同じ感覚で送ってしまう人もいます。新入社員がメールを書く場合は、必ず先輩社員の皆さんが内容をチェック(添削)してから送らせるようにしましょう。また、業務上必要なメンバーにはCcを入れるということもしっかり確認しましょう。 |
上野部長は、同じようにほっと一息ついているしんじ君のところへ様子を見に行きました。
上野部長 | どうだい、調子は。 |
しんじ君 | あ、はい。さっき、メールの書き方で失敗してしまって、面田さんに教えていただいたところです。 |
上野部長 | そうかそうか、まぁ、何事も経験だよ。頑張りなさい。 |
しんじ君 | はい、ありがとうございます。 |
上野部長 | ところで、そのお客さんには、おわびのメールを書いたかね? |
しんじ君 | はっ、まだでした……。 |
上野部長 | そうか、じゃあ、まずはそのメールを送った方がいいね。 |
しんじ君 | はい、すぐ書いてお送りします! |
上野部長 | た・だ・し。 |
しんじ君 | 何でしょう? |
上野部長 | 書いたら先輩にチェックしてもらうこと。勝手に送らないように。それと、必要な人にはCcを入れることも忘れないように。誰にCcするかは、上司に聞いて確認すること。 |
しんじ君 | はい、分かりました。ありがとうございます! |
面田さんのアドバイスと、自分なりにインターネットで調べたことを基に、遠藤さんへの電子メールを書いたしんじ君。麻根主任がすでにおわびの電子メールを出していたのでそれを送ることはなかったのですが、実際に書いてみることで自信が付いたようですよ。
「ビジネスメールにはいろいろな決まりごとがあるんだな。でも確かに、受け取ったお客さんのことを考えれば納得できることばかりだ。誰から来たのかすぐ分かって、読みやすく、失礼にならない内容で……。
関係する先輩にはCcを入れて、しばらくの間は送る前に内容をチェックしてもらうことも忘れないようにしなくちゃ。早く、自分1人でお客さんとのやりとりができるようになりたいな」。しんじ君は元気いっぱい、また実装作業に取り掛かるのでした。
今回のインデックス |
新人しんじ君、IT業界へ(3) (1ページ) |
新人しんじ君、IT業界へ(3) (2ページ) |
筆者プロフィール |
中越智哉●北海道出身。北海道大学大学院電子情報工学専攻修士課程修了。在学中はJavaとLinuxに熱中。卒業後、Javaの仕事にあこがれ、1999年にテンアートニに入社。Java の受託開発案件や教育事業、コンサルティングなどを幅広く担当した後、2006年2月に同社を退社。同年3月にナレッジエックスを設立。 JavaをはじめとするIT開発技術の教育に奔走する。趣味は自転車と草野球、そして毎日欠かさない耳かき。 |
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