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新人しんじ君、IT業界へ

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第7回 今日会社であったこと、SNSに書いてもいい?

ナレッジエックス 中越智哉
2007/8/7

僕、何かまずいことした?

 数日後のある日のことです。昼休み、面田さんがしんじ君の席へやってきました。

面田さん しんじ君、ちょっといいかな。
しんじ君 はい、何でしょうか。
面田さん しんじ君は、○○○っていうSNSは知っているかい?
しんじ君 はい、少し前に大学の友達に教えてもらいました。もしかして、面田さんも登録してるんですか?
面田さん うん、まあね。そうか、じゃあちょっと、そのページをいま見せてもらえるかな。
しんじ君 あ、はい。会社で見るのはちょっと恥ずかしいですけど……。

 そういうとしんじ君は、自分のページを開きました。

面田さん ありがとう。で、昨日しんじ君が書いた日記なんだけど、これ、削除してもらえるかな。
しんじ君 えっ? 何かまずかったですか?

 面田さんが指摘した日記には、このようなことが書いてありました。

打ち合わせでガックリ

今日は、いまやっている案件のK商事というお客さん(Eさん)のところで打ち合わせでした。すでに実装してしまった機能の仕様についての内容確認をしたのだけど、自分の思っていたイメージと全然違っていてびっくり。最初からそう説明してくれればよかったのに。かなり作り直さないといけなくなってしまって、面倒だなあ……。

面田さん 日記を書いているのは「中山しんじ」君、登場するのはナレッジ(K)商事の遠藤(E)さん……。これだと、誰が誰のことを書いているのか、すぐ分かってしまうよね?
しんじ君 えっ? でも僕の日記を見ることができるのは、マイフレンドの人だけのはず……、あっ! そうか〜!

 そこでしんじ君は気が付きました。このSNSには、マイフレンドになっていないユーザーも日記を検索したり、その日に新しく登録された日記の一覧を見たりできる機能があるのです。つまりしんじ君が書いた日記も、誰が読んでいるか分からないということです。

 しかも、しんじ君の場合、プロフィールもきちんと本名で登録しています。仕事関係の知人が見れば、しんじ君が取引先にどんな感情を抱いているかがすっかり分かってしまうのです。

インターネット上の情報は、誰が見ているか分からない

しんじ君 そうか、私が書いた日記を、大勢の人が読む可能性があるということなんですね……。気が付きませんでした……。
面田さん そのとおりだよ。ナレッジ商事のプロジェクトにかかわっている社内のメンバー、それにしんじ君のことを知っているほかのお客さんも読んだかもしれないよね。
しんじ君 はい……。
面田さん それにナレッジ商事の皆さんや、遠藤さんご本人がもししんじ君の日記を見ていたら、どういう気持ちがするかな?
しんじ君 ……大変だ〜! すぐ削除します!

 その後、ナレッジ商事の遠藤さんからクレームが来ることはなく、表向きは一応事無きを得たようです。しかし、本当にナレッジ商事の社員が誰もしんじ君の日記を見ていなかったのかどうかは、いまとなってはもう知る術もありません。

 次のナレッジ商事との打ち合わせまで、しんじ君は落ち着かない日々を過ごすことになりそうです。

 「インターネット上にあるものは、誰が見ているか分からないっていうことなんだなぁ。消したつもりでも、もし誰かがコピーでも残していたら、完全に消し去ることはできないんだ。よく考えてみるとこれって怖いことだなあ……」。

 インターネットの怖さをかみしめたしんじ君は、これからは発信する情報によく気を配ろうと決意するのでした。

 

今回のインデックス
 今日会社であったこと、SNSに書いてもいい? (1ページ)
 今日会社であったこと、SNSに書いてもいい? (2ページ)

筆者プロフィール
中越智哉●北海道出身。北海道大学大学院電子情報工学専攻修士課程修了。在学中はJavaとLinuxに熱中。卒業後、Javaの仕事にあこがれ、1999年にテンアートニに入社。Java の受託開発案件や教育事業、コンサルティングなどを幅広く担当した後、2006年2月に同社を退社。同年3月にナレッジエックスを設立。 JavaをはじめとするIT開発技術の教育に奔走する。趣味は自転車と草野球、そして毎日欠かさない耳かき。

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