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現場で使えるメンタルヘルス改善講座

第2回 トラブル時も定刻で帰るメンバーへの対応策

樋口研究室
山本隆之

2008/11/21

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過酷な環境にさらされながら、常にコンピュータ並みの正確さを要求されるITエンジニアたち。メンタルヘルスをうまくコントロールするには? 樋口研究室の「ITコーチ」たちが、現場でいますぐ使えるメンタルヘルス改善のワザを教えます。

 はじめまして。山本です。私の仕事はITエンジニア。樋口研究室のITコーチとして、若手メンバーのアドバイザーも務めています。

 皆さんは、「昔はうまくいった手法が、いまではまったく使えない」と感じたことはありませんか。それは制度が変わったせいかもしれませんし、環境が変わったせいかもしれません。システム開発の現場では、そういうことがよくあると思います。

 かつて使えた手法がまったく使えないと感じたとき、うまく自分の心を切り替えてピンチを乗り切るにはどうしたらいいでしょうか。

 今回は、これからプロジェクトの管理者やサブリーダーになる方にお勧めしたい、発想転換の方法をお話しします。

仕事の進め方がうまいプロジェクトリーダー

 私がよく会って話しているプロジェクトリーダー(PL)がいます。協力会社のメンバーを管理して、システム構築を成功させるのが仕事です。

 実はこのPL、うまく仕事を進めることで評判です。私もこのPLの仕事を見ていて、どうしていつも上手にメンバーを導けるのだろうと思っていました。そこであるとき、そのコツをPLに尋ねてみました。PLはいいます。

 「私のメンバーはみんな、きっちり定時に退社します」

 なんと、それは素晴らしいことですね。そしてその後PLがいった言葉、これがとても面白い内容でした。

 「でも以前は、メンバーはきっちり定時に退社するにもかかわらず、仕事はできていなかったんです……」

仕事が終わっていないにもかかわらず、定時に帰るメンバー

 PLの話は、3年前のプロジェクトにさかのぼります。開発作業が終盤戦に差し掛かり、システムテストの段階でした。それまでの進ちょくに特に問題はありませんでした。でもここから状況が変わってきました。PLはこう感じたそうです。

 「メンバーの作業報告にはまったく問題ない。でも待てよ……。報告書の内容がなんだかおかしいぞ」

 メンバーは、PLが指示した作業をきちんとこなしているように見えました。定時になると、「本日の作業は予定どおり終了!」と書かれた作業報告書を提出して帰っていきます。日報には「完了」の文字が並んでいました。

 でもよく見ると、備考欄には「検索処理が実行されない」「部門情報が表示されない」「期待した画面が出てこない」などの問題が書かれていました。しかしPLは、「いつかは修正されるだろう」と思っていました。

 そうこうするうちに、スケジュールが微妙に遅れてきました。PLは何度もこういう経験をしています。遅れが出てきたら、メンバーと一致団結して乗り切る、これがPLのいつものやり方でした。

 PLはメンバーを集めて、遅れを取り戻すプランを説明しました。メンバーは納得して「頑張ります」といいます。そして仕事が始まります。

 それにもかかわらず、メンバーは相変わらずきちんと定時に帰ってしまうのです。こんなやりとりが2度3度と続きました。

 「頑張るといっていたよな、それはウソなのか!?」。PLはそんな気持ちになりました。

「私は、きちんと仕事をしています!」と主張するメンバー  

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