第7回 手本を探す前に、まず自分が手本になる
樋口研究室
飯田佳子
2009/5/29
■不満脱却の3行動
それから3カ月後、Aさんから、思いもよらない話を聞くことができました。会社の先輩がAさんに掛けた言葉、これがとってもうれしかったそうです。Aさんは、にこにこしながらいいます。
「Aさんと一緒にいると、気持ち良く仕事できる。先輩から、そういうふうに、いわれたのですよ」
Aさんは、ただ感謝されただけですが、自分の行動が、正しかったことが認められて、かなりうれしかったそうです。
それ以降、ますますAさんの動きがパワフルになってきました。まずは、自分のできることを、しっかりやり続けました。そうすると、周りの人から「助かった」「役立った」「うまくできた」、そういう言葉が、多くなってきました。自分は、間違った行動をしていない。Aさんは、少し分かってきたといいます。
「手本を探す前に、まず自分が手本になる、これが重要なのですね」
ところで、自分のやっている行動が本当に正しいのか、そういう疑問を持ち始めると、集中力がなくなり、どんな仕事をやっても、なかなか成果の出にくい状況になってきます。さらに、不公平感や不平不満も感じやすくなり、マイナスパワーの渦に飲み込まれることも多くなります。
そんなときは、以下に解説する「不満脱却の3行動」を試してみてください。ポイントは、相手の満足度を上げること。相手が喜べば、自分もうれしいし、相手から思ってもみなかった利益を得られることもあります。
図1 不満脱却の3行動 |
1.相手にして「あげる」行動をする
1つ目の「あげる」行動とは、自分ができることを相手に提供して、不満から抜け出す行動です。自分の得意なこと、持っている情報は、出し惜しみせず相手に提供します。相手の満足度がアップすれば、相手にとって、自分の価値もアップする。それが、あなたの不満を解消するきっかけになります。
2.相手にして「もらう」行動をする
2つ目の「もらう」行動とは、相手のできることを自分に提供してもらって、不満から抜け出す行動です。相手の得意な作業や情報を積極的にリクエストします。自分が無理しなくても、結果が得られる。さらに、人の役に立ちたい、そんな相手の満足度もアップします。それが、あなたの不満を解消するきっかけになります。
3.相手と「交換する」行動をする
3つ目の「交換する」行動とは、チームで力を合わせて、不満から抜け出す行動です。自分の苦手な個所は、相手の得意な個所であったりします。一方の弱点を他方で補いながら(交換しながら)行動する。みんなの満足度がアップし、チームの力も強くなります。それが、あなたの不満を解消するきっかけになります。
さて、あなたの会社には、不平不満の原因はありませんか。今回の事例にもありましたが、優秀な先輩、上司が、あなたのそばにいたら、それは本当に、パフォーマンスが上がると思います。でも会社生活は長いもの。いつも自分の前に、そういう人がいるとは限りません。ひょっとしたら何年たっても現れないかもしれません。お手本がないのなら、自分がお手本になるような行動を起こすことが大切です。そういう行動が、あなたのメンタルパワーをマイナス方向からプラス方向に変える原動力になると思います。
皆さん、後輩のお手本になるよう行動してみてくださいね。
今回のインデックス |
できる先輩と一緒に仕事がしたかった |
不満脱却の3行動 |
筆者プロフィール |
飯田佳子●樋口研究室の認定ITコーチ。会社ではプロジェクトの品質管理の仕事をしている。「システム構築には技術やプロセスも重要だが、もっと重要なのは人間の品質アップ」。そう信じて、日々、社員のパフォーマンス向上を目指している。 |
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