初のXML技術者認定試験を完全解説
XMLマスターとはどんな資格か?
加山恵美
2001/10/27
3. XMLマスターの効能は? |
■認定証、ロゴシール、報酬金……?
XMLマスターを取得するとどんなメリットがあるのか考えてみよう。試験に合格したら、まずはXMLマスター(ベーシック)の認定が与えられる。これでXMLの基礎的な知識は把握していると太鼓判が押されることになる。
また、一般的なベンダー認定試験と同様、資格をアピールするためのアイテムとして、認定証が送られ、名刺にXMLマスターのロゴ印刷またはシールを貼ることができる。またITベンダー企業であれば、社内規定に基づき、受験料の還付や(一時)報酬金などを得られる可能性もある。まだXMLマスター試験は始まったばかりではあるが、いくつかのベンダー企業や人材派遣企業は「XMLマスター」を合格者への優遇措置を行う試験対象にする予定だと答えている。少なくともエンジニアを評価する側は、XMLマスターを十分評価できる対象と見ているようだ。
■自分を有利に導くチャンスとして
IT系資格については、経験のあるエンジニアほど「資格を取得しても現実の開発プロジェクトの成功とは話が別」と感じている。技術も実績もある売れっ子のエンジニアほど、実は資格をまるで持っていないというのもよくある話だ。資格を持っていても実戦で活躍できないエンジニアもいる。実際に資格より実績の方がはるかにエンジニアの能力査定において重要視される。中途採用や人材派遣企業でエンジニアを判断するとき、数多くの資格より成功した実績を持つ方が能力の裏付けとして説得力があり、確実な判断基準だと考える企業が多いのも事実である。
では、本当に資格は要らないのか?
私の個人的な意見だが、「エンジニアに資格は必須ではない。しかし自分にメリットを与える手段となり得る」。資格も使いようだ。
XMLマスターについても同様である。資格を取得することやそのための努力は無駄にはならないだろう。少なくとも取得したらそれなりにメリットはある。効果的に用いれば自分のキャリアや生活が有利になる。自分の自由時間とほかとの優先度、将来の目標も含めて取得した方がトクなのかどうか判断するといいのではないだろうか。
■「魅せる」ための資格
人間関係は、中身で勝負だが外見もときには必要だ。これはエンジニアにもいえる。ビッグデートに行くときに身なりを整えるように、エンジニアも相手を魅了するために、自分の能力をアピールする「飾り」を付けておくことも、ときには重要だ。特に就職活動期、また顧客と向き合う立場ならなおさらだ。
まず就職活動、または人材派遣企業に登録するときを考える。もちろん実績が重要視されるが、XMLが新しい技術のため、実績を持つ人は少ない。試験もまだ始まったばかりなので、早めに取っておけば採用側の目を引くことは確かだろう。
また、コンサルタントのように顧客と向き合う仕事であれば、名刺にある資格のロゴは、顧客にエンジニアの技術力への信頼感や安心感といった良い第一印象を与えるきっかけになり得る。そのため、「リーダー格の社員には顧客への体面上、XMLマスター資格を取得してもらえるとありがたい」と、資格取得を歓迎しているベンダー系企業もある。
では、若いエンジニアはどうか。顧客と接することもなければアピールする場もなく、ただ仕様書に従って開発するのであれば必要な部分だけ知識を吸収すればいいと考える人もいる。それはそれで正しい。ただし、若いエンジニアの場合なら、自分の将来のために資格を役立てることができると私は思う。まだ実績の少ないエンジニアというのは能力も可能性も未知数である。採用する側や仕事をアサインする側が人材配置を検討するとき、資格は1つのきっかけになる。例えば「XML技術は魅力的で将来有望なのでXML関連のキャリアを増やしてその専門家になりたい!」と思い、XMLマスターを取得していれば、XMLのプロジェクトに参加できる可能性は高くなる。実績はなくとも資格があれば多少の能力は認めてもらえるし、「やる気」の証明になることもある。つまり、若手なら自分の仕事の方向性を資格によって自らが目指す方向に導くことができるのだ。
どんな立場でも年代でも、XMLマスターをうまく活用する方法はある。
■でもXMLだけでは物足りない
しかし現実的なところ、システム開発プロジェクトがXMLだけで帰結することはないので、XMLの技術力だけでは十分ではない。また、周囲の環境や状況また将来性を見越してXMLが選ばれることはあっても、XMLがソリューションのコアとして進むこともあまり考えられない。実際、システム開発プロジェクトでXMLがかかわる場合でも、メインはデータベースであったり、労力の大半はJavaやCやC++を使ったプログラミングに割かれることが多い。
XMLとはそもそも「つなぐための技術」であり、そのシンプルさが魅力の1つだが、逆にシンプルなために技術取得の難易度は、ほかのIT技術に比べて低いと思われがちである。確かにそうなのかもしれないし、それが魅力の1つといえるのかもしれない。
だからだろうか、「できればデータベースや言語の分野で高度な技術を保有していて、それに加えてXMLの標準的な知識があれば理想的」と考えている企業は多いようだ。そういうレベルであれば「XMLマスター:ベーシック」は、まさに時代の必要性を的確に見抜いているのではないだろうか。
ここで誤解しないように理解しておかなくてはならないことがある。システムの主要な労力はXMLではないとなると、プロジェクトの要員を募集するときには、主要な労力がかかると見込まれる技術要員を重点的に探すことになる。そうすると、XMLマスター認定があるからといって仕事に困らないかというと、そうとも限らない状況が多そうなのだ。誤解しないでもらいたいのは、XML技術者の要望は高いし、あらゆる企業がXMLの柔軟性や優位性に期待している。しかし、「XMLだけ」のエンジニアでは宙ぶらりんとなってしまう危険性がある。ぜひ、エンジニアとしてさまざまな経験を積み、勘と経験を養い、必殺武器となる技術を何か極めてもらいたい。できればデータベース系やプログラミング言語であれば強力だ。それにXMLマスターを付け加えれば、きっと申し分ないエンジニアとなれるだろう。
|
前ページの試験例題の答え
|
||||||||||||
|
3/3
|
Index | |
XMLマスターとはどんな資格か? | |
1. XMLマスターとは? | |
2. 試験の内容と取得方法 | |
3. XMLマスターの効能は? |
@自分戦略研究所の資格や学習に関連するサービス | |
|
@IT自分戦略研究所は2014年2月、@ITのフォーラムになりました。
現在ご覧いただいている記事は、既掲載記事をアーカイブ化したものです。新着記事は、 新しくなったトップページよりご覧ください。
これからも、@IT自分戦略研究所をよろしくお願いいたします。