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第2回 入社3カ月でプロダクトマネージャー。GREE OB訪問記


北村慶一(慶應義塾大学大学院)
岑康貴(@IT自分戦略研究所)
2009/10/1

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プログラミングは大学3年から

 グリーに導かれるように入社した細谷氏は、冒頭でも紹介したとおり、大学院在籍時に「Mashup Awards」というWebアプリケーションコンテストで2年連続、賞を獲得するという輝かしい実績を持っている。昔からプログラミングをしていたのかと思ったが、そうではないらしい。意外にも、プログラミングを始めたのは大学時代だという。

 「高校生のころは、プログラミングは全然分かりませんでした。ただ、なんとなくWebが面白そうだと思っていました。Webサービスを介したコミュニケーションについて勉強したいと思って、大学では情報工学科に入学したんです」

 まだSNSや動画共有サイトが生まれておらず、HTMLを書いてWebサイトを作り、BBSを通じてユーザー同士が交流していたのが主流の時代だ。細谷氏は、こうした新しい交流の形態に興味を持ったという。実際にプログラミングをするようになったのは、研究室に入った大学3年のとき。プログラム実験などを通じて経験を重ねた。大学4年時に初めてWebアプリケーションを作ったという。

 「自分でも作るようになって、Web上で動くアプリケーションに面白味を感じました。そこから、目的をもって本格的に作ってみようと思うようになりました」

 大学院に進学後、「Mashup Awards」への応募に目標を定めた。プログラミング暦2年とやや浅いキャリアも、プログラミングへの熱い興味と努力でカバーし、2年連続受賞をつかんだ。その経験や興味からIT業界を志望した、という動機も頷ける。

取材の様子
学生記者(左)と細谷氏(右)

開発も企画もやるエンジニア

 「この会社を選んだ理由の1つに、エンジニアが開発も企画も、両方できるという点があります」と細谷氏は語る。

 IT系の企業では、企画職と開発職が分けられていて、開発職は企画に携わらないケースが多い。だが、グリーのエンジニアは企画から開発まで一貫して担当し、サービス作りを一元化しているのだという。エンジニアが主導して進められるところが特徴的といえるだろう。

 「Mashup Awardsに向けてWebアプリを作っていたときから、開発だけでなく企画を考えるのも楽しくて、どうせなら企画も開発もやれる仕事をやりたいと思っていました」

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 現在1年目である細谷氏は、すでに即戦力として「GREE」の運営・開発の中核を担っている。現在、携わっているのは、モバイル版GREE内のサービスの1つ、『探検ドリランド』というお宝発掘ゲームである。プロダクトマネージャーとして、このサービスに関する事業計画、企画、開発全般を、3人という少数精鋭で担当。サービスを発展させるためには、ユーザー間コミュニケーションを促進させ、サービスを活性化することが重要となるため、ユーザーがコミュニケーションの楽しさに気付ける機能を追加することに力を入れている。直近では、「クエスト」や「ギフト」という機能の企画・開発を行ったそうだ。

 『探検ドリランド』を担当するようになるまではOJTで業務を学んだという。ひととおり「GREE」の開発について学んだ後は、サービスの画面設計など小さいところから学んでいき、並行してゲームのイベント企画立案や予算の見積もりなどを1人でできるよう、ノウハウを吸収していったそうだ。実践的な勉強の機会を積極的に与えてくれる環境のようだ。

 グリーのエンジニアの「やりがい」は何だろうか。

 「サービスをリリースする度に、ユーザーからの反応を見られることです。ユーザー間のコミュニケーションが促進され、サービスが盛り上がっているのを見ると、さらに頑張りたくなります」

 SNSという、ユーザーとの距離が近いWebサービスの会社だからこそのやりがいだ。特にうれしかったのは、初めて設計から携わった「ギフト」機能をリリースしたときのことだという。

 「課金を行っている機能なので、不具合が許されないというプレッシャーがありました。リリース後に多くのユーザーに利用されているのを見てほっとしました」

一人前のエンジニアになるために

 「今の目標は吉田大成さんです」

 吉田大成氏は細谷氏の上司で、『釣り★スタ』を始めとした「GREE」の主要サービスを考案したプロデューサーでもある。

 「企画から開発まで何でもこなせる人。流行も素早く取り入れているし、すごくデキる人ですね」

 前述の通り、企画から任され、その分の責任も負うのがグリーのエンジニア。細谷氏は仕事をオールマイティにこなせるようなエンジニア像を目標にしているそうだ。

 そのためならば、努力を惜しまない。1日の就業時間が終わっても会社に残って「勉強」。土日は休みだが、家で「勉強」したり、情報収集をしたりしている。「趣味が仕事に近い」と細谷氏は語る。

 ある上司は、細谷氏の働きぶりをこう評価しているという。「1年目だというのに、経験豊富な同僚たちと渡り合おうとしている。その差を埋めようとする姿勢は、これからも期待できる」。

 「今は現状のサービスを伸ばしていくことを中心にやっていますが、いずれは新しいサービスを作っていきたいですね」。実績や経験がありながらも、仕事の姿勢にまったく驕り(おごり)がない。細谷氏の「探求」はまだ始まったばかりである。


記者プロフィール
北村慶一(きたむらけいいち)

慶應義塾大学大学院理工学研究科基礎理工学専攻修士1年。
高校時代に文転して経済学部へと入学したが、数学に興味を抱き、院試を期に「理転」して数学を研究する。学部時代、学生新聞「慶應塾生新聞」で情報システム局長を務め、取材やWeb編成を通じて、ネット媒体を通じた情報発信に興味を持つ。現在は研究の傍ら、ネットメディアの在り方と自身のメディアへの貢献の仕方を模索中。

慶應塾生新聞会

 

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