5分間でプレゼンテーションを行う発表形式「ライトニングトーク(LT)」が、IT/技術系のカンファレンスや勉強会を中心に広まっている。LTは難しくないため、学生が勉強会などのイベントで発表する際に最適である。LTイベントを主催するエンジニアが学生向けに行った講義の模様をレポートし、学生にとってのLTのメリットを考察する。 |
「皆さん、就職活動のためにも、ぜひ学外のイベントに参加してみてください」
5月17日、桐蔭横浜大学の情報処理の授業で行われた特別講義で、上記のようなメッセージが学生に伝えられた。「ライトニングトーク(LT)」と呼ばれる形式をメインに据えたIT系勉強会「Genesis Lightning Talks(GLT)」のさとうようぞう氏とgeorz氏が、「LTとは何か」について解説した。
左:georz氏、右:さとうようぞう氏 |
「皆さん、LTって何か知っていますか?」と最初に質問が投げ掛けられたが、手はほとんど上がらなかった。
LTとは何かについて、2人は
と説明した。考案者はMark J. Dominus氏。2000年7月にカーネギーメロン大学で開催されたPerlカンファレンス「YAPC 19100」で初めて導入された。Dominus氏は「つまらない話を45分間も聞かされるのは苦痛」だと考え、90分間のセッションの枠内に5分間のトークを詰め込む手法を思いついたという。
「5分間」がLTの最大の特徴 |
LTは、聞く人と話す人、それぞれにメリットが存在する。
また、LTを行うことで得られるものとして、2人は「情報を収集する力」「資料をまとめる力」「プレゼンテーションを行う力」「人とのつながり」の4つを挙げた。特にLTの場合は「5分間で話をまとめる」必要があるため、資料をコンパクトにまとめたり、制限時間内で発表を組み立てたり、といったスキルが向上する。こうしたスキルは、就職活動の面接などでも生かせるだろう。
LTは、多くの勉強会で導入されている。講義の後半では、「就職活動の一環として、勉強会に参加しよう」と呼びかけられた。
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就職活動において、もっとも重要なのは「情報」だ。企業や仕事に関する情報は、会社組織の中に溜まっていき、会社外には出てこないことが多い。OB訪問などで社員と話をしても、すべての情報を明かしてくれることは、まずないと考えていいだろう。また、そもそも普段は会えないような人物が、重要な仕事を担っていたり、貴重な情報を持っていたりする場合もある。
数多く開催されている勉強会は、その問題を解決してくれるかもしれない(特にIT/技術系)。勉強会では、多くのエンジニアが集まって、LTなどの発表を行っている。そのため、仕事に関する情報が集まりやすい場として機能しているのだ。また、普段は会えないような著名なエンジニアが参加していることもあるため、自分の人脈ではカバーしきれない人と出会える可能性がある。
参考資料として、よしおかひろたか氏の記事が紹介された |
ただし、勉強会に参加しているのは、ほとんどが社会人だ。学生はどのように振る舞ったらいいのだろうか。
2人は「自分は学生で、こういうことを勉強していて、こういう仕事に興味がある」ということを積極的に話せばいい、とアドバイスをする。できれば名刺を用意し、積極的に話しかけるのが重要だという。勉強会に参加する社会人は、自分たちの勉強会に興味を持つ学生を歓迎することが多い。また、LTの発表枠が開放されているのであれば、発表者として参加するのも良いだろう。前述の通り、LTであればそれほど難しくはない。こうして得られるのが、「人とのつながり」である。
講義の終盤では、GLTなど多くの勉強会に学生時代から参加していた塚田朗弘氏からのメッセージ紹介や、さとうようぞう氏とgeorz氏によるLTの実演が行われた。
塚田朗弘氏からのメッセージ紹介 |
LTの普及により、特にIT/技術系分野では「手軽に人前で発表する」機会が増えている。勉強会やイベントで発表する機会は、自分のスキルを伸ばす、多くの人と知り合う、就職活動のための情報を集めるなど、さまざまなメリットを与えてくれるだろう。学生の皆さんは、ぜひ機会を見つけてLTを実践していただきたい。
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