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サイボウズ、脱ベンチャーへの人材戦略

第3回 長距離走のスピードで働ける環境

唐沢正和
2008/11/19

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ITエンジニアが能力を発揮できる人事制度とは。どのような考え方に基づき、どのように策定されるのか。サイボウズ 取締役副社長兼人事本部長 山田理氏に聞いた。

 前々回「『社員が納得しない評価制度』はもうやめた」、前回「ベンチャーでも、『長くコツコツ働く人』を評価します」では、「優秀なITエンジニアを集め、その能力を発揮させられる制度」をテーマに、サイボウズの新しい人事制度を紹介した。最終回である今回は、教育制度への取り組みを紹介する。

新卒社員の増加に合わせ、教育制度の整備に着手

 「社員1人1人が成長しながら、より長く働ける環境を提供する」という人材戦略のもと、「最長6年間の育児・介護休業制度」「成果重視と年功重視の選択型人事制度」など特徴的な制度を導入してきたサイボウズ。同社が次の重点施策として力を注いでいるのが教育制度の整備だ。

 サイボウズが新卒を積極的に採用し始めたのは2004年。それまでは即戦力を求め、中途採用を中心に行っていたため、教育制度はそれほど重要視されていなかった。

 新卒を採用した際は、その都度、所属部門が新人研修や勉強会などを行っていた。これは全社的に制度化されているものではなく、人事部門もどこでどんな教育が行われているかを把握できていなかった。

 しかし、新卒採用を始めて4年が経過し、全社員の約半数を入社5年以内の新卒の社員が占めるようになったいま、「教育制度をしっかり整備し、体系化していく必要がある」とサイボウズ 取締役副社長兼人事本部長 山田理氏は考えている。

社内リソースを活用して研修プログラムを体系化

 体系化に当たって、まずは現在各部門で行われている研修の資料、誰がどんな教育を担当できるかなどの社内情報を収集し、データベース化する取り組みを開始。今後は集まった情報をコンテンツ化し、カリキュラムを整備することで、社員が受けたい研修を自由に選べる体制の確立を目指している。

 これによって、例えば営業担当者が技術系の新人研修を受けたり、中堅社員がマナー研修をあらためて受けたりなど、社員のニーズに柔軟に対応できる、自由度の高いプログラムを提供することが可能となる。

 同社ではこうしたカリキュラムを、すべて社内のリソースを活用して作り上げようとしている。「例えばマナー研修1つとっても、外部による一般的な内容とサイボウズが重視する内容は異なる。価値観を共有するという意味でも、できるだけ社内で、社員から社員へ知識を伝えるようにしていきたい」という。

 もちろん、社外研修をまったく使わないというわけではない。まだ社内にノウハウが蓄積されていないものや新しい技術に関しては、外部の研修を活用して詳しい情報を得る。それと同時に研修の方法も学び、サイボウズに最適な内容にアレンジして、カリキュラムに落とし込む。そうすることで、社内研修プログラムをいっそう充実させることができる。

 将来的には、「年間で何時間まで研修を受けられる」といった条件を設定し、「成果重視型制度」で定義された社員の11の階層ごとに必須項目を決めるなど、人事制度と連携した教育制度にしていく計画だ。

技術力を重視するITエンジニアのキャリアパス  

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