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2012年の注目技術&サービス展望

インフラ技術の2011年トピックまとめ&2012年予想

エンジニアtype
2012/2/13

めまぐるしく情報が飛び交う昨今のIT業界。そんな激動の時代に遅れを取らないためにも、右往左往してしまう人たちは多いのではないだろうか。「常に業界トレンドに敏感でありたい」と思うあなたのために、IT業界の著名人たちが2012年のITキーワードを大予測。

※本記事は、「エンジニアtype」のコンテンツを一部@IT表記に統一した上で、許可を受けて転載するものです。

 インターネットの半歩先の未来を、【Webサービス】【エンタープライズ】【インフラ】の3つに分類し、各領域を代表する識者たちにそれぞれ、2011年の振り返り2012年の注目トピックについて語ってもらった。

【Webサービス編】

  • ロケットスタート 古川健介氏
  • ケイブ 安生真氏
  • ジークラウド 渡辺薫氏

【エンタープライズ編】

  • エフ・ケーコーポレーション 湯本堅骼=iござ先輩)
  • 豆蔵 羽生田栄一氏
  • ソニックガーデン 倉貫義人氏

【インフラ編インデックス】(今回)

ゼロスタート代表・山崎氏の予測

「通信の社会インフラ化が進み、製品の超低電力化の注目が集まる」
ゼロスタート 代表取締役社長
山崎徳之氏

ライブドアなどでインフラエンジニアや代表取締役として活躍。設計・構築・運用のすべてに携わった。2004年にシリコンバレーでRedSIPを創業。2006年にゼロスタートを設立し、代表取締役として活躍している。

【2011年振り返り】システムのスケール技術が活性化

 FacebookをはじめとするSNSが活性化することによって、トランザクションが急増してきました。そこで2011年に注目を集めたのが、NoSQLを代表とする、システムのスケーラビリティを向上させるための技術です。

 近年叫ばれる「フロントエンド・バックエンドをクロスオーバーさせる」技術としても、非常にエポックメイキングな技術だと感じています。ただし、このままNoSQLが2012年のキラーテクノロジになるわけではないので、スケール技術全般を常にベンチマークしておく必要があるでしょう。

【2011年振り返り】HTML5の登場

 ソーシャルサービスが普及することでトランザクションが急速に増加し、Webのインタラクティブ性・表現力が高まってきています。この表現力のリッチ化にあたって登場した代表的なものがHTML5です。この技術は、2012年以降も要チェックであることは間違いありません。

【2012年予測】処理の非同期化

 「システムのスケーラビリティ向上」という大きな流れの中で、わたしが特に注目しているのが「非同期化」です。過去をさかのぼっても、何かが速くなるときは非同期化がキーになる。2012年がそのタイミングで、アプリケーション処理の非同期化が加速するでしょう。

 その結果、インフラエンジニアに求められる技術レベルが、全体的に底上げされると予想されます。そこでもしかすると、非同期処理技術に即した新しい開発手法が登場するかもしれません。TDD(テスト駆動開発)がさらに浸透する可能性もありますね。

【2012年予測】超低電力化

 トランザクションの急増に伴って、サーバ側に要求される処理能力も増加すると、自然と電力消費が激しくなってしまいます。そこで、2012年注目したいのが、「超低電力化」です。すでにインテルが2012年夏に超低電力チップセット「Ivy Bridge」のリリースを予定するなど、メーカーもこぞって超低電力製品を出してくるのではないでしょうか。

 バッテリ持続性が高まれば、2011年じわじわ増え始めてきたノマドなワークスタイルも、2012年以降さらに加速していくと思います。

びぎねっと代表・宮原氏の予測

「クラウド・震災・既存のビジネスモデルの崩壊で、BCPの見直しが加速する」
びぎねっと 代表取締役社長
日本仮想化技術 代表取締役兼CEO
宮原徹氏

大学卒業後、日本オラクル入社。マーケティングなどを手掛けた後、2001年にびぎねっとを設立。次いで2006年に日本仮想化技術を設立し、オープンソースの普及活動などに尽力している。

【2011年振り返り】大震災を機にクラウドの活用が急増

 年々増加する膨大なデータを、ローコストで安全に管理するという観点でシステムを見直そうという動きは、以前からありました。この動きが活発化し始めたのが、3月11日の東日本大震災です。震災以降、データセンターをより安全なエリアへ移したり、パブリッククラウドを採用し始める企業が一気に増えました。

 それまでは、どちらかというと特別視されていたクラウドシステムの採用を、企業が真剣に検討するようになったわけです。近年の情報量の急増を鑑みても、しばらくは企業のシステム見直しのトレンドは続きそうです。

【2011年振り返り】通信事業者やSlerに訪れた“大転換期”

 データセンターの需要は増えたものの、クラウドの登場でラックの本数が大幅に減少するなど、従来のオンプレミス型のビジネスモデルが通用しづらくなっています。そのため、2011年は通信事業者やSIerにとって、どうやって自分たちのビジネスをブラッシュアップさせていくのかを見直す転換期になったのではないでしょうか。

 大規模システムを用いずにビッグデータの高速処理・高速通信を実現するニーズが高まる中、大手SIerや通信事業会社がどのようなビジネスモデルを確立させ、次の一手を投じてくるのか、楽しみです。

【2012年予測】BCP(Business Continuity Plan)

 BCPという言葉自体は以前からありましたが、それはコストを抑える目的での話でした。当時はおまけ的要素が強かったBCPですが、震災やクラウドの台頭により、2012年の赤丸急上昇ワードになるのではないかと思っています。本格的にBCPを策定するには、ある程度調査が必要になるため、2011年はその準備段階にあったといえるでしょう。

 2012年は、クラウドシステムを2012導入した場合にセキュリティ面で問題はないか、データセンターをより安全な場所に設置したい場合の好立地はどこか、といったプランを具体的に明示し、企業が導入・稼働を開始するのではないでしょうか。

【2012年予測】スーパーセットエンジニア

 2011年になって少しずつ需要が表面化してきましたが、2012年はスーパーセットなエンジニアの価値がさらに高まるでしょう。わたしが考えるスーパーセットエンジニアは、インフラ領域ではネットワーク・サーバ・ストレージなどを細分化せず、インフラ全般を総合的に見ることができるエンジニアのことです。

 私自身、得意な仮想化分野に加えて、ネットワークの資格(CCNA)を取得してスーパーセットなエンジニアになれるように努力している段階です。

ブレインパッド代表・草野氏の予測

「データ分析オリエンテッドなビジネスモデルが急増する」
ブレインパッド 代表取締役社長
草野隆史氏

大学院修了後、外資系ITベンダに入社。マーケティングなどを手掛けた後、2000年5月にフリービット・ドットコム(現・フリービット)の設立に参画。 次いで2004年3月にデータマイニング技術を提供するブレインパッドを設立。2011年9月に東証マザーズ上場を果たす。

【2011年振り返り】「ビッグデータ」のバズワード化

 2011年に入ってよく耳にするようになった「ビッグデータ」。しかし、実際は定義が曖昧なまま、言葉だけが先行してしまった1年となりました。そもそものきっかけは、クラウドの普及によってハードウェアやミドルウェアの販売機会が損失することに危機感を持ち始めたSIerやベンダーが、次の市場として大量のデータを扱うビジネスを展開するために「ビッグデータ」に注目し出したのではないかと感じています。

 2012年になって、プレイヤーが増えるにつれ「ビッグデータ」の定義が明確になり、ビジネスとして発展していくのではないでしょうか。

【2011年振り返り】IT企業、データマイニングに目覚める

 データマイニングに関しても、まだ未熟なマーケットで、確固たる市場があるわけではありません。ただ、データ分析の活用という意味でとらえると、2011年はディー・エヌ・エーやグリーのような、データ分析と改善を非常に短いサイクルで行うデータドリブンなWeb系企業が台頭してきたことは大きな変化ではないでしょうか。

 また、個人的にはFacebookが、保有するユーザーデータを生かしてどんなビジネス展開をしていくのか、興味があります。あのデータだけは、彼らしか使用できないビッグデータですから。

【2012年予測】データマイナー(データアナリスト)

 データ分析の分野がにわかに重要度を増す中、2012年以降はデータマイナーのニーズが拡大することが予測されます。日本ではあまりなじみがないデータマイナーに必要なスキルは、統計的・数学的な基礎知識と、エンジニアとして最低限のプログラミングスキル。そして、大量のデータをハンドリングしていく上で欠かせない、携わるビジネスへの理解度です。

 このように要求されるスキルレベルは高いものの、専門職としてのデータマイナーの募集が増えれば、日本でも少しずつ定着していくでしょう。

【2012年予測】Internet of Things

 2009年ごろに注目を集め始めた、モノとものをインターネットで結び付ける「Internet of Things」。2012年は、この概念が徐々に現実味を帯びていくと思います。そして、クルマや家電などさまざまなモノが通信機能を持てば、各所に通信情報がデータとして残る。わたしとしては、そこで得られるデータがどのようにビジネスに活かされるかも気になりますね。

 ただし、日本は、海外と比較しても個人情報に関する法律は厳しく、第三者が容易に活用できません。それらを踏まえると、2012年は、近年課題になっている個人情報の取り扱いに関して、利活用のために何らかの進展があるかもしれませんね。

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