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組み込みエンジニアへの転身指南

第4回 組み込みエンジニアからの転身はあり?

關口洸介(パソナキャリア)
2007/8/15

したいことをするため、条件のいい仕事に就くためなど、さまざまな理由で人は転職する。組み込み業界とて例外ではない。組み込み業界の転職活動の喜怒哀楽を、キャリアコンサルタントがこっそり教えよう。

組み込みエンジニア以外の選択肢はあるか?

 転職をしたいと考えるのは、キャリアアップや待遇アップを狙う転職を考える方だけではありません。いまの仕事が面白くない、興味が持てないとして転職を考える方もいらっしゃいます。

 そのときには、職場を変えるだけでなく、職種を変えるという選択肢があります。そこで今回は、組み込みエンジニアの経験を持つ方の転職先の可能性についてご紹介したいと思います。

組み込みエンジニアから別の職種に転職する

・業務系アプリケーションエンジニアへ

 生産管理システムや会計システムなど、業務にかかわるシステムエンジニアへ転職するパターンです。業務システム業界においては、採用ニーズが高まっており、30歳くらいまでであれば、プログラミング経験があれば、チャレンジ可能です。

・転職のイメージ

 こうしたチャレンジは、特に社会人となって経営について興味を持った方、学生時代に経営・経済などを専攻していた方にお勧めです。業務アプリケーションであれば、それらの知識を生かすチャンスがあります。

将来的には経営コンサルタントとしてキャリアアップしたい、と考える方にとっては、まずは業務アプリケーション開発で業務知識を身に付けることがその第一歩となるでしょう。

 2次請け・3次請けの企業で組み込みをメインに業務システムのコーディングも行っているエンジニアであれば、強みのあるフィールドを確立することをお勧めします。組み込み系・業務系、どちらに力を入れるにしろ、一貫したキャリアを積める環境に転職・調整するとよいでしょう。

・電子回路設計・機械設計などのエンジニアへ

 ソフトウェアの開発以外の、電子回路設計・機械設計などのエンジニアとして転職するパターンです。組み込みエンジニアに比べると、実務経験だけでなく、学生時代の専攻を重視する傾向にあります。

 そのため、業務未経験であっても、応募する職種に関連することをしていればチャンスがあります。電子回路設計であれば語学力、機械設計であればCADの使用経験があれば、さらに評価が高まるでしょう。

・転職のイメージ

 理工系大学・大学院を卒業し、学生時代の専攻内容を生かした仕事を行いたい、とお考えの方にお勧めです。

 学生時代はいろいろなしがらみのことを考えて就職活動を行ったものの、やっぱり専攻にかかわった仕事をしたい、という方はリベンジのチャンスです。組み込みで経験した業種・製品にかかわる設計であれば、ソフトウェアの経験・知識も強みとなるでしょう。

・営業をはじめとするエンジニア以外の職種へ

 技術のバックグラウンドを生かして、ほかの職種に、転職するケースです。エンジニアで培った業界の知識・業務の経験を生かすことができます。

 営業であれば、コミュニケーション能力、元気の良さ、フットワークの良さなどを求められる傾向があるようです。営業に対する熱意、やる気も重視されます。マーケティング関連職であれば、語学力を求める企業も多いようです。

 20代であれば、製造業にかかわらず、ほかの業界のエンジニア以外の職種に転職できる可能性は十分あります。

・転職のイメージ

 ほかの職種への転換に強い意欲を持っている方が、転職を成功させられます。例えば営業職であれば、業界経験よりも営業経験を重視する企業も多くある中で、営業未経験でチャレンジするのですから、それを払しょくする熱意を伝える必要があります。一方で、同じ業界で転職するのであれば、技術力というプラスアルファの強みを持った人材としてキャリアアップできる可能性が広がっています。

 ほかの職種への転換だけなら、社内の異動で済む場合も多くあります。職種転換の希望が強いのであれば、まずは社内で調整してみることをお勧めします。実際のところ、職種未経験で転職するよりも、経験があった方が選考でも有利であるし、リスクも少ないといえるでしょう。そのためには、可能ならば社内の異動でほかの職種の経験を積んでから転職を考えた方がよいでしょう。

未経験の職種・業界にチャレンジする可能性とリスク

 ほかの職種で働きたいと思いながらも、そのまま現職の仕事をモチベーションが低いまま続けるよりは、新しい環境に挑戦(転職活動を行ってみるだけでも)した方が、気持ち良く仕事ができ、結果として待遇もアップする可能性もあるでしょう。

 一方で、未経験の職種・業種に挑戦するリスクもあります。どうしても未経験の職種であると、実際の仕事内容やつらさが見えにくいようです。エンジニアから違う職種に転職し、こんなはずではなかったとして、また組み込みエンジニア職に再度の転職を図るため、相談に来る方もいらっしゃいます。

 組み込み系エンジニアが多く活躍する製造業では、転職回数が多い方を敬遠する企業も少なくありません。そのため、最初から組み込み系エンジニアとして転職すれば、年収アップ・待遇アップで転職できたのに、ほかの職種での転職をはさんだために企業の選択肢が狭まり、1社目よりも条件の悪い企業で働くことになってしまった、というケースもあります。

 組み込みエンジニア以外の仕事で働きたいと思った方は、なぜほかの職種にチャレンジしたいのかをしっかりと自己分析を行うとともに、チャレンジしたい業界・職種の情報収集を積極的に行うことから始めましょう。焦りは禁物です。


筆者プロフィール
關口洸介(パソナキャリア)●高等専門学校、大学、大学院で機械工学を専攻し、主に機械力学・制御工学を基礎とした振動制御の研究を行う。卒業後、エンジニアの転職サポートを志し、人材紹介会社で人事から求人ニーズをヒアリングする企業担当を経験。自動車、家電、半導体、精密・計測器、化学業界など各メーカーの人事から採用ニーズを直接聞いてきた経験を生かし、現在は転職希望者へのキャリアカウンセリングを担当している。

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