第1回 新人あら太君、お客さま訪問に遅刻する?
ナレッジエックス 中越智哉
2008/5/12
新人エンジニアだったしんじ君もついに2年目。初めての後輩を迎えて緊張気味のしんじ君ですが、何とメンターに指名されることに! 2年目エンジニアとして、新人のメンターとして、さらに成長するしんじ君を見守ってくださいね。 |
■しんじ君、新人卒業! 社会人2年目に
ここは東京のとあるSI(システム開発)企業、アットイットシステム社。この会社に昨年の春、中山しんじ君という青年が新入社員としてやってきました。
IT業界のことを何も知らなかったしんじ君。いろいろな失敗もしましたが、周囲の仲間に助けられながら開発の業務を覚えていきました。1年たったいまでは、すっかり頼もしいITエンジニアになっています。
アットイットシステム社には、今年も数人の新入社員が入社します。
しんじ君も新人を卒業し、社会人2年目です。いままでは先輩社員に助けられて何とか業務をこなしてきたしんじ君ですが、これからは自分が後輩にアドバイスを行わなければいけない立場になるのです。
■しんじ君、新人のメンターに指名される
入社式当日。新入社員たちは会議室で入社式を行った後、総務部の担当者のもとでビジネスマナーや社会人としての心構えといった基礎研修を受講しています。一方、今日から「先輩社員」になったしんじ君は、通常の業務をしながらも、何となくそわそわしています。
しんじ君 | 今日から先輩か……。頭では分かっているんだけど、実際に新入社員がオフィスにいると思うと、緊張するな。新入社員に質問とかされたら、ちゃんと答えられるのかな……。 |
そんなとき、しんじ君の所属するシステム開発部の上野部長から、驚きの指示があったのです。
上野部長 | しんじ君、ちょっといいかな。 |
しんじ君 | はい、何でしょうか。 |
上野部長 | 実はしんじ君に頼みたい仕事があるんだが、いいかね? |
しんじ君 | はい、もちろんです。もしかして、今度の新人歓迎会の幹事か何かですか? |
上野部長 | いやいや、そっちは君の同期の若尾さんに頼んであるんだよ。しんじ君には、幹事ではなくて、メンターをやってもらいたいんだ。 |
しんじ君 | ふぅ、なんだ、メンターですか……。って、ええっ! 私がメンターですか? |
上野部長 | そうだ。君には坂上君のメンターになってもらうから、よろしく頼むよ。細かい指示は麻根君に頼んであるから、彼に聞いてみてくれ。 |
しんじ君 | は、はい……。 |
ただでさえそわそわしていたしんじ君、メンターを命じられてさらに緊張感が増してしまいました。
しんじ君 | メンターなんて、僕に務まるのかな……。面田さんみたいに的確なアドバイスするなんて、僕にはとても無理だし、これは大変なことになっちゃったかもしれないなあ。 |
■しんじ君と新人あら太君の出会い
1週間がたち、基礎研修を終えた新入社員たちが現場に配属されてきました。まずは全員で各部署を回って、1人ずつあいさつをします。システム開発部にも新入社員たちがやってきました。しんじ君が気になるのは、もちろん、メンターを命じられた相手の「坂上君」が誰なのかということです。
しんじ君 | こないだの懇親会で顔はだいたい覚えてるんだけど、幹事の仕事でいっぱいだったから全員の名前までは覚えられなかったんだよなあ。 |
最初の新入社員があいさつします。
新入社員 | 初めまして。坂上あら太です。東京生まれ東京育ちです。一生懸命頑張りますので、よろしくお願いいたします。 |
彼こそ、しんじ君がメンターを担当する坂上あら太君なのでした。しかも、
しんじ君 | 懇親会で僕に質問してきた人だ……。 |
そう、しんじ君は懇親会の席であら太君からある質問を受け、思わず返答に詰まってしまったのでした(「新人しんじ君外伝〜新人歓迎会、なのにトラブル? 波乱の予感……」)。
あいさつの後、麻根主任があら太君を連れてしんじ君の席にやってきました。
麻根主任 | しんじ君、上野部長から聞いているとは思うが、君が坂上君のメンターということだから、よろしく頼むよ。坂上君、こちらが君のメンターの中山君だ。 |
あら太君 | 初めまして、坂上です。中山先輩、よろしくお願いします! |
しんじ君 | は、はい。こ、こちらこそ、よろしく。 |
麻根主任 | メンターというのは、いろいろアドバイスをしてくれる相談相手みたいなものだ。何か困ったことがあったら、何でも彼に相談してくれ。 |
あら太君 | はい。 |
しんじ君 | な、何でも聞いてください……。 |
麻根主任 | ハハハ、しんじ君、そう硬くなるなよ。坂上君、彼はちょっと頼りなさそうに見えるけど、去年の新人の中で一番活躍した有望株なんだ、だから心配しなくて大丈夫。 |
しんじ君 | いえ、そんな(活躍というか、失敗の数がダントツですが)……。 |
あら太君 | そうなんですか。そんな人に指導してもらえるなんてついてますね、僕は。 |
麻根主任 | そういうことだ。あ、そう、しんじ君、坂上君は君と同じプロジェクトに参画してもらうから、開発業務の方の指導もよろしく頼むよ。 |
しんじ君 | は、はい! |
あら太君、初めてのお客さま訪問。そこでいったい何が? |
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