第2回 新人あら太君、先輩が残業していると帰りづらい！
ナレッジエックス 中越智哉
2008/6/9
| 新人エンジニアだったしんじ君もついに2年目。初めての後輩を迎えて緊張気味のしんじ君ですが、何とメンターに指名されることに！ 2年目エンジニアとして、新人のメンターとして、さらに成長するしんじ君を見守ってくださいね。 |
今年で社会人2年目になったアットイットシステム社のITエンジニア、しんじ君。前回（第1回「新人あら太君、お客さま訪問に遅刻する？」）、今年の新入社員の1人である坂上あら太君のメンターに抜擢（ばってき）され、同じプロジェクトの先輩として日々指導に当たっています。
しんじ君とあら太君が参画しているプロジェクトは4月にスタートし、6月末に納品の予定です。プロジェクトマネージャは麻根さん、リーダーは鮫島さんです。顧客は、しんじ君も昨年からよく担当しているナレッジ商事です。
■ITエンジニアなのに、定時で帰れるなんて意外？
しんじ君は2年目ながら、プロジェクト前半の要件定義や設計といった上流工程の作業にも、鮫島さんについて少しずつかかわっていました。一方のあら太君は、実装から担当する予定のため、実装に関連する技術の学習や、ほかのメンバーの作業の補助を行う毎日でした。
プロジェクトは5月くらいまではかなり順調に進み、メンバーは皆定時かそれに近い時間に帰宅していました。しんじ君も、作業の区切りのいいところまで少し残ることはあったものの、基本的には定時退社です。もちろん、新入社員のあら太君はまだ本格的に業務にかかわっていないので、残業になることはほとんどありません。
そんなわけで、しんじ君とあら太君は帰りに同じエレベータに乗り合わせることがよくありました。
今日も2人は、同時にオフィスを出たようです。
| あら太君 | 先輩、お疲れさまです。今日も一緒ですね。いつもほとんど定時なんて、先輩は仕事が速いんですね！ |
| しんじ君 | いや、まあ、いまのプロジェクト全体が順調だからね。別に私だけが速いわけじゃないよ。 |
| あら太君 | そうなんですか？ でも意外です。 |
| しんじ君 | そう？（僕の仕事が速いのが、かな？） |
| あら太君 | だって、IT業界って残業、徹夜、休日出勤が当たり前とかいわれてるんですよね。だからこの会社もそうなのかと思ってました。 |
| しんじ君 | そういうときもたまにはあるよ、もちろん……。 |
| あら太君 | でも、いつもそうじゃないんだと分かってちょっと安心しました。では、失礼します！ |
そういうと、あら太君はダッシュで駅へと向かっていきました。
 |
| しんじ君 | 確かに僕も、会社に入る前は同じようなことを考えてた気がするな。それにしても、彼、元気だな……。 |
■プロジェクト中盤。メンバーの帰りもだんだん遅く
ですが、プロジェクトが実装、テストと進行していき、納期も近づいてくると、徐々に忙しくなってきました。当然ながら、1人、また1人と残業するメンバーが増えてきました。しんじ君もその中の1人です。
| しんじ君 | （別に、いままで手を抜いていたわけじゃないんだけど。やっぱり納期が近づいてくると、だんだん帰れなくなってくるなあ……） |
心の中でつぶやいていると、あら太君が声を掛けてきました。
| あら太君 | 先輩、最近、お忙しそうですね。 |
| しんじ君 | え……うん、まあ、納期が近いからね、どうしても作業も多くなってくるんだよ。 |
| あら太君 | そうなんですか。先輩は設計からずっとプロジェクトの作業をされているから、それだけ大変なんですね。 |
| しんじ君 | ま、まあ、それほどでもないけど……。ところで、あら太君の方は調子はどうなの？ |
| あら太君 | ええ、いまのところは順調にいってるみたいです。新人だから、きっと簡単なところを担当させてもらってるんだと思うんですけど。 |
| しんじ君 | そうか、でも順調にいっているならいいよね。 |
このころには、あら太君も正式に担当業務を割り当てられていました。あら太君が察していたように、作業量はほかのメンバーより少なめです。それでも勉強半分だった時期と比べれば、だんだんと帰りが遅くなってきていました。
| 納期直前で、全員が深夜残業。そのとき、あら太君は……？ |  |
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