@IT自分戦略研究所ブックシェルフ(25)
ご機嫌な職場のつくり方
@IT自分戦略研究所 書評チーム
2008/8/19
■不機嫌な職場を改善する
不機嫌な職場は、社員同士が協力し合えない状況で生まれる。
不機嫌な職場 河合太介、高橋克徳、永田稔(著) 講談社 2008年1月 ISBN-10:4062879263 ISBN-13:978-4062879262 756円(税込み) |
第2章「何が協力関係を阻害しているのか」には、成果主義と仕事の高度化が(社員の)タコツボ化を生むと記述されている。個人が個人の成果にしか興味を示さないようになると、組織を形作っていた社員間の「のりしろ」がなくなり、組織としての体をなさないようになる。タコツボ化した社員の集合は組織とはいえない。タコツボ化した社員の口癖は「それは私の仕事ではない」である。
不機嫌な職場には「インフォーマルネットワークの場」がない。情報共有の場がない。社員同士がタコツボ化しているのだから、仕事を離れた場所で積極的な情報交換を行う機会は減る。インフォーマルネットワークの場が存在する組織では、「(中略)全体情報を持ちながら、自らの仕事を調整していくなどの、全体最適化が自然になされ」(『不機嫌な職場』、p.55)るのである。例えば、上司が部下を引き連れていく飲み会や喫煙ルームは、典型的なインフォーマルネットワークの場といえる。
不機嫌な職場を「ご機嫌な職場」に変えるための最大のポイントは社員同士の協力関係である。協力関係がうまく構築できる仕組みを導入し、運用していくことに成功すれば、その組織はただの「個人の集積」ではなくなる。「個人の集積」に可能なのは「個人ができる仕事」を人数分かけただけのものにすぎない。しかし、個人が協力し合う組織には、とても個人にはできないたぐいの発想とスケールの仕事が可能となる。
では、どうするか。アドバイスは3つ。
1つ目は、役割構造に対する工夫。価値観や目標を共通化させることに対する配慮を怠らないことである。
2つ目は、評判情報に対する工夫。インフォーマル活動に会社として本気で取り組むこと。
3つ目は、インセンティブに対する工夫。「“馬ニンジン”の金銭的インセンティブの限界」(同書、p.180)を正しく認識し、「もっと人間の内発的・根源的『感情』に訴えかけるようなところにインセンティブのあり方を見いださなければならない」(同書、p.171)。(鯖)
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