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@IT自分戦略研究所ブックシェルフ(41)
齋藤孝と梅田望夫の私塾

@IT自分戦略研究所 書評チーム
2008/9/10

■私淑できる人を持て

私塾のすすめ

齋藤孝、梅田望夫(著)
筑摩書房
2008年5月
ISBN-10:4480064257
ISBN-13:978-4480064257
714円(税込み)

 齋藤孝氏が冒頭で、志をデザインする、と書いている。現在は「意識的に自分自身をデザインしていく時代」(『私塾のすすめ』、p.13)であるとし、そんな時代を軽やかに生きるために、新しい学びの場が必要であると説く。

 それはどんな場か。

 福澤諭吉的メンタリティを持つとする齋藤氏は、幕末の私塾が理想の形態であると主張する。緒方洪庵の適塾や吉田松陰の松下村塾のような私塾。「中心には信頼できる人格と力量を併せ持った師」(同書、p.11)がいて、その空間は学問的喜悦にあふれている。

 齋藤氏と梅田望夫氏は私塾の師を目指す。齋藤氏の活躍場所は大学だ。梅田氏はWeb。場の性質が違うと、師の弟子たちに対する姿勢が微妙に異なる。齋藤氏は「無理やり」やらせる。梅田氏は、やる気がなく、関心さえない人は最初から相手にできないとする。

 梅田氏の場合、彼のブログに反応する人とのやりとりが重要なポイントである。弟子たちは望んで梅田氏にアクセスする。梅田氏と話をしたい動機がある。しかし、齋藤氏の弟子たちには、多くの場合、齋藤氏と接点を持ちたいという動機がない。

 齋藤氏はあるとき、証券会社の顧客向け講演会に講師として呼ばれた。講師は彼を含めて2人。もう1人の講師は株の話をした。「(中略)そのもう1人の講師の話を聞く目的で来た人たちは、僕の講演を最初から聞く気がありません。そういう人に対する、僕の無理やり感ってすごいです。立ってもらって体操してもらったりする」(同書、p.78)

 師としての姿勢に違いがある2人だが、「自分の中に私淑できる人を持て」というメッセージの発信では共通点がある。(鯖)

本を読む前に
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