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現場で使えるメンタルヘルス改善講座

第9回 仕事を抱え込まず手際よくさばく方法は?

樋口研究室
山本隆之

2009/7/3

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「動く」「確かめる」「報告する」

 そこでわたしはAさんに、アドバイスを実行した結果を尋ねてみたのです。すると、Aさんから返信が戻ってきました。表題は「大丈夫です!」。その内容を見ると……。

 「ご心配なく。アドバイスはやっていませんが、もう解決方法が分かったので安心です!」

 なんと! 結局のところ、Aさんの仕事は何ひとつ終わっていなかったのです。Aさんは、解決方法が分かると仕事が終了、そう感じているみたいです。これでは仕事はどんどんたまるばかり。仕事を抱える理由が分かったような気がしました。

 さて、どうしようか……。とにかくAさんの行動を改善しないと仕事は1つも減りません。まずはAさんに過去のアドバイスをすべて実行するようにお願いしました。Aさんがすぐに返信してきました。

 「分かりました。いまからアドバイスを実行します!」

 でもその後、とんでもないことが、分かりました。Aさんがわたしのアドバイスを実行した後の返信です。

 「メーカーのミドルソフトの専門家は、海外出張中でいません。部長の夜のスケジュールは接待で埋まっています。人が不足しているので、1人も応援がいません。全部アウトです……」

 アウトだったら、もっと早くいってくれ! わたしはメールを読みながら叫びましたが、そうもいっていられません。Aさんはすでに4つの仕事を抱え込んでいるので、このままでは5つ目、6つ目と増えていくのは目に見えています。

 そこでわたしは、まずアドバイスを実行して、その結果を教えてくれ、そういうお願いをしました。例えば、4つ目の仕事では、「Aさんは、もうそのお客さまの担当ではないので、プログラムの修正は自分の仕事ではない」ということをきちんと上司に伝えるようにアドバイスしました。そしてアドバイスの実行結果をすぐにわたしに報告する。これを強くお願いしたのです。アドバイスがうまくいかなければ、わたしは次のアドバイスを素早く発信できます。

 Aさんはすぐに返信を戻してきました。

 「分かりました。すぐに動きます!」

 間もなくAさんから返信が送られてきました。メールには以下のように書かれています。

 「上司にいうと、その仕事はやらなくていい。そう指示されました」

 これでAさんの仕事は1つなくなりました。同じように、まだAさんが抱えている仕事について、わたしは次のアドバイスに変更しました。

 「メーカーに専門家が1人しかいないのはヘンだとクレームをいってください。部長の夜の時間がダメなら早朝の時間を確保してもらってください。お客さまにインフルエンザは緊急の社会問題だから少し作業を待ってもらってください」

 そしてAさんに、結果をきちんとわたしにレポートするように、念を押しました。

 その後、Aさんは1週間かけて自分の仕事を終了させる作業をしました。ミドルソフトメーカーは代替の専門家を出してきました。部長と午前7時の会議を開催しました。チームリーダーはインフルエンザから回復して、1週間後に仕事に復帰しました。Aさんは、いいます。

 「仕事もアドバイスもテンポよくこなしていくことが、大切なのですね!」

 そのとおりです。良いアドバイスでもテンポよく実行しないと、抱えた仕事はいつまでたっても終了しないのです。

図1 う・た・う仕事の解消法

 わたしは、仕事をテンポよく進めるためには、「動く」「確かめる」「報告する」の、3つの行動にポイントがあるような感じがします。

 仕事のアドバイスをもらったときは、いち早く「動く(実行する)」。そうするとアドバイスが、うまくいくか「確かめる」ことができます。でもダメだと分かったら、アドバイスをしてくれた人に素早く「報告する」。すると、次のアドバイスがもらえるかもしれません。そしてまた最初に戻って「動く」「確かめる」「報告する」を実行します。これをテンポよくやることが重要です。

 わたしはこれを「うたう(「」ごく、「」しかめる、ほ「」こくする)仕事の解消法」と呼んでいます。まさに歌を歌うようにスムーズにテンポよく。これが仕事を手際よくさばいていく大切なリズムです。

 皆さん、リズムに乗って、楽しく仕事をしてくださいね。


今回のインデックス
実行されないアドバイス
「動く」「確かめる」「報告する」

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筆者プロフィール
山本隆之樋口研究室の認定ITコーチ。会社ではITサービス案件に参画し標準化やフレームワーク開発の仕事をしている。「自分のパフォーマンスアップこそが、チームや会社のパフォーマンスアップにつながる」。これが持論である。

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