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第2回 松野徳大――「だまってコードを書けよ」

千葉大輔
2008/4/25

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話題の中心はテクノロジー

 エンジニア同士のコミュニケーション。その話題の中心はやはりテクノロジだ。飲み会の場で、ブログに書いたソフトウェアの話や、技術的なトピックについて話をすることが多いという。

 「ブログに書いてあったけど、あれは実際のところどうなのかとか、海外のあるソフトウェアを紹介する記事を書いているような人がいた場合には、紹介していたけど実はそれ使ってないんじゃないの? って聞いてみたりとか。そういう会話を互いにやっていますね」

 「ある1つの話題が一気に盛り上がるケースもよくある」と松野氏。「こんなコミュニティがあれば」という話があると「じゃあ来月イベントをやるか」という動きが起こることもしばしば。2006年、Plagger(『一足早く「Plagger」の便利さを実感してみよう』)がリリースされたときもIRCなどで盛り上がったという。

 「全然、それまでかかわりのなかったような人がいきなり出てきて『こんなプラグイン書いてみた』みたいなのも、結構ありました。例えば、Perlを全然使ってなかった人が、PlaggerをきっかけにPerl界の人間になったケースもあります。IRCにいる連中ですごい勢いで『こういう使い方もできる』と、すごい勢いでプラグインがどんどん増えていって、『何からでもデータが取れる、何にでもデータが出力できる』ということをずっと一日中やっていて、それが数日間続きました。あまりオープンソースとかやっていないエンジニアに、当時の勢いとか熱気を伝えたいんですけどね」

 
 

 また、「こんなことができるモジュールを探している」とか「このモジュールはいいか悪いか」といったささいなことでも話題が尽きない。
 
  「基本的にエンジニア同士だったらインデントの幅はどれが一番優れているかで一晩酒を飲んで飲み明かせますね。そんな宗教論争的な感じのネタであれば、それこそ誰だかよく分からない人が相手でも、それなりに話せますね」

 「みんな面白いものを常に探している」と松野氏はいう。技術が好きな人間が、それぞれに面白いものの情報を交換する。そんな場にエンジニアが集う。「単に気が合うから一緒に飲みたいっていうだけの場合も多いと思いますけど」と松野氏。コミュニケーションの方法もさまざまだが、エンジニア同士、前述のCodeReposのようにコードで通じることも多い。

 「昨年の11月にJohn Resigが来日したとき、amachang(天野仁史氏:『メランコリックな渋谷系Javascriptハッカー』)が、『このコードが、ここのコードが!』って日本語でいいながら、なんとかコミュニケーションを取っていました。もちろん、相手は英語しか話せないんですけど、コードを見せ合って、なんとかコミュニケーションが取れたりするときは結構あります。エンジニア同士だったら、英語は片言でも何とかなるのかなと」

先人の影響

 さまざまなエンジニアとコミュニケーションしている松野氏だが、自身のロールモデルにしたいと思うようなエンジニアはいるのだろうか。

 「エンジニアとして、宮川(達彦)さんはかっこいいですよね。あとBrad Fitzpatrickとかはやっぱりすごいなと思います。あとIngy(Ingy dot Net)っていう、40代のおっさんがいるんですけど、パッと見だと20代といっても通るんじゃないかなというくらい若い。去年のYAPC(yet another perl conference:Perlに関するセッションや講演が行われるカンファレンス)で来日したときに一緒に山手線に乗っていたんですけど、あの人って常にノートPCを手放さないんですよ。それで、おもむろに山手線車内の車いすを止める広いスペースに座りこんで、ノートPCを広げてコードを書き始めて。すごいなあと。しかも、40代とは思えないようなファンキーなコードを書く人なので、普通の人だったら、これはヤバイだろうと思ってやめてしまうようなところを攻めていくのがかっこいいなあと思いますね」

刺激を与えられる。そんな飲み友達

 
 

  松野氏にとってエンジニアの仲間はどんな存在なのか。その問いに松野氏は

 「普通に気の合う飲み友達」

と答える。その一方で、その存在が「刺激になる」とも話す。すごい発想、すごいコード、これまでと違った考え方に刺激を受ける。そして、それらをもたらすのはエンジニアの仲間だ。これまでに印象に残っているものにはどんなものがあるのだろうか。

 「『Test::Base』というテスト・スクリプトを書くのが便利になるモジュールがあって、そのモデルはIngyが作ったモデルなんですけど、これは発想としてすごいなあと。宮川さんが作った『Web::Scraper』というモジュールもすごい。あと、yappoさんが作った『Class::Component』も最近使い始めたんですけどすごいなと。いま挙げた3つはここ1〜2年のエンジニア界の動きにかなり影響を大きく与えたものだと思います」

 実装はperlだが、考え方はどんな言語でも使える。実際、ほかの言語にも移植され、活用されている。

 「思いついてバーっと作ってみた、みたいなモジュールがいろんなところで使われる。普通に雑談している間から、この発想は多分いままでになかったんじゃないかみたいなものがポッと出てくるときも結構あるんで、そういうのが面白いですね」

 

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