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第3回 開発者が語るMonaのこれから

千葉大輔(@IT自分戦略研究所)
2007/11/15

これまでのMonaとこれからのMona

――OS開発というと一般ユーザーには、そのプロジェクトが目指す目標や現在の進ちょく状況について、見えない部分が多いと思います。そこで、Monaの現状とこれからの方向性について教えてください。

ひげぽん 「メンバーとも話したのですが、Monaはそろそろ『動けばいいよね』という時期を過ぎているだろうと考えています。いままではこれが欲しい、あれが欲しいという機能を作っていって、何とか音楽再生といった一般ユーザーの人にも分かりやすい機能が乗っかるようになりました。しかし、さらに先に進んで、きちんと使ってもらえるOSになるには土台を固める必要があります。そして、土台を固めるには少人数でMonaについてよく分かっている人たちでやった方がいいので、いまは我慢の時期として足場を固めて、その後人を増やすという感じになるだろうなと思います」

奥村 「今年のオープンソースカンファレンスで面白かったのは、展示してあるMonaを見て『これってOSじゃん』という反応があったことです。確かに音声再生とかWebカメラのデモをやって、まるで普通のOSのような機能がそろってきたというか、それくらいできる技術力がわれわれに備わってきたということがあります」

――Monaの目指すべき目標というのはどこにあるのでしょう

ひげぽん 「近い遠い目標と遠い遠い目標があるんですけど、自分が日々コンピュータで行う作業を全部Monaを使ってできるようにしたいというのが近い遠い目標です。それを通り越して、いずれMonaをほかの人にも使ってもらおうぜというのが遠い遠い目標です」

奥村 「要は自分が使えれば幸せというのを、全世界の人に拡張するという話です」

ひげぽん 「2010年までには何とかなるという噂が流れていますけど(笑)」

奥村 「あと3年じゃないですか(笑)。これまでの倍の時間をかければ何とかなるかもしれないですが、これからAPIを固めて、どれくらいの人がそれに共鳴してくれるかというのはある程度の賭けですよね」

ひげぽん 「コミュニティってどこかで爆発的に成長するポイントがあると思っていて、いまはその準備段階でちょっと追い風が吹いているかもというくらいだと僕は感じています。いまMonaは立ち上がってから5年目ですけど、Rubyとか考えると10年くらいは続けないと、はやらないんじゃないかなとそういうスパンで考えています」

――では、直近のマイルストーンというとどういった展開を考えているのでしょうか

ひげぽん 「現在のところ、APIを固めようという話をしています。具体的にいうと、昨年から今年の夏に掛けて、未踏ソフトウェア創造事業でSchemeのシェルを作っていたのですが、それを拡張してユーザーやアプリケーション開発者が、Schemeを使ってMonaの機能にアクセスできたらいいんじゃないかと考えています。その実装が次のマイルストーンです」

奥村 「システムがSchemeで全部書けるぐらいのレベルでできたらいいなと」

ひげぽん 「極端な話をするとデバイスドライバもSchemeで書けたらいいねとか、OSのコンポーネント同士の通信をS式を使ってやれたらいいんじゃないかという話をしています。その辺については、かなり熱い議論をしています」

――なぜSchemeを使おうと考えたのでしょうか

Monaのこれからについて話す2人

ひげぽん 「もちろんSchemeが好きだからとか、本を読んで感銘を受けたというのはありますけど、普通のソフトウェアを書くときに、CとかC++を使って書かないといけなくて、面倒なんですよ。やりたいことをやるまでに、メモリ管理や、変数の宣言を丁寧にしなければならないといった部分に時間が掛かってしまいます。そういった面倒な部分をとっぱらってSchemeで簡単にできたらいいなと思います。開発者でさえも、Mona上のアプリケーションを作るときに面倒だと感じていますし」

奥村 「ファイル差し替えるのにいちいちコンパイルをしないといけないとか……。じゃあ、インタプリタでとなりますよね」

ひげぽん 「最近はマシンの性能も上がってきて、求める速度が出るかもしれません」

――それはいつぐらいまでに実装しようと考えていらっしゃるのでしょうか

奥村 「これから半年くらいで収束しないといけない議論ではあります。延々とそこだけ議論していてもしょうがないので」

ひげぽん 「多分、議論が年内に収束して、実装が3カ月くらいとして来年の春ぐらいでしょうか。ちょうど次のオープンソースカンファレンスのTokyo/springでリリースとかできたらいいですね。有言実行というかパブリックな場所に書いて逃げられなくするのが、Monaメソッドなんですよ。やっぱり締め切りがあると頑張りますし」

――Monaプロジェクトから何かお知らせはありますか

ひげぽん 「最近、Monaに音楽が再生できるようになりました。これは一般ユーザーの人に理解してもらえる機能が乗ったという1つのターニングポイントです。それを簡単に試せるようなプレーヤーを配布しているので、もしよかったら試してください」

奥村 「みんなデバイスドライバ書いてください。あるいは、LinuxでもBSDでもいいので、何かオープンソースなOSに興味を持って使ってもらうだけでも、この界隈の力になると思います」

 


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