ヤフーの技術者にとって、非常に楽しみなイベントがあるという。それが冒頭でも紹介したHack Dayだ。
Hack Dayは、アメリカのヤフーで始まったイベントだ。ルールは「24時間で何かを作ること」。作る作品は何でもよい。自由な発想でアイデアを形にして、プロトタイプにする。1日8時間の開発を3日行い、4日目には参加者全員がプレゼンを行う。
実に過酷そうなイベントだが、現場の技術者たちはとても楽しみにしているという。「開発側からアイデアやサービスを提唱できる、よいチャンスです。技術者のモチベーションアップにもなっていると思います」と、吉田氏は語る。
参加者は毎回200人ほどで、個人で参加する人もいればグループで参加する人もいる。吉田氏は2009年のHack Dayに単独参加して見事優勝を勝ち取った。
吉田氏が発表したのは、「翻訳ルーペ」というiPhoneアプリだ。「翻訳ルーペ」を使うと、iPhoneで撮影した画像の文字を自動認識して、さまざまな言語に翻訳することができる。
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吉田氏は24時間をかけて、無事にプロトタイプを完成させた。優勝の決め手は「90秒のプレゼンで、しっかりと翻訳ルーペをアピールできたこと」だと、吉田氏は振り返る。プレゼンの場で実際に動かすと失敗するかもしれないと考えた吉田氏は、あらかじめ動作する様子を録画しておいた。24時間以内にサービスを作り上げる技術力と、自分のサービスを他の人にアピールするプレゼンテーション能力。いろいろな能力が試されるHack Dayは、技術者として大いに成長できる機会を与えてくれる。
Hack Day終了後、「翻訳ルーペ」はヤフーの正式サービスとしてリリースされた。
夢のあるサービスを作り続ける吉田氏に、今後どんなものを作っていきたいかを尋ねた。
「人々をあっといわせるような、『未来の技術』に挑戦していきたいです」。これまでの価値観で「すごい」と思えるようなものではない。これまでの「価値観そのもの」を変えてしまうような技術である。「技術は最先端のものでなくともいいです。『発想次第』で、価値観はいくらでも変えることができると思います」。
「個人の裁量を生かしてものを作り続けられることが、ITエンジニアの面白さ」と吉田氏は語る。「食わず嫌いにならないで、学生には希望を持ってIT業界に入ってきてほしい」と話す。
最後に、どんな学生に来て欲しいかを聞いた。「技術が好きで、行動力のある人がいいですね。与えられた仕事をやっていくうちに、『自分でツールを作ってしまいました』など、自ら何か行動を起こせる人と一緒に働きたい」と、吉田氏は笑顔を見せた。
「自分はものづくりに興味がある。これからも技術に集中していたい」という吉田氏。ものづくりと技術への熱い思いを感じた。
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