IT業界をリードする技術で、OSからデータベース、業務アプリケーションまで提供するマイクロソフト。その技術力は、製品だけでなく、数々の大規模システム構築プロジェクトで活躍するMCS(Microsoft Consulting Services)を通じて幅広い形で提供されている。特に大規模・ミッションクリティカル分野では、Windows技術の採用が進んでおり、MCSへの期待は高まるばかりだ。中でも求められているのが、システムの心臓部ともいえるデータベースを扱うDBコンサルタントだ。そんなMCSのDBコンサルタントの仕事について、日本ユニシスとの共同プロジェクトとなった世界最大規模のミッションクリティカルシステム事例を基に紹介しよう。 |
“究極”のITプロフェッショナルとは? |
顧客の要望に最適なシステムを設計する。その設計に基づき、開発を進める。エンドユーザーすべてが満足するようなシステム要件を洗い出す。――ITの専門家ではないエンドユーザーに対し、自分が持っている専門知識と技術力を提供するという意味で、 ITエンジニアはすべて「専門職(プロフェッショナル)」といえる。プロフェッショナルだからこそ、自分が扱う仕事内容やプロジェクトにおける役割の中で成果を上げ続ける必要がある。
さらに、より高度な専門性と技術力を身に付けることで、求められる役割、仕事内容をさらに広げることができる。一般に「ITコンサルタント」と称される職種がそれだ。
マイクロソフトコンサルティングサービス統括本部(MCS:Microsoft Consulting Services、採用情報を参照)は、Windows技術に特化した高度な技術力と数々の実績を背景に、様々なシステム構築プロジェクトにおいてITコンサルティングを提供するサービス部門。一般企業はもちろん、業界を代表するSI (システム開発)企業なども顧客となる。
こうした技術コンサルティング部隊は大手SI企業にも存在するが、MCSの最大の特徴は、マイクロソフトという標準技術を提供している企業が、自社に蓄積された技術/専門知識やノウハウを提供することにある。端的にいえば、Windows技術のコンサルティングならば、MCSのコンサルタント(過去の記事を参照)の右に出る者はいない。まさに究極の技術コンサルタントなのだ。
そんなMCSのコンサルタントは、どのような仕事をしているのか。データベースコンサルタント(DBコンサルタント)として活躍するコンサルティングサービス統括本部 プリンシパルコンサルタントの棚橋信勝氏は、「DBコンサルタントとは、お客さまが求めるデータベースへの要望や疑問すべてに対し、技術知識を駆使してお答えする役割を担っています」と語る。
「SI企業が設計したシステムを、高度な技術力でレビュー |
「DBコンサルタントは、ユーザーがデータベースに求める要望や疑問すべてに答える」――こうしたミッションを背負っている以上、マイクロソフトのDBコンサルタントとはいえ、Windows技術やSQL Server“だけ”を知っていればいいわけではない。システムの目的や機能要件を理解するのはもちろんのこと、周辺システムの環境などについても深い造詣が必要となる。
マイクロソフト コンサルティングサービス統括本部 プリンシパルコンサルタントの棚橋信勝氏 |
棚橋氏自身、もともとは、大手IT企業で全銀システムなど銀行系システムの保守運用や基盤システム開発を担当していた経歴を持つ。扱う環境としては、自社製メインフレームや専用データベースが中心だった。そんな棚橋氏がMCSのDBコンサルタントになったのは、「オープン系技術の雄であるマイクロソフトに魅力を感じ、そこで技術力を磨きたいと思ったからです」と語る。DBコンサルタントを目指したのは、「それまでの経験を基に、即戦力として活躍できる職種だったから」(棚橋氏)とのことだ。
棚橋氏の経験と技術が存分に生かされるのは、やはり銀行系システム構築プロジェクトだろう。例えば、2007年5月に本格稼働した百五銀行のフルバンキング・システムの構築プロジェクトが挙げられる(囲み記事「百五銀行・ Windows環境のフルバンキング・システムを構築」参照)。プロジェクト開始は2004年(正確には2003年末ごろ)、3年以上を費やした大規模プロジェクトで、「Windows環境の勘定系システムとして世界初の規模でした」(棚橋氏)という。プロジェクト全体を取り仕切ったのは日本ユニシス。世界でも初めての試みで、しかも新製品となるSQL Server 2005を採用するという要件が加わっていた。このプロジェクトに、棚橋氏を始めとする MCS チームと米マイクロソフトの技術者が参加。システム全体の設計は日本ユニシスが行ったが、棚橋氏たちは「その設計が、Windows Server 2003/SQL Server 2005の組み合わせに最適なものなのか」という技術レビューを通じ、このプロジェクトを支援したという。
「百五銀行・Windows環境のフルバンキング・システムを構築」 三重県に本店を置く百五銀行は、 2007年5月Windows Server 2003/ SQL Server 2005による勘定系システムを世界で初めてカットオーバーさせた。同行がそれまで使っていたメインフレームから、Windows 環境へと乗り換えたのは、「運用コスト削減」と「技術の将来性」「システムの柔軟性強化」などの理由による。従来のメインフレームが処理していた数百万トランザクション/日の業務を保証し、かつ高い安定性・高可用性を実現するというプロジェクトであり、MCSが持つWindows技術に関する深い造詣や設計ノウハウが必要だった。詳しい情報はマイクロソフトの導入事例を参照。 |
顧客の要望に合わせたドキュメント作成力、提案スキルが必要 |
システム全体の開発に本格的に着手し始めたのは、2004年からだという。マイクロソフトには「TAP」(Technology Adoption Program:過去の記事を参照)と呼ばれる、同社内で開発段階のベータ版製品を提供・検証してもらうプログラムがある。日本ユニシスとのプロジェクトはTAPの対象であり、早い段階からSQL Server 2005の検証を始めていた。
棚橋氏のミッションは、特に「SQL Server 2005に要求される機能と性能を最大限に引き出せるかどうか」を技術的な観点でレビューし、必要に応じて改善案を提案するというもの。このレビューは2004年中、2カ月に1回ほどの頻度で行われた。「作業としては、レビュー会議中に出てきた特定の質問や技術要望に対し、US開発チームの技術者とディスカッションして、改善案を提案するというものです。もちろん、そのための資料作りも担当しました」(棚橋氏)。
具体的な仕事の流れは、以下のとおり。まず、プレレビュー会議で提出された技術課題や要望を持ち帰る。その後、US開発チームとのディスカッション用に、ドキュメントを要約した英文資料を作成。改善ポイントや技術的に留意すべき点をポイントとしてまとめ、その情報を基に、今度は提案書を作る。英訳は翻訳家に任せることもあるが、内部的に使う資料は大体、自身が英訳したという。
図 SQL Server 2005構築ガイドの内容 |
今回のケースの場合は、「会議で出された課題に対し、技術レビューを行う」という方式だったが、別のプロジェクトでは「設計書そのものをレビューし、その結果をレポートとしてまとめ、実際のテスト作業を担当する」という形でプロジェクトに参加することもあるという。レビューの際には、これまでの実績やUS開発チームからの情報、実プロジェクトで得たノウハウを凝縮したドキュメントを使うこともある。「データベース構築ガイド」と名付けられたこのドキュメントは(図参照)、全16章から成り、棚橋氏を中心に DBコンサルタント数名で執筆を進めたという。こうしたドキュメントは、形こそ違え、各技術担当分野でそれぞれ蓄積され、社内で共有しているそうだ。
その場で臨機応変な提案ができるか |
具体的にどのような提案を行うのか。百五銀行のプロジェクトでは、まず信頼性の確保や障害発生時の復旧時間短縮が最大のポイントとなった。そこで重要な役割を果たすのが、SQL Server 2005 SP1から実装された「データベースミラーリング」だ。
「データベースミラーリングは、プリンシパルと呼ばれるメインのデータベースと、ミラーデータベースを並行稼働させて 2 つのデータベース間でログの同期を取り、万が一プリンシパルに障害が発生したときに早期復旧を実現させる技術のこと。システムの信頼性確保には欠かせないが、トランザクションが発生するたびにログの同期を取るので、トランザクションスループットが影響を受ける。この課題を解決するため、棚橋氏は「アプリケーション層の設計変更を提案したり、I/Oサブシステムのチューニングを支援したりしました」という。
また、「障害発生時のダウンタイムをできるだけ短縮するために、ハードウェア構成、OSレベル、DBチューニングなどの観点から改善策を考え、実際にテストを繰り返して検証しました。その検証は、日本ユニシスさんと一緒に当社の米本社にあるラボで行ったのですが、期待した結果が出なければ、臨機応変にいろいろなテストケースを試していく必要がありました。そのため、大まかなテスト方針と注意事項を定めるにとどめ、あとは状況を見ながらその場でさまざまなテストを行いました。その指示やテスト方法は、私から米本社の技術者にお願いしました」(棚橋氏)など、状況に応じた技術的判断を求められるシーンもあるという。
こうした工夫により、障害対策のテストにおいて、データベースフェイルオーバが完了するまでわずか数十秒という驚異的な数値をはじき出したそうだ。
DBコンサルタントのやりがいとは |
本事例を見ても、棚橋氏は「設計レビュー」から「開発/テスト」と、非常に長期間にわたってさまざまな役目でプロジェクトに携わっている。業務内容も多岐にわたり、ドキュメントや提案書作成から、テスト計画の方針決めなど、多種多様だ。
「製品開発に携われる喜び、顧客の期待に応えられる喜びがあります」と棚橋氏 |
棚橋氏は、このような仕事の幅の広がりのほか、「プロジェクト支援を通じて浮き彫りになった情報を、製品開発担当者にフィードバックすることで、われわれもマイクロソフト製品の製品開発に参加しています。こうしてR&D部門だけでなく会社全体が一丸となって、次の製品を作っているというところも、マイクロソフトでしか味わえない充実感です」と述べる。
「そしてデータベースという製品の特性上、システムの中で果たす役割も多様です。特にSQL Server 2005の場合、最近は分析系システムやBIの分野での期待も高まっており、お客さまに提供するわれわれのノウハウも広がっています。そうした細かい質問やニーズに対し、的確に答えるということも、MCSのDBコンサルタントのやりがいの1つですね」(棚橋氏)
ITコンサルタント限定 キャリア登録 |
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マイクロソフト 採用セミナー開催! |
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マイクロソフトのMCSについて、MCSコンサルタントについて、さらに詳細な情報が得られるセミナーを下記の予定で開催します。 ■2008年2月23日(土) ■2008年2月27日(水) |
マイクロソフト株式会社
企画:アイティメディア営業本部
制作:@IT自分戦略研究所編集部
掲載内容有効期限:2007年12月21日
会社概要 |
■会社名 マイクロソフト株式会社 ■本社所在地 東京都渋谷区代々木 2-2-1 小田急サザンタワー ■代表執行役社長 ダレン ヒューストン ■設立 1986年2月 ■資本金 4億9950万円 ■従業員数 2061名(男性:1637名 女性:424名) (2007年7月1日現在) ■平均年齢 35.9歳(男性:36.3歳 女性:34.2歳) ■事業内容 コンピュータソフトウエアおよび関連製品の営業・マーケティング ■経験者採用 経験者採用情報トップへ |
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採用セミナー情報 |
マイクロソフトのMCSについて、MCSコンサルタントについて、さらに詳細な情報が得られるセミナーを下記の予定で開催します。 ■2008年2月27日(水) |
技術サポート編
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ITコンサルタント編
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