稚内北星学園大学東京サテライト校が開校して3年目。上級者には、国内でまだ紹介されていない技術知識や事例などを学ぶ環境を提供し、初級〜中級者に対してはサブゼミや補講などを通じ、各人の興味・関心に応じてITの基本から実践までを幅広く学べるように一層の工夫を凝らしたという。その中身を見てみよう。 |
社会人の要求により幅広く応える東京サテライト校 |
「IT業界で働く、あるいは働こうとする社会人」を対象に、稚内北星学園大学東京サテライト校が誕生したのは2004年のこと。同校は、現在企業で活躍するITエンジニアや、IT関連職種への転職を目指す社会人に向け、週末講義を中心に最新技術動向や知識、実践で使えるスキルを身に付けることができるIT専門の社会人大学だ。東京・秋葉原駅前にある最新ビル内のキャンパス、充実した施設もさることながら、卒業時には大学の学位を取得できるのも大きなメリットだ。ちなみに入学時には大学3年次からの編入となり、大きく「Java」「Linux」「ネットワーク」の3つの分野を体系的かつ基礎から学ぶことができる。そしてさらに4年次では、各人の興味や学習意欲に応じて、各自テーマを設定し、興味ある分野の知識や技術を深めていく。
基本的に土曜日は3年生、日曜日は4年生向けの講義であり、必要に応じてオンライン教材や夏休みのサマーキャンパス、平日補講への参加も可能だ。このほか学生主体の自主勉強会など、この2年間学生と講師陣が手探りしつつ、「有意義かつ効果的に、体系的な技術知識を得る」ための環境づくりに尽力してきた。
そんな同校が3年目を迎え、さらに幅広い社会人学生を受け入れるために、カリキュラムを一層充実させた。同校の門間穣司助教授は語る。
「本校の学生は全員社会人ですから、学ぼうとする意欲が非常に高い反面、どうしても仕事に時間を取られ、平日の予習・復習がし切れないという問題があります。また、ひとくちに社会人エンジニアといっても、学生時代からITの勉強をしてきた方や、就職するまでITに触れたこともなかった方、実績も知識もあるけれど仕事の都合で最新テクノロジをご存じない方など、背景もさまざまです。こうした中、講義だけではどうしても画一的になり、学びたい方々1人1人の希望に対処し切れません。これでは個別の学生のフォローが手薄になってしまいます。そこで今年は、講師陣の充実を図るとともに、サブゼミや補講、実践型授業を通じてITの面白さや奥深さを体験し、興味関心に応じて無理なく技術力を付けられるようカリキュラムの一層の拡充を図っています」。
図1 稚内北星学園大学東京サテライト校のカリキュラム |
多彩な取り組みで学びをサポート |
稚内北星学園大学の社会人学生の中には「COBOLやFORTRANなどについては詳しいが、最新のオブジェクト指向技術を身に付けたい」「ネットワークやハードウェア、OSを含めてIT全体の仕組みを知り、仕事に役立てたい」といった希望を持つ社会人学生もかなり多い。このように知識やスキル、関心が異なる社会人学生の期待に応えるために、同校では通常の学期内で「週末授業の後の補講」「サブゼミ」「平日ゼミ」を行っている。多角的な授業によって、学生は納得いくまで自分のペースで確実に知識を自分のものにできるのだ。
週末授業の後の補講とは、今年4月から着任した浅海弘保講師と、山田和夫講師による初心者〜中級者向けにプログラム学習のサポートのこと。浅海講師はC言語、そしてある出版社でJava雑誌の編集長を務めた経験がある山田講師はJavaを受け持ち、学生の疑問や悩みに応えるというものだ。アカデミックな技術論とはまた異なる切り口から、それぞれのプログラミング言語習得をサポートするのが特徴で、授業が終わった後も数時間は帰らずに質問を続ける学生が多いという。
稚内北星学園大学東京サテライト校の浅海弘保講師、「UNIX I・II」と「システム管理論」を受け持つ |
浅海講師はLinuxおよびUNIXが専門で、UNIXの基本を講義する「UNIX I・II」のほか「システム管理論」の授業や、初級〜中級者向けの補講などを担当している。この分野は受講希望者も多く、技術レベルやスキルにも差があるが、「その全員にきめ細かい指導をしよう」ということで、浅海講師の出番となったそうだ。
サブゼミとは、浅海講師、門間助教授、山田講師の3人による「特定の技術分野によらず、参加して楽しめる」ことを目的とした月1回のグループ学習形式のカリキュラムだ。例えば山田講師は「とにかくいろいろなオープンソース・ソフトウェア(OSS)を使ってみる」というテーマで実践型のサブゼミを展開しており、浅海講師は「セキュリティを学ぼう」という大きな枠組みで、セキュリティ対策やその実践を進めている。門間助教授のサブゼミは、工科系大学の標準的な教科書『コンピュータの構成と設計』(パターソン、ヘネシー著)を中心に、ITの基礎を広くじっくり勉強することが目的だ。
特に山田講師の「OSSを使ってみる」では、国内外の主要OSSを実装し、利用するために「1度の授業で複数のOSSに触れることもあります」(山田講師)という。知らず知らずのうちに技術知識や実装スキルが身に付き、同時にOSSについても造詣を深めることができるという一石二鳥のサブゼミだ。
いずれにしても「考えて、実践する」というカリキュラムが大きなテーマとなっており、学生同士のディスカッションや実習を通じてモチベーションと技術力向上を実現することに主眼を置いている。3年次は月1回で、その時には午後の授業すべてがゼミの時間に充てられるという。
コンピュータの基礎から応用まで実践で学ぶ |
そして今年から「体験を基にして、知識を自分のものにする」というコンセプトで一層強化されたのが、最後の平日ゼミだ。昨年から始められた平日ゼミは、希望者を対象にC言語の基礎を教えていたが、今年は門間助教授と浅海講師の2人が担当となり、曜日を増やしてより実践的な内容へと変えたという。
その内容はどのようなものか。水曜日が門間助教授の担当で「デジタル回路の組み立て」で、木曜日は浅海講師による「Linuxのデバイスドライバ実装」の演習だ。従来、ソフトウェアにウェートを置いていたカリキュラムに幅を持たせ、ハードウェアからのアプローチで技術に取り組むという試みだ。ハードウェアはもちろんのこと、組み込みコンピュータの世界にもオープン化の波が押し寄せている昨今、このような視点も学生に歓迎をもって受け入れられている。
「何より、普段はJava開発などソフトウェアに携わっている社会人学生が、パーツを組み立てて発光ダイオードが光ったりすると非常に感動します。コンピュータの奥深さを身をもって体感できるからです。また、自分で開発したLinuxデバイスドライバと組み合わせれば、世界に1つしかないオリジナルシステムが構築できるので、時間をやりくりして両方参加する学生もかなりいます。学生同士も顔見知りとなり、自然とモチベーションが高まっていくようです」(門間助教授)。
仲間と共に参加することで、より学習が進む |
普段の週末講義も、知識とスキルの両面を高めるため、実践やグループ学習を欠かさない。例えば浅海講師の授業では、前期でUNIXの基本的な知識や使い方を教え、後期ではそれをさらに深く広くした「システム管理論」として展開する。もちろん最終目的は、実践における活用だ。浅海講師は「東京サテライト校に赴任してまだ3カ月目ですが、社会人学生は時間がない反面、鋭い質問が飛んでくるなど、学ぶ意欲が伝わってきます」と語る。
またシステム管理論や言語系の実習における環境が整っているのはもちろんのこと、普段なら試すこともできないネットワークなどについても実習用の環境が組まれている。そのため、技術を学ぶ面白さに目覚め、卒業後も研究生として残ったり、大学院に進学したりする学生もかなり多いそうだ。
「稚内北星学園大学東京サテライト校は、上級者が世界最先端の技術を学ぶことはもちろん、初級〜中級者へのきめ細かい指導をするため、補習やゼミなどへの積極的な参加を呼びかけています。1人ではできないことも、同じ志を持つ仲間となら学びやすいし、学外との豊富なネットワークや、実績のある講師陣もそろっています。独学や日常の仕事の中で限界を感じていても、環境さえ整えば技術力や知識はもっと伸びるはず。このチャンスを生かし、ぜひこれからのエンジニアライフを充実させてください」(門間助教授)。
■コラム:知識と実践の両方から学生の技術力を伸ばす |
同校の目玉の1つは、丸山不二夫学長を中心に、浅海智晴教授や、客員助教授である佐藤直生氏など、国内有数の学者/Java技術者による指導が受けられること。この3人が受け持つゼミは、それぞれの頭文字を取って「MASゼミ」と呼ばれ、技術知識もスキルもかなり上級レベルの学生が対象だ。 @IT自分戦略研究所でも過去に「稚内北星学園大学・丸山ゼミであなたの可能性を広げる」「技術を体系的に見渡せる次世代のエンジニアを目指せ」「実案件を題材に、最新技術を多角的に学べる!」といった取り組みを紹介してきたように、国内でも紹介されていない最先端の技術理論や実践演習を通し、総合的な技術力強化を目指している。 |
稚内北星学園大学 東京サテライト校 説明会 |
稚内北星学園大学東京サテライト校の目的・カリキュラムなどの説明を受けることなどできます。 詳細は東京サテライト校Webページにてご確認ください。 ■日時 2006年7月15日(土) 13:00〜17:00 ■場所 秋葉原ダイビル5階 ■内容 ・13:00 - 15:00 : 東京サテライト校に関する説明 ・15:00 - 17:00 : 進学相談会 ・東京サテライト校授業見学 ■説明会参加申し込み こちらの申し込みフォームからお願いします ※聴講歓迎※ 入学意志の有無にかかわらず、多くの方にwakhokのIT教育コンテンツをご体験いただきたいと思いますので、東京サテライト校への編入学を考えていない方の聴講も歓迎いたします。 ■お問い合わせ先 03-5297-5520(東京サテライト校) |
提供:稚内北星学園大学
企画:アイティメディア株式会社
制作:@IT編集部
掲載内容有効期限:2006年7月26日
【最新】東京サテライト校 学校説明会 | ||||||||
■学校説明会日時 2008年1月13日(日) 2008年2月16日(土) ■内容(下記スケジュールは1/13実施分です)
詳しくは、東京サテライト校学校説明会のページをご覧ください。 ■お問い合わせ 稚内北星学園大学 東京サテライト校 東京都千代田区外神田1-18-13 秋葉原ダイビル12階 TEL 03-5297-5520 ■参加申込み 東京サテライト校説明会 |
稚内北星学園大学 |
■稚内北星学園大学 情報メディア学部 ■本校 北海道稚内市若葉台1丁目2290番28 電話:0162-32-7511 FAX:0162-32-7500 ■東京サテライト校 東京都千代田区外神田1-18-13 秋葉原ダイビル <交通> JR秋葉原駅電気街口 徒歩1分 東京メトロ銀座線 末広町駅 徒歩3分 東京メトロ日比谷線 秋葉原駅 徒歩4分 つくばエクスプレス 秋葉原駅 徒歩3分 |
「東京で働きながら、新しいITを学ぶ」 東京サテライト校 2007年度編入学試験 |
稚内北星では、IT業界で働く、あるいは働こうとする社会人を主な対象として、2004年度から 「東京サテライト校」を開設し、3年次への編入学生を受け入れています。 ブロ―ドバンド技術も利用しながら、単なる遠隔教育を超えて、 東京サテライトでの対面授業を重視した、全く新しいスタイルの大学教育が行なわれています。 東京で働きながら、稚内北星の教育コンテンツを受けることができます。 ■編入学試験 【出願期間】 1期 2006年7月17日〜2006年7月31日 【試験日】 1期 2006年8月6日(日) ■試験会場 稚内北星学園大学 東京サテライト校 ■選抜方法 書類審査 小論文・面接 編入学試験の詳細については東京サテライト校Webページをご覧ください 。 |
東京サテライト校 説明会 |
■説明会 稚内北星学園大学東京サテライト校の目的・カリキュラムなどの説明を受けることができます。 ■日時 2006年7月15日(土) 13:00〜17:00 ■会場 稚内北星学園大学東京サテライト校(秋葉原) ■内容 ・東京サテライト校に関する説明 ・大学での学び方と科目紹介 ・丸山/浅海/佐藤ゼミ活動紹介 ・個別進学相談会 ・東京サテライト校授業見学 ■対象者 ・スキルアップしたいIT技術者の方。 ・IT産業で働きながら、オープン系の標準技術を基礎から学びたいと考えている方(例えば、COBOLやVisual Basicで開発をしている方)。 ・ IT産業で働きながら、技術の幅をもっと広げたいと考える方(例えば、仕事ではネットワ ーク構築をしているが、Enterprise Javaといったデータベースやプログラミングの技術も学んでみたい方。あるいは、その逆の方)。 ・ IT産業で働きながら、新しい技術に対応して一層のスキルアップを図りたい方(例えば 、現在業務で行っている技術が、陳腐化しつつあるのではと不安を感じている方)。 ・ ITを基礎から学びたい方、別の職場で働いているが、ITベンダ系の資格を取得してIT技術者へ転進を図りたい方。 ・ 短期大学、高等専門学校、各種専門学校を卒業しているので、IT技術を学び、大卒の資格(学士)を取得したい方。 ・ ほかの大学に在籍しながら、自分の大学では対応していない新しいIT技術を学びたい方(対面授業は休日開講が基本です。編入生ではありませんが、ダブルスクールは可能です)。 説明会の詳細は東京サテライト校Webページをご覧ください。 説明会の参加申し込みはこちらからお願いします。 ※聴講歓迎※ 入学意志の有無にかかわらず、多くの方にwakhokのIT教育コンテンツをご体験いただきたいと思いますので、東京サテライト校への編入学を考えていない方の聴講も歓迎いたします。 お問い合わせ先:03-5297-5520(東京サテライト校) |
サマースクール2006 in 稚内 | |
稚内北星学園大学では、毎夏、一般向けのコンピュータ公開講座「サマースクール」を開催しています。最先端の知識を求めて、全国各地から多数の参加をいただいております。 2006年8月3日(木)〜7日(月) ・システム管理入門コース ・IPv6コース ・EJB 3.0コース ・Java SE 6 と JWSDP2.0 2006年8月7日(月)〜11日(金) ・ルーティングとネットワーク管理 ・Service Component Architecture(SCA) ・JSFとAJAXコース 受講料 いずれのコースとも 60,000 円 (食費・宿泊費・教材費込み。学生・小中高教員は40,000円) 詳細は稚内北星学園大学 情報メディア学部のWebページでご覧ください |