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第1回 コミュニティは「知り合い系」から「出会い系」へ変化する

千葉大輔(@IT自分戦略研究所)
2008/3/12

エンジニアにとって仲間とはどういう存在なのだろうか。極端なことをいえば、自分1人で作業が完結できてしまうエンジニアにとって、仲間とのコミュニケーションはどんな意味があるのか。エンジニア同士のネットワークを通じて、エンジニアにとっての仲間とは何かを探る。

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 「ここ1〜2年くらいの間に、勉強会を中心としたエンジニアが集う場がすごい勢いで増えています」。そう話してくれたのは、サイボウズラボ 竹迫良範氏。各地で行われる勉強会などのイベントに積極的に参加する傍ら、自身もShibuya.pmの2代目リーダーを務めるなど、エンジニアコミュニティの中心にいる。そんな竹迫氏が考えるエンジニア同士のつながりとは。

ブログをハブとしたコミュニケーションの広がり

 サイボウズラボ 竹迫良範氏

 エンジニアコミュニティ急増の背景の1つとして、竹迫氏は「ブログ」の存在を挙げる。

 「エンジニアがブログを書くようになり、ブログを通じて知り合った人同士が、勉強会や技術イベントなどで特定の分野について語り合うようになりました。ブログには書かないけれども、飲み会の席で話したいということもあると思います」

 ブログの存在によって、それぞれのエンジニアが抱いていた問題意識(興味といいかえてもいい)が可視化され、自分と同じ問題意識を持つエンジニアを見つけやすくなった。それまでは、自分の関心のある領域について、自分自身の問題意識を示す場所が限られていた。例えば、親しい友人たちや会社内の同僚までだ。また、雑誌への記事寄稿という手段もあったが、それができるのは限られた人だった。

 竹迫氏は、自身が積極的に勉強会などのかかわる理由の1つとして「人との出会い」を挙げる。「表に出てきていない隠れた人たちともっと話をしたいですね。勉強会では時間が限られている分、濃縮されたコミュニケーションができるので、ブログだけとは違って、また密度の濃いものが得られると思います」と竹迫氏はいう。

 現在の日本のエンジニアのブログでは、Webアプリケーション開発にまつわる話題が目立っている。Web系以外の話題をブログで書くエンジニアの数は意外と少ない。しかし、勉強会では、ブログでは見ることが比較的少ない、システムインテグレータやモバイル系の開発のエンジニアとも出会えるという。

  「NDAや守秘義務などで、システムインテグレータやモバイル開発のエンジニアの方はブログでは目立ってないのですが、話してみると面白い人たちはたくさんいます。すごく優秀で向上心のある人が多く、勉強会に参加するとそういう人たちも一緒にいて、『この業界にこんな人たちもいたんだ』ということがよくあります」

さまざまな人とかかわるから面白い

 そんな竹迫氏だが、普段からさまざまな技術領域のエンジニアとコミュニケーションをしているという。

 「特定の言語によらず、Webアプリケーションを開発している人たちとのつながりは多いですね。私はShibuya.pmの2代目のリーダーを宮川(達彦)さんから引き継いでいるのですが、Perlに限らず、Rubyの人たちやJavaの人たち、PHPやMySQLといったコミュニティの人たちともコミュニケーションを取っています」

 さまざまなコミュニティとかかわりを持つ竹迫氏だが、ここ最近ではユーザーが増えてきたActionScript界隈が面白いという。「ActionScriptの場合、プログラマ以外にもデザイナーの人もいるので、層が厚く非常に面白い文化があると思います」

広がるコミュニケーションツール

 多岐にわたるコミュニケーションだけに使うツールもさまざま。前述したブログや、はてなブックマーク。はてなブックマークに関して、竹迫氏は最初に抱いていた印象が、実際にサービスを使ってみると大分変化したという。

 「最初はてなブックマークは自分の気になった記事をクリッピングするためのツールだと思っていたのですが、実はコメント欄でほかの人とやりとりをするコミュニケーションツールだったんだなということを使い始めてから気が付きました」

 ほかにも、固定されたメンバーとコミュニケーションをするのであれば、IRC。もっと広い枠でゆるいコミュニケーションを行うにはtwitterがある。コミュニケーションを行うための道すじが広がり続けている現在、これらのツールが普及する以前と比べると、エンジニアのつながり方に変化はあるのだろうか。

 「昔はツールやネットがそれほど発達していなかったので、何かイベント(飲み会)をやるぞ! といったときに、自分の知っている範囲の身内でしかコミュニケーションが取れませんでした。いまは身内じゃなくても簡単にコミュニティに入れるという点が大分違うなと思います。特にtwitterなんて、それまで全然会ったことがない人とコミュニケーションが取れます。昔は『知り合い系』のコミュニティだったのに対して、現在は『知り合うため』のコミュニティなのかもしれないと思います。別のいいかたをすると『出会い系』といえるかもしれません」

 また、勉強会の運営についても変化が大きいという。

 「勉強会に関するノウハウも蓄積されてきました。以前は申し込み用のフォームを用意して、メールアドレスを受け取ってというケースが多かったと思いますが、いまはWikiやブログに参加表明をするというゆるい形のイベントも増えてきました。小さい勉強会は、会場さえ何とかなれば、『思い立ったらすぐできる』という状況です。そして、勉強会の様子をustreamで中継しながら、さらに録画して後日ニコニコ動画にアップする。動画に付いたコメントを見るだけでも面白いです」

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