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第8回 末永匡――Sennaとニコニコ大百科を作る偽プログラマ

岑康貴
2008/11/10

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勉強会は「発表ありき」

 
   

 企業のサポートを受けてオープンソース活動を堂々と行う傍ら、勉強会やカンファレンスにも登場する末永氏。基本的には「発表ありき」なのだという。

 「勉強会は、発表するために行くもの。もしくは、飲み会目当てに参加する」

 末永氏はそう断言する。初めて登壇したのは2007年2月に開催された「Soozy Conference #1」。直前に「発表して」といわれて、慌てて準備した。

 発表の内容は「完全なネタ」か「非常にまじめ」かの両極端。まじめな内容にネタを混ぜると軸がぶれてしまうので、どちらかに振ることを心掛けている。聞いている人の大切な時間をいただいているのだから、徹底的に笑わせるか、有用な情報を提供するか、どちらかに特化した方がいいという考えだ。

 「YAPC::Asia 2008の前夜祭でもライトニングトークを行ったのですが、以前と同じネタだったので突っ込まれました」

 そう笑う末永氏は、なんとYAPC::Asia本編のチケットは買っていなかったのだという。なぜなら、「Perlは分からない」からだ。

Perlは分からない、でも飲み会には行く

 「C言語が一番好きなんです。ライブラリがそろっているし、コミュニティもたくさんあるし。ニコニコ大百科はC言語とRubyで作っています。Perlは分かりません」

 Perlが分からないのに、Perl界隈のコミュニティに顔を出す末永氏。矛盾しているようだが、そこには一貫した考えがある。

 「コミュニティの集まりは、コンピュータのネタが分かる飲み会です。例えばPerlの勉強会であっても、Perl以外だってみんな詳しいのです。だから、僕が行ってもなんの問題もない」

 末永氏にとって、コミュニティの勉強会や飲み会に顔を出す理由は何か。彼は少し考えた後、3つの理由を挙げた。

 「1つは、そこが技術情報の最先端だからです。非常に参考になる情報が集まっています。2つ目は、開発者マーケティングという側面です。僕が開発しているSennaは開発者向けのものですから、ユーザーは開発者なわけです。だから、開発者の人たちがどんなものを使いたがっているか、調査をしているのです。最後に、みんなが頑張っている姿が見られるという点。そういう姿を見ると、自分も頑張らなきゃって、刺激になりますからね」

 彼にとって、コミュニティに集うエンジニアたちは「飲み友達」であり、「マーケティングの対象者」であり、「ライバル」であり、「自分の発表の聴衆」なのだ。

いろいろなコミュニティに顔を出そう

 最初は、コミュニティの集まりに顔を出すのは「恐かった」と末永氏は告白する。だが、Sennaの開発にも参加していた「Yappo」氏と知り合いだったことが、コミュニティにかかわるきっかけとなった。

 コミュニティや勉強会に対する姿勢を、末永氏はこうアドバイスする。

 「行ってみたら、何とかなると思います。それに、発表がメインですから、極端な話をすれば、来ている人たちと必ずしも仲良くなる必要はないんです。聞きに行くだけでも勉強になりますから」

 もちろん、仲良くなれば人脈が広がる。だが、まずは行くことだとアドバイスする。さらに、最後にこう付け加えた。

 「コミュニティはたくさんあります。いろいろなコミュニティに顔を出してみるといいと思いますよ」

 

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