第6回 金曜夜に明るく易しくデータベースの勉強を
加山恵美
2008/4/7
■基本的な考えを学んでもらいたい
勉強会の様子。この日も多くの参加者が集まった |
3月14日のテーマは「アクセスプラン」。パフォーマンス問題解決のためにもDB2のアクセスプランを読めるようになるのが目標だ。講師は初心者でもついていけるように「そもそもアクセスプラン(実行計画)とは」から話し始める。
簡単に概要を説明し、30分ほど過ぎたところで演習タイムとなった。事前に手渡された問題用紙にはデータベースのテーブルが示され、いくつかのSQLが並んでいる。それぞれのSQLを実行した時に表スキャンになるか、インデックススキャンになるか、その理由を考えよという問題だ。これを周囲の人と一緒に相談しながら解く。
「隣の席の人だと知り合いや同僚かもしれないから、前後の席でチームを組みますよ」と岡口氏が声をかけ、参加者は席を動かして見知らぬ参加者と対面する。この演習タイムの意図を下佐粉氏はこう話す。「どんなセミナーでもだいたい30分経過すると眠気が襲ってきます。そこで開始30分後に演習タイムを設けて頭と口を使ってもらいます。これは社外のエンジニアと話す機会にもなります」
――講師としては何を伝えようとしていますか?
岡口 「技術情報はIBMからいろいろと配信しているはずなのですが、忙しいエンジニアにはなかなか伝わっていないのが現状です。特に現場のエンジニアに必要なのは知識というよりは、基本的な考え方です」
下佐粉 「サポートやセミナーで質問が寄せられれば、それにお答えすることはできるのですけどね」
岡口 「質問を聞くと質問者が抱える問題を解決するには、質問の答え以外に伝えなくてはならないことがあるのではないかと思うことがあります。トラブルを解決するにしても、原因はデータベースにあるとは限りません。アプリケーションなのか、ハードウェアなのか、そうした切り分けをしていくには、基本的なポイントを押さえる必要があります。そうした基本的な考え方を理解してもらいたいと思っています」
下佐粉 「Club DB2の場では事例をベースに、時にはオフレコな話も交えながら解説しています。今後は参加者自ら『実際に試したらどうなったの?』『こうすると良くなった』という話も増やしていけるようにしたいと思います」
野間 「最初は下佐粉や岡口が講師でしたが、後に参加者が講師を務めてくれるようにもなりました。飯島さんも講師をやってくださいましたよね」
飯島 「講師をやることが決まったときには『2時間も話せるだろうか』と不安でしたが、意外とあっという間でした。運用に関する体験談も含めた話をしました。DB2の運用にはディスクがポイントになるとか」
下佐粉 「いまはディスクのI/Oがネックになることが多いですからね」
■オンラインでは掲示板からmixiまで
――オンラインでの活動はどうですか?
野間 「DB2ユーザーのコミュニティの場として、『User's Forum for DB2 Japan』があります。情報交換のための掲示板です」
下佐粉 「オンラインで自由にDB2の技術情報を語り合える場となると、そこでしょうね。Club DB2に来てくれる人とメンバーはけっこう重複しています」
野間 「あとClub DB2の参加者の方がmixiにコミュを作ってくれました。こちらは雑談の場となっています」
岡口 「コミュニティの紹介文に『是非、はじめましてトピにご挨拶を1レコードほどINSERTしていただければ幸いです』とあり、管理人さんがさりげなく使うデータベース用語が面白いんですよ」
下佐粉 「あと私はブログ『Unofficial DB2 BLOG』を持っているのですが、Club DB2で講師をやると自己紹介でブログも紹介するせいか、後から感想を綴ってくれる参加者の方もいて、励みになります」
――今後のコミュニティやDB2への思いをお願いします
下佐粉 「私にとってClub DB2はスキルをキープするための場でもあります。昨年、Club DB2を大阪で開催することもできましたが、今後も東京以外の開催を増やしていきたいです。あとデータベースは『枯れた技術』というイメージがありますが、近年だとXML-DBであるとか、まだまだ進化し続けるゾーンであるということを理解していただけたら幸いです」
岡口 「私は現場の人がハッピーになることを願っています。このコミュニティは現場が知るべきノウハウを共有できるのがいいですね。これまで38回開催し、重複を省くと600〜700人もの方々が参加してくださいました。今後の展開にはいろいろな可能性がありますが、参加者が自ら語ってくれる場になるといいと思います」
飯島 「私はDB2の良さを伝える場になるといいと思っています。DB2は意外と使えるので(一同、笑)。DB2を多くの人に使ってもらいたいですね。あとデータベース製品のコミュニティというと、初心者には敷居が高い雰囲気のところもありますが、ここはとても初心者にも優しくていいです」
中島 「難しい話も分かりやすくしてくれてとてもためになっています。講師が下佐粉さんの時は熱く語ってくれるので(笑)、その姿を見ると『頑張って聞かないと』と引き締まります。普段の業務とは多少領域が違うのですが、カタログの権限の話など勉強にもなります。また他社のエンジニアとのお話はいい刺激になります」
野間 「今後コミュニティの規模を大きくしていけたらうれしいですが、それぞれの顔が見える現状の規模も捨てがたいんです。いずれにせよ、今後もDB2をテーマにエンジニア同士のつながりを広げる場を影ながら支えていければ良いと思っています」
Club DB2が開拓したコミュニティ活動はIBM社内でも認められるようになり、いまではDB2以外の技術分野にも波及しつつある。最近、渋谷のソフトウェア・コンピテンシー・センターではClub DB2のような夜に開催するエンジニア向けイベントが続々と増えている。Club DB2の取り組みはDB2の分野だけではなく、IBMとエンジニアの関係が変化するきっかけになりそうだ。
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