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国際競争時代に突入するITエンジニアに生き残り策はあるか?
日本人ITエンジニアはいなくなる?

第27回 松下電器産業の社名変更に見るグローバル戦略

小平達也
2008/2/20

ITエンジニアの競争相手が海の向こうからやってくる。インド、中国、それに続くアジア各国。そこに住むエンジニアたちが日本人エンジニアの競争相手だ。彼らとの競争において、日本人エンジニアはどのような道を進めばいいのか。日本だけでなく、東アジア全体の人材ビジネスに携わる筆者に、エンジニアを取り巻く国際情勢を語ってもらった

 2007年米国に端を発したサブプライムローンの焦げ付き問題を経て、2008年は「ドルの基軸通貨としての役割」が終わり、世界経済秩序が大転換を迎えるともいわれている。

 日本国内においては「減る人口・需要/増える社会コスト負担・物価」という趨勢(すうせい)が続く中で、政府や企業だけでなく個人にも、発想の転換と新たな取り組みの姿勢が求められるようになってくる。

 「IT」とはまさに「変化」である。環境変化にいかに柔軟に、そして前向きに対応できるかが、いままで以上にITエンジニアに必要とされる資質の1つとなるだろう。

 筆者の立場にも変化があった。この1月から所属が変わり、今後は東京外国語大学 多言語・多文化教育研究センターに新設されるコーディネーター養成プログラムにアドバイザーとしてかかわるほか、グローバル採用のコンサルティングに特化した企業、ジェイエーエス(Japan Active Solutions)の代表取締役に就任した。今後はフラットな立場から、グローバル採用の質的向上と標準化に貢献していきたい。

第二の波を迎えるグローバル採用

 ITエンジニアなど技術ビザで新規来日する外国人技術者の数は、2006年で7715人。前年(2005年・4718人)比で約3000人増加している。図1のグラフからも分かるとおり、1999年以降2003年までの5年間は減少を続けていたが、この3年は一転、増加基調にあるのだ。

図1 グローバル採用は第二の波へ(法務省入国管理局、リクルートワークス研究所「第24回ワークス大卒求人倍率調査(2008年卒)」を基にジェイエーエスが作成)

 外国人技術者の日本での雇用、日本から見ればグローバル採用は、1998年までが第一次ブームであった。その後オフショア開発の増加や大卒有効求人倍率の減少という「氷河期」を経て、2004年から第二の波が来ている。

 実は「第一の波」と「第二の波」で、それぞれを担うメインプレーヤは異なる。具体的に見てみよう。

・第一の波――外資系企業が経験者を採用

 外資系企業におけるグローバル採用は以前から存在するが、1990年代後半のITブームの際に顕著となった。中堅IT企業や派遣会社なども、この時期に採用を開始している。ITバブル崩壊後低迷はあったものの、コンスタントに採用し続けている。主な採用対象は即戦力となる経験者である。

・第二の波――日本企業が新卒を採用

 2004年以降、特に2006年ごろから、海外の新卒学生を採用する日本企業が増えてきている。自動車や精密機械などの業界で、海外売り上げ比率の増加とともに求められてきたグローバル要員の採用と合わせ、中堅企業を含めた幅広い企業が採用を始めている。背景の1つには「採用氷河期」ともいわれる新卒採用難がある。2008年3月末の大学卒業者に対する有効求人倍率は2.14倍(リクルートワークス研究所「第24回ワークス大卒求人倍率調査(2008年卒)」)といわれるが、今後、中期的にこの傾向は継続すると見られているのだ。ポテンシャル層を採用することが大きな特徴だろう。

 このように同じグローバル採用といっても、第一の波と第二の波ではそれぞれをけん引するプレーヤーの顔ぶれと目的が異なってきている。第二の波は、今後日本国内における留学生採用とともに、持続的に拡大することが見込まれている。



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