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国際競争時代に突入するITエンジニアに生き残り策はあるか?
日本人ITエンジニアはいなくなる?

第30回 会社が海外進出したら? ITエンジニア、5つの備え

小平達也
2008/9/22

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ITエンジニアの競争相手が海の向こうからやってくる。インド、中国、それに続くアジア各国。そこに住むエンジニアたちが日本人エンジニアの競争相手だ。彼らとの競争において、日本人エンジニアはどのような道を進めばいいのか。日本だけでなく、東アジア全体の人材ビジネスに携わる筆者に、エンジニアを取り巻く国際情勢を語ってもらった。

アメリカ発の金融危機がインドのIT産業に与えた打撃と活路

@IT自分戦略研究所カンファレンス
上級ITプロフェッショナルのスキルとキャリア 開催
日時:2008年9月27日(土)
11:00〜18:00(受付開始 10:30〜)
場所:秋葉原UDX 6F RoomA+B
詳しくは開催概要をご覧ください。

 アメリカのサブプライムローン問題に起因する世界経済の減速は、発生から1年たった現在でも収束する様子は見えず、日本においても企業業績に影響を与えている。グローバルITリソースの担い手という意味で、アメリカの金融業界や通信業界向けサービスが収益の大部分を占めているインドのIT産業が受けた影響は大きいだろう。実際に、インドのIT業界ではタタ・コンサルタンシー・サービシズ、ウィプロ、インフォシス、サティヤムなど大手4社のうち3社でドル建て売上高、純利益の伸びが減少しているという。これらインドのIT企業は、製造業や小売業などに新しい活路を見いだすだろうし、日本市場など漢字圏の企業にもいままで以上に力を入れて進出してくるだろう。日本国内におけるインド人エンジニアはここ数年増えており、技術ビザで来日している外国人エンジニア3万5000人のうち、国別で最も多いのは中国(1万7634人)だが、インドは韓国・朝鮮(6176人)に続く第3位、3279人となっている(法務省入国管理局統計)。この数字は平成18年度時点のものであるが、現時点および今後はさらに増加する可能性が高い。

 この流れは日本企業へどう影響するだろうか。1を見てほしい。2005年の日本におけるIT産業従事者数が57万人に対し、インドは130万人、中国は90万人である。さらに注目すべきはその増加数で、2015年には日本は68万人、インドが302.2万人、中国が324.5万人となっている。日本国内では少子化、理系離れなどでITエンジニア不足が今後ますます深刻化するといわれている中、現在のみならず今後も劇的に増加していくインド・中国の人材供給力は魅力だ。今後はいままで以上に日本に進出するインド人エンジニアが増加する可能性が高い。

図1 IT産業従事者数(出典:通商白書2008年版

日本企業の海外売上高比率の増加と情報システム部のグローバル化

 上記では「インドから日本へ」という可能性について触れたが、同時に「日本企業の海外での事業展開」も増加している。製造業の海外売上高比率は2008年3月期で過去最高の45%に達したという(NIKKEI NET 2008年6月6日の記事「製造業売上高、海外比率5割に迫る」)。特徴としては自動車や電気・機械などいわゆる「輸出型業種」だけでなく、小売りや食品・衣料・日用品など「内需型業種」が増加していることだろう。2007年度の海外売上高比率では、例えば、化粧品メーカー大手の資生堂は36.5%、コンビニエンスストアのミニストップは40.9%、スポーツ用品のアシックスに至っては60.6%に達している。これらの「内需型製造業」の海外展開の主な理由は、国内人口の減少による国内市場の減少であり、市場を求めて中国やベトナム、インドに事業展開をしているのである。

 筆者は日本企業のグローバル展開を組織・人事コンサルティングの点から支援しているが、最近受ける相談の中で多くなっているのが、上記のようなもともと日本国内市場向けで長年事業展開をしてきた企業が海外展開するときの「情報システム部のグローバル対応」についてである。同じ製造業でも輸出型業種であればもともと海外市場を志向しているためグローバルビジネスへ対応しやすい下地があるのだが、小売りや衣料・日用品といった内需型業種の情報システム部の場合、日々の業務はまさに「国内市場向けの対応」に尽きるものであり、英語1つをとっても対応できる人材が不足していることが多い。

 もちろん、一言で情報システム部といっても社内に担当者は1人であとはすべて外注、というようなところから、総務的な役割まで担っているところまであるので一概にはいえないが、企業活動を根底から支える、まさに「インフラ機能」としての役割は大きい。内需型業種のインフラ機能がグローバル展開するということは、通常、生産から購買・販売管理に至るまでフルセット型で海外対応するということになるわけだが、海外展開に合わせて要員を割けないような状況に陥っている。この数年間、国内でアウトソーシングを押し進めた企業が多く、自社業務を熟知している情報システム部の人材は枯渇気味となっているからだ。また、通常委託しているITベンダのシステムが進出先の国でそのまま機能すればよいのだが、そうでない場合は新たにベンダを選定する必要も出てくる。これらにスピード対応できない場合、「線路を敷くことがないまま(インフラ機能を整えないまま)、電車を走らせる(生産・販売など事業展開をする)」ということになりかねないので注意が必要だ。


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