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現場で使えるメンタルヘルス改善講座

第3回 「損した!」と思ったときこそ作る「トクするリスト」

樋口研究室
飯田佳子

2008/12/22

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過酷な環境にさらされながら、常にコンピュータ並みの正確さを要求されるITエンジニアたち。メンタルヘルスをうまくコントロールするには? 樋口研究室の「ITコーチ」たちが、現場でいますぐ使えるメンタルヘルス改善のワザを教えます。

 IT業界の現場にも、ダイバーシティ(関連記事)やワークライフバランスの考え方が広まってきました。

 私は女性です。過去に何度か、「男性は女性より優遇されているな」と感じたことがありました。そのころと比べると、いまでは女性もモチベーションを高く保ちながら仕事ができるようになってきています。

 だからといって、女性に特有のキャリアの悩みがなくなったわけではありません。

 今回は、女性が不安を抱えてしまったとき、パフォーマンスを落とさず行動する方法を考えてみたいと思います。

妊娠が判明。でも休みを取りたくないITエンジニア

 先日、私のところにある女性エンジニアが相談に来ました。彼女は会社に入って7年目で、プロジェクトリーダーの仕事をしています。彼女の夫も同じ業界で働いています。彼女はいいました。

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 「実は、妊娠したのです」

 それはうれしい話ですね! 「おめでとう」といいたかったのですが、彼女はなんだか浮かない顔です。

 「いま、会社を休みたくないのです」

 出産の前後は仕事ができません。だから会社には、女性が無理なく休みを取れ、仕事に復帰できる制度があります。でも彼女は、「休みを取りたくない」というのです。何か特別な事情でもあるのでしょうか。

 彼女は入社してから、とにかく頑張って仕事をしてきました。プロジェクトの現場では生活が不規則になりがちです。忙しくなると、顔に吹き出物ができたそうです。化粧も乗りません。電車で貧血のために倒れることもしばしば。でもきちんと朝9時に出社して、仕事に取り組んできたそうです。

 「任された仕事はいつも正しくこなしてきた。だからリーダーになれた」。彼女はそんな信念を持っていました。そんなときの妊娠です。

 「せっかく手に入れたものがなくなりそうで、不安です……」

「女性は現場では守られていない」

 彼女の心は不安でいっぱいになっていました。産休の予定が決まれば、重要な仕事は回ってこなくなります。上司や同僚も気を使ってくれます。定時になったらすぐに帰れて楽なのですが、会社の利益にはまったく貢献していません。「私はもっと働けるのに」。そう思うと気分が落ち込んでくるそうです。

 会社に復帰しても、その後が不安です。「景気が悪いいま、同じ職場に戻れるのだろうか。今後の自分はどうなるのか。ひょっとしたら退職を迫られるかもしれない」。これまで一生懸命やってきただけに、彼女の悩みは深いものでした。

 彼女は夫にこの不安を話したそうです。夫は「会社は女性を大事にしている。復帰後もきちんと仕事がある。心配することはない」といったそうです。

 でも、「それは無責任な発言だ」と彼女は思っていました。「女性は会社の人事に守られている。でも現場では守られていない。男性は体が丈夫だし、体力もある。女性には体力がないから、男性は女性に気を使っている。だから結局、平等ではない」。そういうふうに考えていました。

 私自身も、会社で性別を意識する瞬間がありました。「男性は女性より昇進が早い。会議では男性がほとんどで女性が1人。飲み会の会費は男性より女性が安い。なぜ?」。そう思ったことがありました。

 ともかく彼女は、男性社員が多い職場環境で頑張り、成功を勝ち取ってきました。そのキャリアを「手放さないといけない。残念だ」と思っていたのです。

「休むことで得られるものがある」と考えてみる  

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