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IT勉強会入門

第3回 Pasta-Kのはじめて作るIT勉強会


Pasta-K
2009/10/7

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 ある日、原上ソラとチャットをしていたときのこと。

Pasta-K「ソラは勉強会とか行かないの?」

原上ソラ「近くに勉強会がないし、東京とかに出て行くお金もない」

Pasta-K「じゃあ、オンラインでやらない?」

原上ソラ「いいねぇ」

 Online.sgは上記のようなやりとりを経て、結果的に、半ば勢いで立ち上げました。勉強会の立ち上げに深い理由はいりません(あるに越したことはないですが……)。

 「近くにないから自分で作る」というのも立派な理由だと思います。気軽にお茶会気分ではじめてみるのも良いかもしれません。また、Online.sgの実際の立ち上げには、「まっちゃ139」を主宰されている、まっちゃだいふくさんにもご協力いただきました。それでは、立ち上げの際に具体的に実践したことを説明します。

■IT勉強会の企画に欠かせない、4W1H

 IT勉強会の立ち上げ方といっても、10のIT勉強会があれば10のプロセスがあると思います。この記事では筆者自身の経験に基づいて紹介させていただきます。

 IT勉強会の立ち上げで最初に行うことは、自分がどのような勉強会を作るのかを決めることです。最低限、次の4W1Hをハッキリさせておくと良いでしょう。

●What……何を目的にした勉強会なのか

 勉強会自体の「目標」や「目的」を明確にしておきましょう。例えばOnline.sgは、「オフラインの勉強会に参加しづらい境遇にある学生が気軽に参加でき、知識の共有ができる場を提供する」ことが目的です。

●Who……誰が何をするのか

 「誰が何をするのか」については、広い解釈ができると思います。スタッフがある程度集まっているのなら、各人の役割分担を決めます。スタッフがまだ集まっていなくても、どのような役割の人がどの程度必要かめどを立てておくと、スタッフ募集の際に役立ちます。

 ちなみに役割とは、受付担当、司会担当、宴会(2次会)担当などのことです。

●Where……会場(地域)は何処なのか

 具体的に「○○大学の会議室」などと初めから場所を決めるのは難しいと思いますが、だいたいの開催地域(北海道、東京、大阪、京都、オンラインなど)は決めておいた方がスタッフも参加者も集まりやすいです。

●When……開催の周期はどの程度なのか

 「月1回」や「隔週」など、開催周期を決めておくと、開催準備の段取りを逆算できます。

●How……どのような形式で行うのか

 ハッカソン、LT形式、読書会(コードリーディング)形式など、開催形式を決めましょう。勉強会のテーマによっては、開催形式が変わる場合がありますが、そのようなケースは稀(まれ)だと思います。ちなみにOnline.sgは、通常講師が長時間話す形式を取っていますが、Online.sg#5ではLT形式に変更しました。

■勉強会開催準備に必要なもの4つ

 ある程度構想を練ったら、Webサイトやメーリングリスト(ML)を通じて「勉強会を作ります宣言」をしましょう。スタッフが集まっていない場合は、スタッフの募集も同時に行うと効率的です。「勉強会を作ります宣言」には、先ほど決めた4W1Hを記述します。読んだ方に勉強会の内容や趣旨を理解してもらうためです。

 この段階で一度、「metacon」や「study-kansai」のような勉強会主催者の集まるコミュニティにメールを投げることをおすすめします。勉強会主催者の先輩から思わぬアドバイスをいただいたり、協力を仰げるかもしれません。

 人数がある程度集まったら、勉強会の設営をします。設営といわれても、何をすればよいか分からないと思いますが、基本は、初めに決めた4W1Hを運営メンバーで話合って詰めておけば大丈夫だと思います(名称が未決定の場合はそれを決めるなど)。

 また、開催に当たっては勉強会の情報を掲載するWebサイトがあると便利です。下記に、あると便利なものをいくつか並べます。

◆勉強会の公式サイト

 勉強会の開催情報や、勉強会の内容の説明などの情報を記載します。自分の勉強会に興味を持ってくださった方が、一番最初に到達するWebページになる可能性が高いため重要です。

◆勉強会情報交換用ML

 勉強会開催のお知らせや、次回の勉強会の日程調整で活用することが多いです。

◆勉強会参加者交流用Skypeチャット

 Online.sgでは、勉強会後の参加者同士の交流を推進するために作成しました。

◆情報配信用公式Twitterアカウン

 開催情報をつぶやいたり、場合によっては実況を行っています。Online.sgでは、オンライン上の会場としてチャットスペースを用意しました。

 感想を収集するエゴサーチ用に、はてなキーワードを作成しておくのも良いかもしれません(Online.sgでは実際に、はてなキーワードも作成しました)。

 MLやWebサイトはGoogle GroupやGoogle Siteを使うと比較的簡単に作成できます。ほかにも適宜必要と思うものがあれば随時作成していくとよいでしょう。

■参加者を集めるコツ

 ここまで来て安心してはいけません。実際に開催するには、「参加者」の存在が不可欠です。参加者を募集する方法も含め、最後に開催までの手順を簡単に紹介します。

 当然ながら、告知の前には勉強会の詳細な内容を決めておく必要があります。今度も基本は4W1Hです。

●What……IT勉強会のテーマ

●Who……講師やLTスピーカーの人選

●Where……会場や懇親会の場所

●When……開催日時

●How……形式

 形式は事前に考えていたものと同じで良いと思います。また、開催日時についてははなずきん氏の「IT勉強会カレンダー」などを用いて、似たテーマの勉強会やカンファレンスと日時が被らないように心掛ける方がベターです。

 勉強会の詳細が決まったら、参加者を集める告知をしましょう。MLやWebサイト、自分のブログやTwitter、関連するMLなどに告知を出します。IT勉強会カレンダーに掲載していただくのも参加者獲得のための大きな手段になると思います。また、参加者の集計にはGoogle SpreadsheetやATNDを用いると便利です。

■いよいよ当日。主催者は参加者に積極的に声を掛けよう

 最後に勉強会当日の進め方です。これも形式により異なるとは思いますが、基本は以下の流れがメジャーだと思います。

1.会場準備
2.入場
3.開会、自己紹介
4.本編(LTや読書会など)
5.閉会
6.懇親会

 6番目の懇親会は非常に重要です。せっかく1つの場に1つの目的で多くの人が集まっているのですから、積極的に交流をして欲しいと思います。勉強会の場では緊張してしまう人が多いと思いますが、懇親会はそんな人たちが、食べ物を食べながら(大人はお酒を飲みながら)交流をする場です。もちろん主催者が堅くなっていては参加者も緊張してしまいます。勉強会当日は、参加者の皆さんに、積極的に話し掛けましょう。

 開催当日については、「誰にでもできる! 勉強会の作り方」で、よしおかたかひろさんが詳細に解説されているので、ぜひそちらも参考にしてみてください。

■勉強会を作って、得えれるものは数知れず

 勉強会を主宰して得られるものは「人脈」「知識」などなど、書ききれないほどたくさんあります。逆に、失うものはほとんどありません。しいていえば、少しの労力と少しの時間を費やすくらいです。しかし、勉強会を主宰すると、そのような苦労を苦労と感じないほど多くの収穫があります。筆者自身、Online.sgを主催したことでたくさんの人々に出会え、さらにこうして皆さんにIT勉強会を作る魅力を紹介する機会をいただくことができました。ぜひ、皆さんにもそのような経験をしていただきたいです。

 また、今後勉強会に参加される際は、主催者が裏でさまざまな準備をしていることをご理解いただきけると、主催者の努力も報われることと思います。これも重ねてお願いします。

 今回、紹介したものは筆者がOnline.sgを設立・運営した経験に基づくもので、これがすべてでもなければ、完璧だとも思っていません。先にも述べましたが、10のIT勉強会があれば、10のプロセスが存在するはずです。皆さんが勉強会を主催される際は、その勉強会に合った方法を見つけてみてください。

 最後に、勉強会は誰にでも主宰できます。実際、Online,sgは筆者(高校生)と原上ソラ(中学生)の学生コンビで立ち上げたものですし、最近は学生を中心にした勉強会なども増えつつあります。作るのは簡単でも、それを続けるのは大変です。ですが、その大変さに打ち勝ったなら、必ず素晴らしい「何か」との出合いがあるはずです。皆さんにとって本稿が、そんな「何か」に出合える勉強会を設立・開催をする手助けになればうれしいです。

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記者プロフィール
Pasta-K

京都市内の高校に通う高校1年生。関西のセキュリティ系勉強会「まっちゃ139」などに参加する傍ら、オンライン勉強会「Online.sg」を原上ソラと2009年4月に立ち上げ、現在月1回を目安に開催中。「セキュリティ&プログラミングキャンプ2009」のプログラミングコースプログラミング言語組に参加。主にWeb関係の技術に興味がある。最近、部活動でマインドストームプログラミングにも挑戦。これからも高校生としてIT勉強会に積極的にかかわっていきたいと考えている。

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