書籍『ぼくらの就活戦記』から、3人の「就活戦記」を紹介してきた。最終回では、筆者の書き下ろしによる「就職活動の3つのポイント」をお送りする。 |
ソニー、NTTドコモ、スズキと、これまで3週にわたって、各社新人社員の就職活動に関するインタビューをお届けした。
いずれも拙著『ぼくらの就活戦記』に収録されている15社40人の新人社員・内定学生のケースから引用したものだ。同書は新人社員や内定学生が自分の就職活動の実体験を語った内容をまとめたもので、マニュアル的な指導はほとんどしていない。
だが、彼らがどのように就職活動を進めたのか、どのように内定を勝ち取ったのかという過程から、参考になる部分は少なくないと思う。ほかの企業も参考にしたい方は、ぜひ一度、同書を手に取ってもらえたらと思う。
当事者である学生にとっての関心は、就職活動とどのように対峙(たいじ)すればいいか、ということに尽きるだろう。
![]() ぼくらの就活戦記 森健(著) 文藝春秋 2010年10月 798円(税込み) |
就職に関するマニュアル本やWeb上の情報はいくらでもあるが、内定を取る絶対の法則はない。あるとすれば、最低限のあいさつや礼儀、姿勢、話し方といった社会人としての前提条件くらいが関の山だ。
もちろん、大ざっぱに企業の望む人材像をまとめることはできる。例えば、
「思考は論理的で、戦略性と先見性があり、実行力と協調性と統率力が身に付いている人。ユーモアやセンスもあればなおいい」
といった具合だ。だが、そんなスーパー学生がどれだけいるだろうか。
企業のDNAや社風、求める人材像はそれぞれ異なるし、好き嫌いもある。同様に、学生にも20年近く生きてきた人生と個性がある。曖昧(あいまい)で抽象化された理念にとらわれていては、引っ込み思案になってしまうばかりだろう。
そんなことより、まずは自分自身と社会の仕組みをしっかり把握することが、就職活動の第一歩だ。
企業や業界の研究、企業説明会、OB訪問、セミナーと、就職活動は時期によって、やるべきことが変わってくるとされる。それらのステップについて、ここでは語るまい。
内定を勝ち取った学生に数多く取材した経験から、筆者が指摘したい要点を絞ると、下記の3点になる。
実際に仕事に就けば分かるだろうが、どんな仕事でもやりがいは見つけられるものだ。ある事業の達成でも、細かい雑事の達成でも、やるべきことがあり、そこをクリアしていければ、日々を前向きに動かすエンジンとなる。
だが、心底楽しんでのめり込める仕事となると、全員が全員、就けているわけではない。だからこそ、学生は就職活動に当たって志望先を考える。そこで忘れがちなのは、「自分の人生」と「企業の行く末」だ。
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10年後、20年後、30年後と、歳を重ねることで、人生は変わっていく。そして、企業もまた変わっていく。10年後に自分がその会社にいたら、どういうことができるか、また、企業は、所属する業界はどうなっているか。20年後、30年後ではどうか。それをよく考えてみるべきだろう。
すでに製造業では激しい事業転換が起きつつある。これまでは自動車業界という大きなピラミッド構造の中で、役割がしっかり守られ、素材、各種パーツ、ロボットなどに分担されていた。しかし、自動車の売り上げが下がりつつある中、企業は業態転換を図りつつある。いま見ている企業の姿は、10年先、20年先にはまったく違ったものになっている可能性があるのだ。
一方で、自分自身の将来も考える必要がある。
世界を飛び回りたいのか、国内の営業拠点を回りたいのか、緻密(ちみつ)な研究や開発に従事したいのか。そして、そうした理想の業務に就ける可能性はどれくらいあるのか。自分自身のやりたいこと、なりたいことは抽象的になりがちだが、できるだけイメージを持っておいた方がいい。
仮に現実が異なっているとしても、そうした夢や理想を持つことを、採用側は拒んでいない。なまはんかに「分かったつもり」で話せば煙たがられるだろうが、イメージを持っている人間ほどモチベーションも高く、その理想に向かって自発的に進むことを、採用側は分かっている。
では、どうすれば、そうしたイメージを持つことができるのか。ポイント2「社会人に会って質問攻めにする」で説明しよう。
2. 社会人に会って質問攻めにする 3. 運と縁だと割り切る |
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