第6回 新人あら太君、「1人プロジェクト」でついに独り立ち
ナレッジエックス 中越智哉
2008/10/8
新人エンジニアだったしんじ君もついに2年目。初めての後輩を迎えて緊張気味のしんじ君ですが、何とメンターに指名されることに! 2年目エンジニアとして、新人のメンターとして、さらに成長するしんじ君を見守ってくださいね。 |
新人エンジニア、あら太君のメンターに任命された2年目エンジニアのしんじ君。あら太君のメンターになってから、早くも半年が過ぎようとしています。
この半年で、新人エンジニアのあら太君はもちろん、メンターであるしんじ君も大きく成長しました。
しんじ君とあら太君の成長の様子は…… 2年目エンジニア しんじ君のOJT日記 第1回 新人あら太君、お客さま訪問に遅刻する? 第2回 新人あら太君、先輩が残業していると帰りづらい! 第3回 新人あら太君、質問したいのに先輩は忙しそう…… 第4回 新人あら太君、パートナーさんへの指示は難しい! 第5回 新人あら太君、初めての勉強会を主催する |
■上長会議で、あら太君「1人プロジェクト」入り決定
今日は、部門の上長が集まる要員会議の日です。アットイットシステム社では月に1度、会議でどのメンバーをどのプロジェクトに参画させるかの調整をしています。
上野部長 | ……では、麻根君のところのプロジェクトだが。 |
麻根主任 | はい、リーダーの鮫島はじめ中心メンバーには、今月いっぱい現プロジェクトの作業に当たってもらう予定です。 |
上野部長 | 坂上君はどうかね、あの、勉強会を開いた彼は。 |
麻根主任 | はい、プロジェクト全体としてはテスト工程が終わって、途中で手戻りが発生した分のドキュメントの整理が残っている状況ですが、ほかのプロジェクトにアサインすることもできるかと。 |
上野部長 | 彼のメンターは中山君だったな。彼はどうなんだ? |
麻根主任 | 中山も、いまのプロジェクトで最後まで作業に当たらせたいですね。 |
上野部長 | そうか。じゃあ、坂上君だけそのプロジェクトからいったん外れてもらって、ちょっと技術調査をやらせてみようか。たしかウチの部で採用を検討しているフレームワーク製品があっただろう。 |
麻根主任 | なるほど。この間の勉強会の様子からすると、調べ物をするのは得意そうですしね。 |
上野部長 | そういうことだ。まあ最終的な検証はほかの者にやらせるとしても、その下準備くらいはできるだろう。それと、中山君には引き続き坂上君の面倒を見てもらってくれ。彼もメンターとして得るものが多いだろうしな。 |
麻根主任 | 分かりました。では彼らには私から指示しておきます。 |
会議の後、麻根主任はあら太君としんじ君を呼びました。
麻根主任 | あら太君、いまのプロジェクトの作業状況はどんな感じだね? |
あら太君 | はい。少しだけ作業が残っていますが、今日中に終わると思います。 |
麻根主任 | そうか。さっきの会議で決まったんだが、あら太君には、明日からちょっと別の作業をしてもらおうと思う。 |
あら太君 | はい、分かりました。明日から入るのは、どのプロジェクトですか。 |
麻根主任 | いや、あら太君にはプロジェクトではなくて、ちょっと技術調査をやってもらいたいんだ。 |
あら太君 | そうなんですか。中山先輩と一緒に、ということですか。 |
麻根主任 | いや、ほかのメンバーはいまのプロジェクトのままなんだ。その技術調査はあら太君1人で担当してもらう。 |
あら太君 | は、はい。 |
麻根主任 | しんじ君には引き続きいまのプロジェクトの作業をしてもらうが、あら太君1人では心もとないから、作業の進ちょく管理はしんじ君に頼みたい。 |
しんじ君 | 分かりました。 |
麻根主任 | 調査の期間は取りあえず明日から2週間ということにするから、そのつもりで作業してくれよ。詳しい内容はこの後少し説明するから……。 |
あら太君 | はい。 |
■1人技術調査プロジェクト開始
こうしてあら太君は、「1人プロジェクト」を開始することになりました。内容は、システム開発部で採用を検討している開発フレームワークの技術調査です。Webや書籍で調べ物をしたり、内容を検証するための環境を準備したりと、必要な作業がいろいろあります。
一方、あら太君の進ちょく管理を任されたしんじ君は、引き続き前のプロジェクトの作業を行っていました。スケジュールには割と余裕があります。
終業時刻を少し過ぎ、今日の作業が一段落したので、しんじ君は帰り支度を始めました。
しんじ君 | さて、そろそろ帰ろうか……。おっと、そうだあら太君の進ちょくを確認しないと。 |
以前、しんじ君は自分の作業が忙しくて、ついあら太君の進ちょく確認をおろそかにしてしまったことがありました。でも、もうそんなことはありません。
しんじ君 | あら太君、どうだい、作業の調子は? |
あら太君 | あ、はい。今日はまずこれとこれをやりまして……。 |
しんじ君は、あら太君の作業の進ちょくだけでなく、内容も細かく確認して、必要なところにはアドバイスを与えます。
しんじ君 | ここは、こっちを使ってやってみた方が早いんじゃないかな。 |
あら太君 | あ、なるほどそうですね。さすが先輩、相変わらず冴えてますね。 |
しんじ君 | そんなにおだてなくてもいいよ。じゃあ、僕は今日は先に帰るから。 |
あら太君 | お疲れさまでした! |
あら太君は、周りのメンバーが残業していて、何となく帰りにくかったときのことを思い出していました。
あら太君 | ITエンジニアは帰れるときはさっさと帰る、って鮫島先輩がいってたな……。でも今日は、もう少し区切りのいいところまでやらないと。 |
その日、あら太君は少し遅くまで残業して帰りました。
あら太君初めての1人プロジェクト。うまくいくかな? |
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