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第3回 ひろせまさあき――勉強会は「取りあえず行っちゃえ」

岑康貴
2008/6/3

エンジニアにとって仲間とはどういう存在なのだろうか。極端なことをいえば、自分1人で作業が完結できてしまうエンジニアにとって、仲間とのコミュニケーションにはどんな意味があるのか。エンジニア同士のネットワークを通じて、エンジニアにとっての仲間とは何かを探る。

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 サイボウズラボ 竹迫良範氏(コミュニティは『知り合い系』から『出会い系』へ変化する)から、モバイルファクトリー 松野徳大氏(松野徳大――「だまってコードを書けよ」)へとつながったエンジニアの輪。今回は松野氏からの紹介で、KLab Kラボラトリー 廣瀬正明氏に話を聞いた。自社開催の「KLab勉強会」を主催し、多くのエンジニアと交流する廣瀬氏。彼にとって、コミュニティの活動とは何なのだろうか。

なじめなかったコミュニティ活動

 「以前はコミュニティの活動って、内輪っぽくてなじめなかったんです」

 
  KLab Kラボラトリー 廣瀬正明氏

 廣瀬正明――平仮名で「ひろせまさあき」と書いた方が、通りがいいかもしれない。著作物を執筆するときも、講師として話すときも、平仮名の「ひろせまさあき」名義で統一する廣瀬氏だが、「特に理由はない」らしい。「平仮名の方が、ゆるふわ、ふんわりな感じでいいかな、と思って」と笑う。

 KLab勉強会では自ら講師として壇上に立つ。廣瀬氏が話すのは、主に同社が持つコンテンツサービス用のLinuxベースのインフラ「DSAS」にまつわる話だ。だが、主催者でもある当の本人からは意外な言葉が出た。

 何年も前、ユーザー会などに顔を出した時期があった。しかし、内輪の雰囲気が漂う場になじめず、「ああ、自分には向いていないんだな」と感じたという。

いきなり講師として呼ばれ、ガチガチに緊張

 しかしあるとき、気まぐれに参加した勉強会で転機が訪れる。同じく参加していたグリーの最高技術責任者を務める藤本真樹氏(オープンソースに恩返し――グリーCTO)に、自分がいまやっていることを話したところ、「今度、勉強会をやるので、講師としてその内容を話してくれないか」と誘われたのだ。

 「全然、経験がなかったので、驚きましたね。でもせっかくのチャンスなので……やってみようと。当日はかなりガチガチに緊張していました。それが人前でしゃべる初めての経験でした」

 2007年2月2日、グリーの社員有志プロジェクト「GREE Labs」が国際大学グローコムと共同で主催した「第9回オープンソーステクノロジー勉強会」で、廣瀬氏は講師デビューを果たす。タイトルは「DSASのいろいろ」。彼らしい、ゆるいタイトルだった。

 「メインでやっている、ネットワークとかサーバとかの話をしたんです。地味な部分だからどうかなと思ったんですが、割と反応が良くて。いままでそんなに皆さんが興味を持たれると思っていなかったので、驚きましたね」

 もし聞いてくれる人がいるのなら、KLab主催で勉強会をやってもいいのではないか。受けないと思っていた派手ではない技術の話でも、求めている人がいる。それがKLab勉強会を始めるきっかけとなった。

KLab勉強会の開催

 2007年3月23日、KLab勉強会の第1回が開かれた。「DSASのあれこれ」と、またしてもゆるいタイトル。しかも同日にShibuya.esの勉強会があることに気付かず、「日程がかぶってるぞ」と突っ込まれた(はてなブックマーク)。「今後の課題ですね、いかに空気を読むか」と、廣瀬氏は苦笑い。リアルのイベントだからこそ起き得る悩みだ。

 これ以降、定期的に勉強会を開いている。スタートから1年となる2008年3月には、4回目を数えた。一方、講師として話すようになってからは、ほかの勉強会やコミュニティにも積極的に顔を出すようになったという。

 「特に、こういう勉強会には行こう、みたいなことは意識していない」と廣瀬氏は語る。Web上で誰かが書いているものを見掛けて、面白そうなら行ってみる。以前は参加することにもためらいがあったが、すっかり耐性ができてしまったそうだ。

 「慣れました。昔は、誰か知っている人が行かないと行きづらいみたいなことはあったんですけど、いまは全然そんなことはなくて。ブログやTwitterなどで、会ったことがなくても何となく知っている、という人も増えましたし。それが話すきっかけになることも多いので」

勉強会を通じてコミュニケーションがしたい

 社内でも、コミュニティ活動に興味のある若手がいるそうだ。しかし、かつての廣瀬氏と同じく、ハードルが高くてなかなか踏み出せない人が多い。そこで、彼らにKLab勉強会で話をさせたり、準備に参加させたり、懇親会に呼んだりするのだという。

 「全然知らないところに身ひとつで飛び込んでいくのは、気後れするものだと思うんです。だったら、ウチ(KLab)でせっかくやっているんだから、そこから入っていけば入りやすいかなと思って」

 だが、勉強会は「楽しんでやっている」という廣瀬氏も、続けていくこと、維持していくことの大変さを感じ始めているという。

 「そろそろ話す方からは手を引いて、誰かに話をさせる方にまわっていこうかなっていうのは考えています。外の人を呼んで話してもらったり、社内の若手に講演させたり。そうやって、勉強会という場を通じて、面白い人たちとコミュニケーションができればいいかなと思っています」

 かつてはなじめなかったコミュニティ活動で、コミュニケーションを取っていきたいという廣瀬氏。講師でなくとも、勉強会を主催し、別の勉強会に参加していきたい。彼にとって、そこにはどんな思いがあるのか。

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