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第7回 社内勉強会で組織を活性化せよ

よしおかひろたか
2009/1/29

エンジニアの開催する勉強会が増えている。本連載では、かつてシリコンバレーで「勉強会の文化」に身を置き、自らも長年にわたって勉強会を開催し続けている「生涯一プログラマ」のよしおかひろたか氏が、勉強会に参加し、開催するためのマインドとノウハウを紹介する。

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 2008年は、多くの人々が「勉強会」を発見した年だった。「勉強会を発見した」とはどういうことか。それは、IT勉強会カレンダーが日本中の勉強会を可視化したことによって、勉強会に参加する人たちだけではなく、勉強会の主催者――すなわち当事者たちも、自分たち以外の勉強会を発見した、という意味である。

勉強会を「発見した」2008年

 わたしにとって2008年は、勉強会の意義や価値を再発見し、深く考えることになった年であった。「勉強会ってすごいよね」と明示的に声を上げた年でもあった。本連載「初めての勉強会」だけではなく、IT勉強会カレンダーを編集しているはなずきんさんの「IT勉強会に行こう!」、勉強会勉強会の鈴木達文さんによる「今こそ! 勉強会」などの連載が始まったし、勉強会についての記事も一気に増えた。オープンソースカンファレンス(OSC)2008 Tokyo/Fallでの「勉強会大集合」、Internet Week 2008での「IT Community Impact! 〜世界を変える新たな潮流〜」など、勉強会をテーマにしたセッションも開催された。「勉強会大集合」をきっかけに、「勉強会勉強会」というコミュニティを立ち上げた年でもあった。

 多くの人が、勉強会を発見し、それぞれの言葉で勉強会の価値を語り始めた年であった。

 「勉強会ってすごいよね」という価値観を、勉強会を主催している人々や参加している人々と共有できたことに、何よりも喜びを感じる。

 一方で、さまざまな課題も見えてきた。例えば、主催者は勉強会の価値観を肌で理解しているが、その価値観を勉強会未経験の人たちへ十分、説明できているかというと、そうでもない。勉強会開催のノウハウ、方法論も十分に文書化されているとはいいがたい。

 小江戸らぐの羽鳥健太郎さんとの対談でも明らかになったように、上手に勉強会を開催し運営している人たちは、特別なことをしているという意識なしに、自然体で勉強会を運営している。ベストプラクティスと思われることを、無意識に、しなやかに実践している。誰にいわれるでもなく、暗黙の価値観としてコミュニティ内で共有しているために、コミュニティの外側からは、なぜそのコミュニティの運営がうまくいっているのか、よく分からない。それをまねして実践しようとしても、それはなかなか難しい。そのようなベストプラクティスをどのように形式知化するか、ということが1つの課題だ。

 また、勉強会未経験者へのマーケティング活動も重要である。勉強会の参加者の拡大が新たな勉強会の価値を生むと筆者は信じるのだが、勉強会の未経験者に最初の1歩を踏み出してもらうための、何らかのきっかけが必要である。

 一方で、さまざまな形での勉強会の開催が広がると、そこにビジネスチャンスが生まれる。健全な発展のために、勉強会とそのビジネスというものに関して、そろそろ議論する時期に来ているのかもしれない。

社内勉強会が熱い

 先日、知人から「勉強会を社内で開きたい」と、その方法について相談を受けた。社内勉強会の開催方法は、オープンな勉強会とほとんど変わらない。ただし、社内事情が絡むため、難しい部分が存在する。

 オープンな勉強会と違い、会社の上司、同僚、部下などに根回しを行い、理解を得ることが重要となる。勉強会のメリット、デメリット、コスト、リスクなど、最低限のことを上司に話して、あらかじめ理解を得ておく。あまり堅苦しくならない程度に、話をしておく必要がある。

 就業時間外に自主的な勉強会をするメリットは、

  1. 従業員の技術力向上

  2. 従業員のモチベーションアップ

  3. グループ間、部門内外のコミュニケーションの活性化

などが考えられる。各自、自社の事情に照らし合わせ、上司説得の材料にしていただきたい。

 デメリット、コスト、リスクなどは、はっきりいってほとんどない。しかし一応「それも検討しているよ」というスタンスを見せるのは重要である。

 さすがに業務が火事場で、連日連夜、仕事が多忙なときに、のほほんと「勉強会やります」というのでは、周囲の理解を得ることは難しい。最低限、職場の業務との関係についても考慮のうえ、上司に提案を持っていこう。

 ある程度の規模の企業では、ほかの部門が何をしているか実はよく知らない、ということが少なくない。社内SNSやWikiで参加者を募集した場合、日ごろ話したことも会ったこともない人と会う機会が得られるだろう。グループ間や部門間コミュニケーションが図られるというのは、社内勉強会の大きなメリットの1つである。同じ会社の仲間なので、社内事情について率直な意見を交換できるのは、社外勉強会にはないメリットである。

 参加者の募集方法は、前述のように社内SNS、Wiki、メーリングリスト、一本釣りなどなどで行えばいいだろう。

 テーマや発表者の選定などは、最初は自分の周辺から探す。自分が話せるもの、得意なものから始まって、同僚や同僚の知り合いなどに発表をお願いするように広げていこう。

  社内勉強会を持続させたいのであれば、業務時間外とはいえ、業務にある程度、役に立つテーマを選びたい。直近のプロジェクトに必要な技術であれば、それはプロジェクト内で業務として勉強すべきもので、ここで議論している社内勉強会とはちょっと違うスタンスのものである。ここでは、社内の別部門の人も興味を持ちそうな、横断的な技術ネタを議論するというイメージである。

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