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国際競争時代に突入するITエンジニアに生き残り策はあるか?
日本人ITエンジニアはいなくなる?

第22回 中国・インド・ベトナムの理工系人材を徹底比較

小平達也
2007/4/17

ITエンジニアの競争相手が海の向こうからやってくる。インド、中国、それに続くアジア各国。そこに住むエンジニアたちが日本人エンジニアの競争相手だ。彼らとの競争において、日本人エンジニアはどのような道を進めばいいのか。日本だけでなく、東アジア全体の人材ビジネスに携わる筆者に、エンジニアを取り巻く国際情勢を語ってもらった

今年の新入社員はグローバル型?

 4月に入り、新人が入社する時期である。就職氷河期も明け、今年は久々の大量採用となった企業も多いのではないだろうか。いままで長く新人が入らなかった職場では、後輩を持ったことのない若手社員が、一気に増えた新人に対応するためにさまざまな工夫を凝らし、受け入れ準備をしているようだ。

 企業によっては「新人に対するOJT(On-the-Job Training。職場の先輩や上司が具体的な仕事を通じて、必要な知識や技術を教えること)を効率的に行うための社内研修」などもあり、新入社員だけでなく、受け入れる上司、先輩社員たちも緊張し気を使いながらこの時期を迎えていることだろう。

 社会経済生産性本部が発表している新入社員の特徴だが、今年は「デイトレーダー型」と命名されている。これは「入社後も細かい損得勘定で会社の物色を継続し、安定社員になりにくい。売り手市場だっただけに、早期転職が予想される」という、ネット上の個人投資家のようなタイプだという。このようなタイプは従来の「年功序列」「終身雇用」という価値観を前提として与えられていたビジネスパーソン像とは大きく懸け離れる。では今年の新入社員は異質なのだろうか。

 実は、筆者がこの特徴を聞いたときにまず感じたことは、「海外人材の就職価値観と融合し始めている」ということだ。「売り手市場」「大量採用」「短期的志向」などは、まさに本連載でも触れてきた中国やインドなど、新興国のホワイトカラーの就職傾向に近いものである。ひょっとすると、「短期で大量退職」という日本企業の海外現地法人担当者の頭痛のタネが日本に逆輸入されることになるかもしれない。

 もちろん、上記は表面的な事柄の類似であり、本質的な雇用環境については国情や社会の発展の度合い、主要プレーヤーである企業の成り立ち(ベンチャー主導の大量起業・大量廃業の多産多死型か、その逆の基幹産業主導の少産少死型かなど)や、社会保障制度の違いなど深い検証が必要だ。いずれにせよ「就職意識」という点で海外、とりわけ筆者がフィールドとするアジアの新興国と日本の新入社員の価値観が近づいてきた点は非常に興味深い。

過去最高を記録! 日系企業の海外法人従業員数

 日本国内で新卒採用が活発化する一方、海外での日本企業の人材採用も増えている。国際協力銀行 2006年度 海外直接投資アンケートでは、「今後3年以内に海外事業を拡大する」と回答した企業は過去最高の82.8%あり、経営の最優先課題となっている(同時に国内事業の強化・拡大も積極的。国内では高付加価値製品の研究開発と生産に注力していく方向である)。

 「海外事業の拡大」を人材採用の面から見よう。経済産業省によると、2005年度、日本企業の海外現地法人従業員数が436万人と過去最高となった(第36回海外事業活動基本調査結果概要― 平成17(2005)年度実績。この調査での集計企業数合計は1万4190社)。

 日本の大学生の総数(2005年度)が250万人、卒業生数が55万人であるから、436万人という数がいかに大規模か分かるだろう。436万人の中でもアジアだけで305万人と全体の7割を占め、さらに中国だけで141万人になっている。

2005年度 日本企業の海外子会社の社員数
合計  436万人(前年比 5.2%増)
アジア 305万人(前年比 10.1%増)
中国  141万人(前年比 18.3%増)

 このうち、情報通信業で見ると、合計で3万2700人となっている。中国では2005年のIT産業従事者が合計90万人いるといわれるがこのうち、日系企業の現地子会社だけで1万500人ほどが働いているということだ(もちろん、現地資本で日本向けのオフショア開発を行っている企業に勤務する現地社員はこの中には含まれていない)。

中国・インド・ベトナム 理工系人材の特徴比較

 上記は海外子会社における採用についてのものだが、企業はそれぞれグローバルリソースの最適活用を目指して国内外での自社社員の採用・育成とパートナーの選定と活用を進めている。

 第20回「日本人は異端? 海外で活躍できる条件とは」ではベトナムについて、第21回「『ミステリアス』な日本に求められる“力”とは」ではインド人エンジニアについて触れた。当然、最適活用に際しては「海外技術者」や「アジアの技術者」とひとくくりにできるものではない。各国のITエンジニアの社会背景や教育水準、技術力、日本語力、賃金水準などを的確に把握していく必要がある。特に新興国では成長とともに変化のスピードが速いので常に最新の情報をキャッチアップしていくことが重要だ。

 筆者はこのような背景から先日、2007年3月22日ジェトロ(日本貿易振興機構)本部で「中国・インド・ベトナム 理工系人材比較〜進出先・日本本社での採用ポイント〜」というテーマで講演を行った。当日は3カ国における雇用背景、人材と意識、採用面接についてお話をさせていただいたのだが、本稿ではその一部をご紹介しよう。

   

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