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国際競争時代に突入するITエンジニアに生き残り策はあるか?
日本人ITエンジニアはいなくなる?

第33回 成長企業ユニ・チャーム、情報システム部の海外展開

小平達也
2009/2/24

第32回1 2次のページ

ITエンジニアの競争相手が海の向こうからやってくる。インド、中国、それに続くアジア各国。そこに住むエンジニアたちが日本人エンジニアの競争相手だ。彼らとの競争において、日本人エンジニアはどのような道を進めばいいのか。日本だけでなく、東アジア全体の人材ビジネスに携わる筆者に、エンジニアを取り巻く国際情勢を語ってもらった。

日本企業グローバル展開モデルの4分類

 世界同時不況により、大手IT企業などが苦戦している。また、海外市場の低迷と円高で自動車や家電をはじめとした日本の輸出型産業は非常に苦しい立場にあるといわれ、あらゆる場で「グローバル戦略再構築」が叫ばれているが、中期的な国内人口減少と海外新興国の人口増加を背景とした経済成長の中で、多くの企業にとってグローバル展開は必須で避けることのできない課題となっている。実は一言で「グローバル展開」といってもグローバル展開モデルには4分類ある。それは本連載第30回「会社が海外進出したら? ITエンジニア、5つの備え」で紹介した。そこでも述べたが、グローバル展開は以下のとおり4分類できる。

(I)日本国内で生産・日本国内市場で販売(国内完結型)

(II)海外で生産・日本国内市場で販売(輸入型、日本市場型)

(III)日本国内で生産・海外市場で販売(輸出型、海外市場型)

(IV)海外で生産・海外市場で販売(海外完結型)

  市場
日本 海外
生産 日本
(I)国内完結型
・不動産、銀行、人材、小売、食品、外食、レジャー
(III)輸出型(海外市場型)
・自動車、鉄鋼、素材、電気機器
 
海外
(II)輸入型(日本市場型)
・アパレルなど
 
(IV)海外完結型
・(I)の海外展開
 
図1 グローバル展開モデルの4分類、(I)がグローバル展開すると(IV)になる

 ここでポイントは、(I)国内完結型がグローバル展開する際には(IV)海外完結型となることだ。ここでいう(I)は内需型産業、(IV)は内需型産業のグローバル展開といえるが(IV)のモデルの場合、(II)輸入型(市場は日本)とも(III)輸出型(生産は日本)とも違い、「海外で生産・販売」を完結させることが多く、極論すると「商品企画・研究開発」「生産」「販売」「アフターサービス」の一連のビジネスフローをフルセットで海外にて完結させる必要がある。それまで国内で行っていたビジネスフローを社会・経済背景の異なる国・地域で展開するのであるから(I)(III)のモデルと比べ当然難易度は高くなり、現地では自立的に活動できる自社社員が必須となる。

グローバル展開を加速するユニ・チャーム

 グローバル展開は上述のように4分類でき、昨今では特に(IV)の内需型企業の海外展開が課題としてクローズアップされてきている。今回は内需型産業の中でも積極的にグローバル展開をしているユニ・チャームの情報システム部の事例を紹介しよう。

 ユニ・チャームの事業はベビーケア、フェミニンケア、ヘルスケア、クリーン&フレッシュ、ペットケアの5つで構成されており、2008年3月期まで6期連続の売り上げ成長を達成し、同時に、過去最高の営業利益を達成している。同社の原動力となっているのは、加速する海外事業展開だ。1984年に台湾に子会社を設立したのを皮切りに、1987年タイ、1994年韓国、1995年中国、1997年インドネシア、2005年サウジアラビアなどで積極的に事業展開をしている。昨年(2008年)にはインドに拠点設立、オーストラリアで第2位の紙おむつメーカーの買収なども行っている。このグローバル展開の推進の背景には「アジアNo.1のライフサポートカンパニーとなることを目指す」という考えがあり、2008年4月より、世界の吸収体製品市場で10%のシェアを獲得すべく新中期経営計画「グローバル10計画」を据えている。同社の海外展開の軸となっているベビーケアとフェミニンケアは、現地の気候や文化・社会の価値観などを理解し、現地の人々の暮らしに合わせた製品開発をすることが必要であることから、相当綿密な戦略の下に行われているといえるだろう。

情報システム部 グローバル展開のカギ「グローバルISマネージャー会議」

●グローバル全体リソースとしての人材活用

 先に述べたように内需型産業のグローバル展開においては、「商品企画・研究開発」「生産」「販売」「アフターサービス」の一連のビジネスフローを海外で完結させる必要がある。ユニ・チャームの情報システム部の場合もこのビジネスフローを支援し、グローバル展開を進めている。本社と海外拠点の情報システム部の現地社員が連動して業務を行う中、同社情報システム部の場合「グローバルISマネージャー会議」を毎年開催し、2008年11月で4年目を数える。この会議は中国・台湾・韓国・タイ・インドネシア・サウジアラビアなど海外各国の情報システム部のマネージャが本社で一堂に会し、本社戦略の理解と併せ、技術知識の向上および拠点間のコミュニケーションを図るというものである。ユニ・チャーム 情報システム部長の知名俊郎氏によると「海外売上高が増加する中で、国内よりも海外の情報システム部メンバーの方が人数的にも多い状況となってきている。本社としてはいかにグローバル全体のメンバーを戦略リソースとして活用するかが課題となっている」ということである。

図2 本社戦略を海外各国の情報システム部マネージャに伝える情報システム部 知名部長


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