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テクノロジー・コンサルティング・キャリアファイル

グローバル企業の業務とシステムを1つにする、超大型“業務の標準化”プロジェクト

グループ・グローバル展開する企業の業務システムを1つにまとめるという、大型プロジェクトが進行している。ただシステムを構築するだけではなく、「業務改革」そのものに踏み込むという点で、コンサルタントとして非常に面白い経験ができている。

  グループ・グローバル企業の業務システムを1つにする、
有数の超大型プロジェクト

姫井 康氏
アクセンチュア
テクノロジー コンサルティング本部
製造・流通 SIグループ
シニア・マネジャー

 私が担当している分野は製造・流通業界のシステム構築です。今関わっているのは、グローバル展開している流通系企業のシステムを「1つ」にまとめるという超大型プロジェクトで、今まさに佳境を迎えているところです。

 経営管理、商品供給、商品管理、人事、会計、といった、企業のあらゆる業務を見直し、今は各国ごとに導入しているシステムを、1つのシステムで世界中の拠点が使えるようにします。これが実現できれば、拠点ごとのサーバ調達も一切不要になりますし、1つのシステムに統合してしまえば、海外拠点を迅速かつローコストで展開できます。

 ただシステムを構築するだけではなく、業務改革そのもののかなり深いところにまで踏み込んでお手伝いしているという点で、このプロジェクトはまさに私たちアクセンチュアの強みを全面的に活用していると思います。戦略コンサルティングから、システム設計・構築、運用・保守まで、システム構築における全フェイズを担当できる能力を持っているからです。

  「会社が違えば考えも異なる」業務を標準化するチャレンジ

 私は、構想フェイズから参加し、現在はシステム開発プロジェクトのチームリーダーを担当しています。私のプロジェクトだけで数百名規模のプロジェクトです。このようなプロジェクトが同時並行で複数存在しています。海外のデリバリーセンターも活用して開発を進めているため、相当数のメンバーが関わっています。

 プロジェクトの大きな進め方としては、まず、グループ・グローバルの業務プロセスの初期化説を作りました。ただし、これは机上の検討結果にすぎません。この業務プロセスがグループ各社で本当にもっとも良いやり方なのかを検証する必要があります。

 そこで、作成した初期化説の業務プロセスを実際にグループ各社のユーザーに実践してもらいました。実践しながら、本当にもっとも良いやり方なのかを検証していきました。

 当然のことながら、会社が違えば考え方も計画も異なるわけで、非常に調整が難しかったことを覚えています。いろいろな意見や仕事のやり方がある中で、「業務の標準化」を行い、実際にシステムに落とし込んで一気に展開するわけです。

 特に、強みや価格帯の異なるグループ各社では、仕事のやり方や、重きを置くところが異なるので、「1つのシステムで対応する」といっても、いくつかパターンを作った方がいいと思われる部分も出てきました。グループ各社と検討を重ねた結果、グループ・グローバルで標準化するべき業務と、グループ固有業務を切り分け、業務プロセスを最終化し、システム構築につなげていました。

 これほどの大規模プロジェクトなので、システム導入はステージを切り分け、段階的に進めています。すでに導入が完了したシステムもあれば、私のプロジェクトのように現在進行中のプロジェクトもあります。

  グローバルかつ大規模な、業務改善プロジェクト

 プロジェクトを進める過程で「これがグローバルプロジェクトか」と、実感する局面がありました。

 業務実践フェイズでグループ各社のユーザーに実際に業務を実践してもらったという話をしましたが、グループ各社は外国企業でした。業務支援をするためには、それぞれのグループ会社に常駐する必要があります。そのため、日本の本社と海外の複数拠点とで、それぞれ現地のアクセンチュアが参加して、複数国の拠点で並行して仕事を進めたのです。

 テレカンファレンスで各拠点の情報を共有し、考え方、フォーマットの違いなど、さまざまな意見の違いを見て、仕事のやり方を決めていきました。アクセンチュアはこうしたグローバル対応が可能なのですが、それができる企業は本当に限られているのではないかと実感した出来事でした。

  必要な在庫を、必要なタイミングで、
必要な量だけ、店舗に在庫する

 グループ・グローバルの業務システムの構築の中でも、いくつか改革テーマがあります。その1つが「生産調整」というテーマです。

 流通系企業は店頭で商品を売るわけですが、一番の問題は「在庫欠品」です。

 単純に言うと、販売計画以上に商品が売れると欠品するわけですが、販売開始前の段階で販売予測を当てるのは非常に難易度が高いことです。そのため、売上の実績を基に販売予測を見直し、計画以上に売れていれば増産、計画より売れていなければ減産、という生産調整ができると非常に効果的です。このような生産調整を、単品レベルからSKUレベルで、かつグローバルで実現することを目指しています。

 しかし、増産にするには工場の生産キャパシティや原料の確保が必要ですし、減産するためには、工場に迷惑をかけないように代替商品の発注で補うといった対応が必要になります。また、SKUレベルで実績を確認し、増産・減産の判断をするのは、仕事の負荷もかなり高くなります。

 このような事前準備の計画や、実績をもとにした計画の見直しなど、どのような仕事のやり方が精度が高くて効率的なのか、またそれをどのようなシステムで支援するのが最適なのか――ということを検討しながら、まずは簡易ツールを構築しました。

 その簡易ツールで業務を実践しながら、仕事のやり方やツールの良し悪しを評価・改善していき、最終化した上で、システム構築を始めています。

 まだ明確な効果は創出できていないので、これからも更なる改善が必要ですが、売上・利益に直結する活動のため、非常にやりがいのある仕事です。

  経営戦略に直結するITシステムを構築する

 1つの情報インフラで、複数の国の業務を支援する――このシステムの目的の大きなポイントが「新しい国の店舗展開を迅速に行う」という点です。

 新しい国に進出する時、そのたびにサーバを導入してインフラを構築して……といったプロセスを踏んでいては、それだけで時間がかかってしまい、ビジネスチャンスを逃しかねません。

 同じシステムを使えば即座に展開できるだけではなく、新店舗の最新情報をタイムラグなしにアクセスできるようになるわけです。この情報は当然、経営判断にも大きな影響を与えます。戦略コンサルティングと情報システム構築、両方の知見が非常に重要な役割を果たすのは、こういう理由があるからです。

 私が担当しているプロジェクトでは、パッケージ導入ではなくカスタム開発でシステムを構築しています。最近はこうした大規模なフルカスタム開発は少なくなってきましたが、パッケージをカスタマイズする場合と比較した結果、この形に落ち着きました。もちろん、プロジェクト全体ではパッケージ導入によるシステム構築をしているところもありますし、リプラットフォームという形もあります。最適な形であれば、手法は問いません。

  関わったシステムが、
企業の仕事のやり方を変え、世界全体で使われる

 私が今関わっているプロジェクトはもう少しでリリースしますが、お話ししたように、やるべき仕事とシステム構想はまだまだあります。

 ある企業の「仕事のやり方」そのものを変革し、かつ自分が関わったシステムが世界中の店舗で使われるようになる――極めてスケールの大きい話であり、その分、とてもやりがいのある仕事なのです。

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提供:アクセンチュア株式会社
企画:アイティメディア営業企画
制作:@IT自分戦略研究所 編集部
掲載内容有効期限:2012年9月30日

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