スマートフォン&ソーシャル業界の転職者にインタビュー
スマソ系エンジニア転職市場Watch!
第1回 受託開発から転身、ジンガのソーシャルアプリ開発エンジニアになって見えた「キャリアプランの広がり」
IT業界の転職市場は、回復傾向にある。特に、スマートフォン&ソーシャル業界の求人意欲は活発だ。本連載では、スマートフォン&ソーシャル業界への転職に成功したエンジニアにインタビューし、「生の声」を聞いていく。転職を考えているエンジニアの参考になれば幸いだ。 |
ソーシャルアプリ業界に多大なチャンス 転職を目指すエンジニアが増えている |
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【今回の転職者】中納裕慶さん (35歳、転職1年目) ジンガジャパン株式会社 スタジオ部門/エンジニア |
【転職前】 Webベースの受託開発。 ECパッケージのカスタマイズ ↓ 【転職後】 mixiアプリ「まちつく!」の開発 |
mixiやFacebookをはじめとしたSNS上で使われるソーシャルアプリは、IT業界の中でも現在、最も注目を集めている分野の1つである。ソーシャル分野には、技術とビジネス両方の意味で、大きなチャンスがある。また、Web企業で働くエンジニアだけでなく、受託開発の仕事をしているエンジニアも、ソーシャル分野へ転職を志す人が多い。
中納裕慶さんは、Webシステムの受託開発を経て、ソーシャルアプリ開発の現場へ飛び込み、およそ半年が経過したエンジニアだ。現在手掛けているのは、mixiアプリ版「まちつく!」の開発である。どのようにチャンスをつかみ、いかにしてギャップを乗り越えたのだろうか。
一度関わったBtoCの開発で、 「これは自分に合っているかもしれない」と感じた |
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ジンガジャパンに転職する前は、中堅ソフトハウスなどでプログラマを7年ほど経験したという中納さん。主な業務は、Webベースの受託開発、ECパッケージのカスタマイズだった。
「顧客が使うシステムの開発は、それなりの達成感は得られました。しかし、一度手から離れると、作ったものが自分のものではなくなってしまう。だからでしょうか、作ったものに愛着を持ちにくかったですね」と打ち明ける。
BtoBの開発がメインだった中納さんだが、2006年ごろに一度だけ、BtoCの開発に関わったことがある。ブログ関連の開発プロジェクトだった。自分が作ったものに対するユーザーの反応を見て、「BtoCは面白い。自分に合っているかもしれない」と直感したという。
「このタイミングを逃すわけにはいかない」 ジンガが人材募集をしているのを知り、すぐに応募 |
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BtoCの開発をやってみたい――そう思った中納さんだが、すぐに転職活動を始めたわけではない。きっかけは、「ウノウラボ」を手がけるジンガ(当時はウノウ。2010年8月よりジンガジャパン)の人材募集を知ったことだった。以前から、エンジニアが定期的に執筆するブログ「ウノウラボ」をよくチェックしていて、その運営企業にも注目していたという。
「席を固定しないフリーアドレスであることや、全員がノートPCで仕事をしているといった話を聞いて、エンジニアにとって働きやすい職場だろうと常々感じていました。ジンガが人材募集をしているのを知った時は、『このタイミングを逃すわけにはいかない』と、すぐに応募しました」
ジンガに応募する際、中納さんは自己アピールとして、前職での社内勉強会で使った資料を持参した。JavaのフレームワークWicketに関する資料で、これは有効だったようだ。ベンチャー企業のエンジニアには、自分で勉強する姿勢や新技術に取り組む姿勢が必要となるからだ。
転職活動期間は約2カ月。転職サイトなどを利用し、ジンガの他にも2〜3社のWeb企業に応募したという。そして2010年6月、最終的にはジンガへの内定受諾を決めた。
従来のスキルセットは生かしつつも、 最初の1カ月は学ぶ期間だった |
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以前の職場では、主にPHPやMySQLを使っていた、という中納さん。転職してからも、これらの習得済みのスキルは生きた。だが、スキルの使い方は「全然違った」と明かす。
同じPHPでも使い方がまるで違う。例えば、ジンガジャパンではフレームワークsymfonyを活用する。テストコードをしっかり書いてテスト駆動開発を行う。アジャイル開発手法のスクラムを適用する。このように、開発スタイルはかなり現代的だ。
「最初の1カ月は、それなりにきつかったです。テストコードの書き方は、今の職場に来るまで知りませんでした。ただ、3カ月たったあたりから感じがつかめてきました」
さらに、転職してから新たに触れたものとして、分散型メモリキャッシュシステムmemcachedがある。ソーシャルアプリは負荷が集中しやすいため、多用するデータはキャッシュに格納して、余計なデータベース・アクセスを発生させない使い方が基本となる。「これも、今の職場で使うようになって、徐々に慣れてきたところです」と中納さんは語る。
これまで得た経験の中で、最も生かせたのは 「エンジニア同士の人間関係の作り方」 |
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実務スキル以外でも、前職の経験から生かせたものがあったという。それが「エンジニア同士の人間関係の作り方」だったと、中納さんは振り返る。
「いろいろな現場を見てきた経験が生きた」 |
「これまで、顧客企業への常駐も含めていろいろな開発現場を見てきており、いろいろなエンジニアと出会いました。そこでエンジニア同士でうまく人間関係を築くコミュニケーション能力が身に付けられたと思います」
symfonyやテスト駆動開発の方法、memcachedにソースコードのリポジトリGitなど、中納さんが学ばなければならなかった技術は数多い。これらの技術を短時間で習得できたのは、中納さんが周囲のエンジニアと積極的にコミュニケーションをとりながら学んだからだ。先輩エンジニアに質問をするにしても、聞きやすい人間関係がうまく形成されているか、また“聞く姿勢”を身に付けているかどうかで、格段の差が出る。その点、これまで多くのエンジニアと一緒に仕事をしてきた経験が生きている、と中納さんは語る。
「コミュニティやチームのフィードバックがとてもうれしい」 やりがいはユーザーや仲間の反響があった時 |
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「今の職場では、やりがいを感じています」――中納さんは断言する。
中納さんは現在、「まちつく!」の改修に携わっており、直近では「ユーザーが複数のギフトを一括して受け取れる機能」を実装した。ギフトを送ってくれるユーザーが多い分、受け取りの手間が掛かる。そこで、ボタン1つで複数のギフトを受け取れるようにした。実装に対するユーザーの反応は良く、コミュニティでも好意的な書き込みをもらえたという。
「これは非常にうれしかったですね。また社内でも、開発チームの振り返りミーティングでも取り上げてもらえましたし、こうした“人”からのフィードバックは励みになります」
中納さんは、ウノウラボの執筆が回ってきたとき、「入社後なるべく早くキャッチアップするために心がけたこと」という題名でエントリを書いた。内容は、「周りの人の助力を仰ぐ」「ペアプログラミングの提案」「意見することを恐れない」「指摘を受けたら素直に受け入れる」「できないことはできないと言う」「見ている人は見ている」「勉強会やセミナーに参加する」といった、実践的で率直なものだ。このエントリへの評判は上々だった。こうした反響も「やりがい」につながっているという。
他にも中納さんは、受託開発と大きく違う「チーム編成」にも魅力を感じている。ジンガジャパンでは、開発メンバーだけでなく、企画やプロジェクトマネージャなども1つのチームとして仕事をする。既存機能の改修もあれば、新規機能の追加もある。時には、企画に関われることもあるという。
ソーシャルアプリの世界に来たことで キャリアプランの幅が広がった |
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ITエンジニアとしての今後の展望を中納さんに聞いてみた。ソーシャルアプリ開発の現場に来たことで、以前よりも「キャリアプランの幅が広がった」と中納さんは話す。
以前は開発のスペシャリストになるか、あるいはマネジメントの方向に進むかで悩んでいたが、今では企画もやってみたいと思うようになったそうだ。また、これからソーシャルアプリ開発の世界に飛び込みたい、と思っているエンジニアに対しては、こんなアドバイスをしてくれた。
「スキルは通じると思います。特にLAMPに親しんだ人であれば、極端に難しい、大変だということはありません。エンジニアであれば新しいことへの挑戦はつきものですから、きっとやっていけると思いますよ」
その言葉をまさに体現しているのが、中納さん自身だろう。キャリアプランだけではなく、技術についてもさまざまな選択肢と挑戦できる機会がある――そんな中納さんは、将来への希望あふれる展望で締めくくってくれた。
「インフラ系の知識をもっと強化したいとも思いますし、ソーシャルアプリをもっとやりたい気持ちもあります。選択肢が増えた分、悩みも増えましたが、同時に“いろいろできるんだな”と思えるようにもなりました。自分の将来の可能性が、広がったなと感じています」
●人事に聞いた、中納さんの評価ポイント 経歴面では、PHPやJavaでの開発経験があること、EC Cubeのカスタマイズ経験があったことを評価しました。 面接時に現在のWeb状況についても質問をしたところ、かなり正確に把握していました。ソーシャルアプリについても、Facebookを含めて試していたところから、ソーシャル分野への興味もうかがえました。また、Google I/Oについての話ができたところもポイントでした。 中納さんは、エンジニアとしては珍しいほどの高いコミュニケーション能力があり、将来的にマネジメントの力量があると判断しました。また、開発に限らず、ソーシャルアプリの企画への意欲も旺盛だったことも、高い評価でした。 |
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